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「写ルンですNight&Day Super」f=32mm, F5.6,L39マウントレンズの製作

おつかれさまです.
今回は.FUJIFILMの「写ルンです」から,Night & Day Superという機種のレンズを使って,ミラーレス一眼で使えるレンズを製作する.このレンズの特徴は,現行の「写ルンです Simple Ace」が, f=32mm, F10の1枚レンズなのに対して,2群2枚, f=32mm, F5.6という比較的明るいレンズであることだ.スタンダードな「写ルンです」を使ったレンズ自作は,みなさんやられているので,普通に作っても面白くない.せっかくなら少しでも良さそうなレンズが良いと思い,これを選んだ.

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「レンズの明るさ30%UP!」と書かれています.
オークションやフリマサイトではまだ入手できるでしょう.

カメラの分解とレンズの取り出し

こちらのカメラもフラッシュ内蔵なので,感電に注意しなくてはならない.もちろん分解は自己責任で行ってほしい.私は未開封品を入手したので,フラッシュのスイッチは入れないようにした.

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前面の外装を外したところ.

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フラッシュ関係の部品を外すと,あとはプラスチックのみになります.

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レンズ部を取り出しました.2枚のレンズの間に,明所撮影用の絞りが入れられる構造になっています.

設計と3Dプリント

レンズが2枚あるので,オリジナルのレンズホルダー部を利用することも考えたが,結局レンズ2枚と,間に入るスペーサーのみを再利用することにした.レンズのつばの外径が2枚ともほぼ13mmなので,φ13.1mmの穴に収まる.あとは前後に調整用の余裕をもたせ3D形状を作成した.

あと,外装にφ52mmの中古のレンズフィルターからガラスフィルターを外して,代わりに挿入できる構造にした.こうすることにより,レンズの着脱が容易になるし,クローズアップレンズやレンズキャップなどが装着できるようになる.ここで使用するレンズフィルターは,針金ではなく,ネジを切ったリングで留めているタイプにすると,カニ目レンチを使ってしっかり組み立てられる.

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参考までに断面図はこんな感じです.図にはありませんが,外径20mmのトップカバー1個と,外径13mm厚さ0.8mmのスペーサー3個も,同時に作っておきました.

3D図面の作成には,フリーソフトのDesign Spark Mechanicalを利用した.

組み立てと調整

3Dプリントサービスからは,注文して約10日間でしっかり梱包された荷物が届いた.

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組み立てるとこんな感じです.

まずスペーサーなしで組み立てて,カメラに装着されたL39マウント→Mマウントアダプターにねじ込んでいくと,途中で無限遠にピントが合うのがわかる.マウントとレンズのマウント面の隙間を測り,その厚さのスペーサーをレンズの後ろに挿入して組み立てれば,調整は終わりである.あとは一度バラして,ラッカースプレーで黒く塗装して組み立てなおせば,製作完了である.

まとめ

3Dプリントサービスは,費用も時間もかかるというデメリットがあるが,自分が設計したものが,カタチになって納品されるのは嬉しいものである.高価なカメラや高級レンズを使って写真を撮るのも悪くないが,自分で図面を引いて製作したレンズを装着して写真を撮るというのも,斜め上の満足感がある.

このレンズは,メーカー製に比べて軽くて薄いし,雑に扱えるので,カメラを気軽に持ち出して,スナップ写真を撮るのには良いかもしれない.フォーカスは合わせる必要ないし,絞りも調整不可である.シャッタースピードとISO感度は,カメラが調整してくれる.もともとISO1600のフィルムとの組み合わせで,夜景が撮れることを売りにしたレンズなので,そこそこ暗くても使える.

写りのほうは,下の写真を見ての通りである.解像感はまったくないが,それらしい味わいで撮れる.

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いつものフラワーポットも,レトロな感じ.
FUJIFILM X-E2, SS1/350, ISO800; Film simulation, Classic Chrome

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梅の花が綺麗だったのでつい.
FUJIFILM X-E2, SS1/640, ISO800; Film simulation, Classic Chrome

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あえて逆光でも試してみました.
FUJIFILM X-E2, SS1/250, ISO800; Film simulation, Classic Chrome

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スカイツリーの白い鉄骨に,パープルフリンジがモリモリです.
FUJIFILM X-E2, SS1/2000, ISO800; Film simulation, Classic Chrome

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浅草1丁目1番地の神谷バー.
FUJIFILM X-E2, SS1/40, ISO3200; Film simulation, Classic Chrome

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デザイナーのPhilippe Starckさん.ビールの泡ってこんな形なんですね.強風でもビクともしないのが不思議です.
FUJIFILM X-E2, SS1/60, ISO2000; Film simulation, Classic Chrome

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