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等間隔の静謐な空間。

『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』


近年、豊島区では『芸術』をウリにした劇場都市を謳っているが、その元になったのは90年に池袋駅西口に整備された東京芸術劇場であろう。
それ以前の池袋西口は戦後ヤミ市の残り香がまだ色濃く、今以上に怪しく猥雑な池袋のイメージを放出していたが、この東京芸術劇場のオープンを契機に西口の一角が再開発されて今に繋がる芸術都市の根幹が出来上がったはずだった。

はずだったというのはその直後、東京芸術劇場前の池袋西口公園は通称『IWGP』と呼ばれ、いわゆるカラーギャングの温床と化してしまうのが都内最大の地方都市の名に恥じない池袋という街のクセである。

そんな時代もあったよなというほど、現在の池袋西口公園は東京オリンピックに合わせて二度目の再開発を経てGLOBAL RINGに生まれ変わり、東京芸術劇場は池袋西口の喧騒を離れた静謐な場所として開かれている。

1Fのオープンスペースには所々に休憩出来る椅子やデスクがあり、等間隔で人が座っている。
等間隔というと京都鴨川の自然と等間隔で腰掛けるカップルを思い起こすが、鴨川のせせらぎほど趣深さを感じられないのは、やはり池袋という磁場が持つ限界なのであろう。



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