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暇だったので街頭アンケートについて行った話

こんにちは。今日は小話です。


おそらく皆さん、小さい頃に「知らない人にはついて行かない」としつこく言われ続けたと思います。
これは特に大都会東京では大事なことになってきます。なんせ悪い人が多いのですから。
単なる不審者、風俗のスカウトマン、ぼったくり居酒屋の客引き、宗教、怪しいアンケート勧誘……

こういう人に声をかけられたら、通常は無視するなり断るなりして関係を断つのが基本です。
しかし、その時の私は暇だった。そして、日々の刺激の無さに飽き飽きしていた
なので私はとても軽率について行ってしまったのです……


ある日のこと。都内某所にて。
1人でウインドウショッピングを満喫していた私は、突然30代くらいの男性に声をかけられた。

「すいませーん!ちょっといいですかー!」

正直疲れていたので無視してさっさと帰りたかったのだが、ちょうど目の前に自転車が通りかかってきたため、かわすことに失敗してしまった。

「ここ自転車が通って危ないので、ちょっと端のほうでお話聞きたいんですよー」

おそらくここで逃げることもできたのだが、先述の通り暇を持て余していたので話だけ聞くことにした。

男が言うには「自分の会社で開発しているアプリで新しくクーポンを提供するためのアンケートをしている」らしい。

「美容系のクーポンを出す予定なんで、一都三県に住む20歳以上の女性を対象にしてるんですよー」と言う。

豆知識①:こういった謎の勧誘は、高額契約を組ませることが目的となっていることが多いので「私未成年なんですー」というと秒で解放される。

「実は僕たち福岡から来てるんですよね!それで1日50人のデータ集めないといけないんですよ!人助けだと思って!!ぜひお願いできませんか!!!個人情報とか書かなくていいやつなので!!!!お礼に僕たちがアプリで提供しているクーポンあげるので!!!!!

豆知識②:美容系の勧誘は謎にテンションが高いことが多い。逆に夜職のスカウトは気怠そうなことが多い。


もうこの地点で彼のテンションの高さに疲れ切っていたし、何よりアプリ開発もクーポン作っていることも福岡から来ていることも何も信じていなかった。
しかし私は壊滅的にアホかつケチなので、「クーポンもらえるならやりまーす」と答えてしまった。


こうして、私は男とアンケート開場の会議室に向かうことになった。

「会場が裏路地の会議室になっているから、女の子だと嫌だなーって思う子もいるんだけど、大丈夫?」

全く問題ありませんが。

もしかしたら「暗い裏路地にある謎の会場」という点で女の子に圧をかけているのかもしれないが、私は都会派ガールなので特にビビらない。

「好きな食べ物とかある?
 肉好きなの?僕出張中に〇〇ってお店の○○食べたけど美味しかったよ!おすすめ!」

ごめんなさい薦めてもらったけどもう覚えてない

豆知識③:この手の人、急にタメ口になりがち


と、そんなしょうもない会話をしているうちに謎の会議室にたどり着いた。

どうやら男とはここでお別れらしく、別の女の人がアンケートを担当するらしい。
あの男は別の犠牲者を見つけに行くのか……


部屋に入るとペラッペラ(紙も内容も)のアンケート用紙を渡され、書くように言われた。
のだが、目の前に女が座っているためメチャメチャ圧を感じる。

内容は至極一般的で、よく買い物する街、好きな飲食店、好きな芸能人などを聞かれたのだが、おそらくアンケートは飾りでこの後の何らかの勧誘がメインなんだろうと見込んだので、かなり出鱈目なことを書いた。


一通り書いたあとに、名前や年齢を書く欄があることに気づく。

おいあの男!大嘘ついてんじゃねえか!!!
個人情報書かせるじゃん!!!

ただ目の前に女が座っている中書かないわけにもいかないので、とりあえず適当に書いた。


全て書き終わった後、女は言う。
「ありがとうございました!最後にお礼のプレゼントなんですけど、福引を引いて出てきた賞の景品をプレゼントします~」

と、プレゼントの一覧表を見せられたのですが。


あったんですよ。3等のあたりに。


美容クリニック無料体験


豆知識④:景品の中にクリニック・エステの無料体験or割引券があった場合、絶対にそれしか当たらない。


いやこれ絶対無料体験だろと思いながら福引を回した。案の定だった。

「おめでとうございます!3等だから結構いい賞なんですよ!!」


私が本当に欲しかったのは6等のお菓子です


そして女は券を差し出してきた。

「こちらのクリニックなんですけど~、現在人気なのでなかなか予約をとることができないんですよ。なので体験したい場合今ここで予約を取ってもらうことになるんですけど、いいですか~~??」


はあ~~~~~?????


考える暇を与えないようにしているのは分かる。分かっているのだが。
私は壊滅的にアホかつケチなので試しに予約をとってみることにした。確認をとってから。

券に書いてあるQRコードを読み取って予約ページに進むよう言われた瞬間。
カメラアプリを起動するふりをして。

美容クリニックの名前でグーグル検索

すると案の定、「○○クリニックの体験チケット貰ったんですけど、詐欺ですか?」みたいなyahoo知恵袋がトップに出てきた。

やっぱりな


とか思っていたところで女に「大丈夫ですか?」と言われてしまったので本題に戻る。


予約ページに飛ぶと、先程書かされた名前や年齢の他に、電話番号やメールアドレスを書く欄があった。

男が言っていた「個人情報は書かせない」という言葉は完全に嘘だった。

豆知識⑤:ここで嘘の情報を書くことも十分可能なのだが、後々のやりとりで記入した個人情報が必要になってくることがあるため、嘘を書いたことがばれるとクソ気まずくなる。

メールアドレスは最悪変更することはできるが、電話番号を変えるのは死ぬほど面倒くさいので絶対に死守したいと思っていた私は、とりあえず電話番号だけ嘘を書くことにした。


選択は間違っていなかった。入力したメールアドレスに予約確認メールが送られてくるというのだ。もし嘘を書いていたら永遠に届かないメールを待ち続けて妙な空気になっていたに違いない。

「それでは、予約日の前日にお客様の番号に電話をかけますので、必ず電話に出てくださいね。出ないと無料体験はできません」

ということで。
嘘の番号を書いた私は永遠に電話がかかってこないため、無料体験はできないということになる。


さようなら、謎の勧誘!!!!!


これで全てが終わったらしく、私は会議室を後にした。


その後、会議室に貼ってあった「当社で開発しているらしい」アプリのポスターに書いてあったアプリの名前で検索してみたのだが、全く出てこない。
マイナーなのか、架空の存在なのか……


とにかく、面倒ごとに巻き込まれたくないなら、知らない人に声をかけられてもついていっちゃダメですよ!



終わり



おまけ

この時貰った券に、こんなことが書いてありました。

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おっかしいな~???
こんなこと、聞いてないな~???


この写真だと分からないんですけど、相当小さな字で書いているんですよ。質の悪い商売ですね。

このような勧誘に巻き込まれることは一度や二度ではないんですけど、やっぱりいい所は勧誘せずとも自ずと人が集まってくるものだと実感しますね。
逆にこんなアコギな商売してまで人を集めているところは……(察し)


結局注意喚起したいのかアホ自慢をしたいのかよく分からない記事になってしまいましたが、確実に言えることは一つ。


「私未成年で~す」は魔法の言葉

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