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Olympus PEN-F用オールドレンズを揃えたはなし

おつかれさまです.
富士フィルムのX-E2がとっても気に入り,たまの通勤途中にスナップ写真を楽しんでいる.交換レンズは,フィルムカメラ用のオールドニッコールレンズを使っていたのだが,これが大きくて重たく,カメラとのバランスが悪い.オートフォーカスでなくても良いのだが,小さなレンズはないだろうか?と思っていた.そうしたところ,オリンパスのPEN-Fというハーフサイズカメラ用のレンズが存在することを知ってしまった.

35mmフィルムのフルフレーム(24x36mm)のハーフサイズ(18x24mm)は,だいたいAPS-Cサイズ(16x24mmくらい)なので,PEN-Fの交換レンズであれば,センサーサイズがAPS-Cのミラーレスカメラにも使えるというわけである.しかも嬉しいことにこのレンズたちは,フランジバック長が28.95mmで,レンジファインダーカメラのライカMマウント(27.8mm)並みに短い.普通の一眼レフ用レンズだと,マウントアダプターが長くてバランスが悪いのだが,そのようなことがないのである.

マウントアダプターはアマゾンで売られていますが,中国からの直送で2週間くらいかかりました.残念ながらレンズとアダプターの間がきつくて扱いにくいです.

実際にレンズを入手してみると,38mm F1.8なんか,おもちゃかと思うほど小さいのだが,ずっしりと重く,精密な作りであることを感じさせる.すっかり気に入り,勢い余って広角の20mm F4,標準の38mmF1.8,望遠の100mmF3.5の3本をポチってしまった.ただし,オークションで格安品を狙って落札したので,レンズのコンディションはどれも最悪である.これらのレンズの発売開始が1963年で,既に50年もののレンズである.どこまで復活させられるか疑わしいが,分解してオーバーホールすることにした.

F.Zuiko Auto-S 38mm F1.8

まずは標準レンズである.流通量が多いためか,今回の3個の中では最も安価で入手できた.フォーカシングリング,絞りリングは問題ないが,前玉も後ろ玉も盛大にカビている.

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レンズの分解は順調にすすんだ.まずフロントの銘板をゴム製のオープナーで外す.このとき,絞りリングにクリック感を出す小さなボールが滑り落ちてくるので,なくさないようにしよう.前玉ユニットが外れたら,次々とネジを緩めて分解していく.ネジが堅いのもあったが,その場合は無水アルコールを注射器で注入してしばらく待てば,あっさり回った.

分解しながら,外れたレンズを1枚,また1枚とレンズクリーニングティッシュで拭いていく.まあ前玉は問題なくカビ退治ができた.

次にマウント側から攻めていく.3本のマイナスネジは溝が浅くて舐め易いので注意しよう.ピッタリサイズのマイナスドライバーを垂直にあてて回せば,それほど力を入れなくとも回すことができた.マウントを外す際に,カチャという音がするが,これは絞りレバーを挟むこむ形になっているからである.後ろ玉をカニ目レンチを使って慎重に外していく.レンチを滑らせてレンズを傷つけてしまえばそこでゲームオーバーである.

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後ろ玉のカビ跡がどうしても取れませんでした.

こちらもレンズを1枚1枚拭いていくのだが,一番後ろのレンズのカビ跡がどうにもこうにも落ちない.爪先でなぞると段差がわかるので,コーティングが剥がれ落ちているようだ.こうなってはちょっとお手上げである.完全に跡が残らないようにするのは無理だが,レンズを磨いて,段差を少しでも少なくすることにした.

研磨剤入りの「キイロビンゴールド」と,最近購入したリューターを使って,数分間磨いて段差を少なくした.まあ,当初よりはだいぶましになったと思う.これが原因で写りに満足がいかなければ,このレンズはあきらめることにしよう.

microUSB端子で充電できて,なかなか良いです.

G.Zuiko Auto-W 20mm F3.5

こちらは,PEN-Fの交換レンズの中で最も焦点距離の短い広角レンズである.中古市場ではかなり高価で取引されているが,私が入手した個体は中玉に油滴のようなものが浮いていて,格安で入手できた.外装等はとても綺麗なので,レンズがうまく清掃できればラッキーである.

