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激安ニッコールレンズの母艦としてのFUJIFILM X-E2とフォーカルレデューサー

おつかれさまです.
オークションで激安で出回っている,中古のニッコールレンズをオーバーホールし,フルフレームセンサーのNikon D600も導入して,カメラと写真を楽しんでいる.しかし,一眼レフのD600は,いつも持ち歩くにはちょっと大きくて重たい.フルフレームデジタル一眼レフも,かつてのNikon FEくらいの大きさで,手頃なお値段になれば良いと思うのだが,なかなかそうはいかないようだ.

というわけで,マウントアダプターを介してニッコールレンズが使える,コンパクトなミラーレスカメラを試してみたくなった.実は既にNikon1 V1を導入しているのだが,センサーサイズがほぼ1インチと小さく,何かと性能が見劣りしてしまう.やはりニコワンの醍醐味は,コンパクトでオートフォーカスが使える1 Nikkoレンズと組み合わせで,機材全体を軽くできることだろうと思う.フルフレーム用のニッコールレンズには,それに相応しいセンサーサイズのカメラを導入しよう.

ミラーレスカメラの選定

もちろん,ニコンのミラーレスカメラを導入しても良いのだが,まだ中古価格がお高いし,純正のマウントアダプターも安くないので予算オーバーである.そこで,フィルムシミュレーションが楽しそうな,富士フィルムのカメラが気になっていたので,今回は富士フィルム縛りでどの機種が良いか検討した.

予算はほぼゼロなのだが,幸い不相応なほぼ新品レンズがあるので,これを売って中古を購入する予定である.ファインダーは欲しいので,X-TシリーズかX-Eシリーズに絞られるが,ファインダーが中央にあるデザインは一眼レフとカブるので,X-Eシリーズにした.最終的には予算と相談して割安感のあるX-E2を選んだ.

マウントアダプターの選定

FマウントのニッコールをFUJIFILMのXマウントのカメラに装着するとなると,当然ながらマウントアダプターが必要になる.マウントアダプターにもいろいろ種類があるようで,次のようなものがあるようだ.

● 電子接点のない単なるチューブ型のもの

● 絞りリングのないFマウントレンズで,簡易的に絞りが調整できるようにしたもの

● APS-Cサイズのセンサーにほぼフルフレームの画角を投影する,フォーカルレデューサータイプのマウントアダプター

さて,お値段を考慮すると,最もシンプルな,電子接点の無いチューブ型のもので良いかなあと思うが,フォーカルリデューサータイプのマウントアダプターは,APS-Cセンサーでも画角がフルフレームとほぼ変わらず,しかも1段明るいレンズに化けるという点が魅力的である.もともとNikon D600を導入した理由のひとつは,D300を使っていてレンズの画角が変わるのが嫌いだったからである.ここでまた画角が変わるのは受け入れ難い.

こちらの記事を読んで,フォーカルリデューサータイプが欲しくなりました.

というわけで,Fマウント用のマウントアダプターは,奮発してフォーカルリデューサータイプのマウントアダプター(Lens Turbo II, Zhong Yi Optics)にした.

さっそく購入する

今回は,都心に買い物にいくのもままならない状況なので,全て通販で済ますことにした.不要のレンズと古いコンデジを宅配便で下取りにだし,カメラを購入した.マウントアダプターは不要になっているPCパーツを売ってポイントに交換し,そのポイントを使って購入した.

フォーカルリデューサーを挿入したときのボケ

レンズの収差を議論できるほどの専門家ではないので,わかりやすいボケについてだけ簡単な実験で比較してみることにした.私の理解では,Lens Turbo IIを間に挿入すると,本来フルフレームセンサーの面積に投影される光がAPS-Cサイズに投影される.つまり,実質的なレンズの開口面積は,フルフレームのカメラでも,Lens Turbo IIを付けたAPS-Cサイズセンサーのカメラでもほぼ同じになるので,ボケも同じになるという仮説がたてられる.それでは,この作業仮説を実験で検証しよう.

小型の三脚にカメラを固定し,三脚の中心から距離0.9mの位置にぬいぐるみを置き,距離1.8mの位置に絵皿を置き,2.7mの位置に背景となるポスターを置いた.絵皿にピントを合わせ,ぬいぐるみとポスターがどれだけボケるか観察した.カメラはAPS-CセンサーのFUJIFILM X-E2と比較のためにフルフレームのNikon D600を利用し,レンズはNIKKOR-P Auto 105mm F2.5を絞りF2.8とF8で利用した.もちろん,X-E2にはLens Turbo IIを挿入している.

● 絞りF2.8

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Nikon D600, NIKKOR-P Auto 105mm F2.5;
SS1/160 F2.8 ISO800, JPEG撮って出し

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FUJIFILM X-E2, NIKKOR-P Auto 105mm F2.5 + Lens Turbo II;
SS1/180 F2.8 ISO800, JPEG撮って出し

● 絞りF8

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Nikon D600, NIKKOR-P Auto 105mm F2.5;
SS1/25 F8 ISO800, JPEG撮って出し

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FUJIFILM X-E2, NIKKOR-P Auto 105mm F2.5 + Lens Turbo II;
SS1/30 F8 ISO800, JPEG撮って出し

ボケのほうは,若干だがD600よりむしろX-E2のほうがボケているかなあと感じる.Lens Turbo IIの倍率が0.726倍で,APS-CセンサーのX-E2では,35mm換算で焦点距離が105x1.5x0.726=114mmとなり,本来の105mmから9mmほど長くなったのが影響しているのかもしれない.まあ,ほぼ同等といってよいだろう.

あと露出に関しては,Lens Turbo IIを挿入すると1段明るくなるはずだが,実際には1/3段分程度の明るさ向上であった.ISO感度・シャッタースピード・自動露出はメーカーの異なるカメラの表示を基にしているので,誤差があるのかもしれない.

使ってみた感想とまとめ

実のところ,X-E2がすっかり気に入ってしまったのだが,そうかといってXマウントのフジノンレンズを揃えていくと,とんでもない出費になるし,機材が増えて鬱陶しい.その点,Lens Turbo IIを利用すると,所有しているニッコールレンズが,ほぼ同じ画角で使えるのは大きなメリットである.

Lens Turbo IIを使ってみると,確かにAPS-Cセンサーのカメラで広角レンズが,そのまま広角レンズとして使える.半面,望遠レンズでは,フルフレームセンサーのカメラでもっと倍率が欲しいときでも,APS-Cサイズセンサーのカメラで1.5倍にならないので,使うメリットは少ないかもしれない.

あとレンズ自体が必然的に長くなってしまうデメリットがあるが,それは通常のマウントアダプターでも同じである.まあ,F値が若干明るくなると思えば,それほどのデメリットではないかもしれない.同じ容積を占有するのであれば,一芸のあるマウントアダプターのほうが,メカ好きには惹かれるものがある.ちょっと重たくなるのは玉にキズではあるが.

肝心の画質の劣化だが,私には気になるような劣化は見られなかった.ただし確かめたわけではないが,逆光耐性は劣化するといわれている.まあ,もともと古いレンズは逆光でフレアやゴーストがでるので,そこは受け入れるしかないと思っている.ボケについても,実験結果を見る限り,フルフレームセンサーと同じ程度ボケるようである.

せっかく揃えたニッコールレンズが活用でき,旅行に持っていける大きさのカメラが所有できて嬉しい.フルフレームセンサーのNikon D600の出番が少なくなるのが惜しいが,小さくて軽いのは代え難い.いつ行けるかわからない状況だが,次の旅行が楽しみである.

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