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これもフロントの銘板をレンズオープナーで外し,絞りリング関連を外す.次に前玉をカニ目レンチを使ってユニットごと外す.さらに分解してレンズを1枚1枚外していく.油滴が浮いているのは,どうやら前玉群の奥のレンズのようである.レンズクリーニングティッシュで拭くと,油滴そのものは無くなったのだが,やはり跡が残ってしまった.しかも,どうもレンズ全体が曇っている.無水アルコールやレンズクリーナーも試してみたがどうしても跡がとれない.

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こんな感じでリューターにパフをつけて,磨きました.磨いたあと,レンズの裏側の塗料が剥がれてしまったので,アクリル塗料を塗って修復しました.

どうもこちらもレンズを磨くしかないようだ.ただし,コーティングが剥げているわけではないので,必要最低限だけ磨けば改善されるだろう.同じように「キイロビンゴールド」と電動リューターで少しずつ磨いていく.くもりのほうは無くなった.LEDライトの強い光をあてると,汚れのようなコーティングのダメージがわかるが,おそらく写りには影響しないだろう,完璧を期してどんどん磨いていくと,コーティングをすべて剥がしてしまいそうなので,ここで止めておこう.

後ろ玉も外してクリーニングしたが,こちらは綺麗でまったく問題なかった.このレンズは比較的中古価格が高いのだが,実用レベルにはなったようでとっても嬉しい.

E.Zuiko Auto-T 100mm F3.5

最後は望遠レンズである.あまり人気がないのか,比較的安価に入手できた.非常にスリムで長さも85mmくらいしかないので,気軽に持ち運べる大きさである.こちらも前玉.後ろ玉ともにカビていてクリーニングが必要だが,それ以外は特に不具合はなさそうである.

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銘板をゴムのレンズオープナーで回すと,こんな感じで前玉群が外れる.あとは,カニ目レンチで一つずつ外して,レンズをクリーニングした.

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マウント側は,マイナスのネジを3個はずすと,こんな感じで鏡筒が外れる.後ろ玉はかなり奥まったところにある.

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カニ目レンチでレンズ押さえリングを外すと,厚いレンズが取り出せる.このレンズがひどく汚れていたので,点カビがなくなるまで念入りにクリーニングした.

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入手した3本の中では,このレンズが最も光学系が綺麗だった.ほぼ納得のいくオーバーホールができた.

まとめ

今回オーバーホールした3個のレンズはフィルター径がすべて43mmで,非常に小型のレンズである.ただし,金属製で安っぽさはなく,ずっしりとした重量感もある.残念ながら38mm F1.4は,レンズの状態が悪すぎて実用レベルにはならなかったので,後日,状態の良いものを買いなおした.

近頃は,中華製マニュアルフォーカスレンズが安価に売られていて人気だが,おそらくそちらよりも高級感があって,3本そろえても1万円くらいだった.劣化しやすいゴムやプラスチックはまったく使われてなく,ヘリコイドを回したときのヌルヌルした感じも,おそらく50年以上前の新品のときと変わらないはずだ.

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レンズは小さいので,カメラ1台と交換レンズ1本用のインナーポーチに,レンズが2本入り,ちょうどレンズ3本をまとめて持ち歩くことができます.

さて写りのほうはどうだろうか?

まずは画角の比較

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f=20mm

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f=38mm

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f=100mm

作例

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意外にも最短撮影距離35cmなので,かなり寄れます.
Fujifilm X-E2, F.Zuiko Auto-S 38mm F1.8; SS1/300 F1.8 ISO200

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絞り開放のボケも悪くないですね.
Fujifilm X-E2, F.Zuiko Auto-S 38mm F1.8; SS1/60 F1.8 ISO1250

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Fujifilm X-E2, F.Zuiko Auto-S 38mm F1.8; SS1/5000 F1.8 ISO400

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Fujifilm X-E2, G.Zuiko Auto-W 20mm F3.5; SS1/950 F3.5 ISO400

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亀戸の天使の羽です.
Fujifilm X-E2, G.Zuiko Auto-W 20mm F3.5; SS1/52 F8 ISO3200

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ちょうど亀戸天神で藤まつりをやっていました.
Fujifilm X-E2, G.Zuiko Auto-W 20mm F3.5; SS1/200 F8 ISO400

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Fujifilm X-E2, E.Zuiko Auto-T 100mm F3.5; SS1/340 F8 ISO400

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Fujifilm X-E2, E.Zuiko Auto-T 100mm F3.5; SS1/500 F8 ISO500

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Fujifilm X-E2, E.Zuiko Auto-T 100mm F3.5; SS1/750 F4 ISO400


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