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ファイナルグライド#11
雑感:本作の最も基本的な下敷きというかこういう作品を書いたら面白かろう…と思った出発点は、高斎正氏の「ホンダがレースに復帰する時」です。これ、今まで誰にも明かしていませんでした。「ホンダがレースに復帰する時」は自動車評論家でもある高斎正氏がちょっとしたSF的なアイデアを持ち込んで、それ以外は極力リアルにレースの世界を描いて、ちょっと日本人の自尊心をくすぐってくれる、良くも悪くもイージーな作品です。
もっとみるファイナルグライド#10
雑感:ようやく第一戦の決着がつきます。この作品のテーマの一つにフライトはそれ自体が何かを表現している、というものがあります。パラグライダー競技は立て続けに訪れる判断の連続で、その一つ一つをどう裁き、どう難関をクリアするかでトップクラスの選手のフライトは何かを表現し得るという考え方です。たとえば今回、ゴール直前の裁きで、3人のパイロットの性格、判断の傾向、そしてツキが表現されています。多くの言葉を尽
もっとみるファイナルグライド#9
雑感:この回は、いろいろと思う所のある回です。新しい登場人物の紹介(後々、極めて重要な役割を果たします!)。 降りてしまった(競技者用語では”降る”と言います。)選手達がリフライトのためにテイクオフに戻る時の空気感は、かなりの精度で再現出来たと自負しています。回収するのを忘れた伏線(バッテリーの都合でウインドウィザードは1時間しか稼働させられないという裏設定をしておいたのに、種明かしを忘れた…)。
もっとみるファイナルグライド#7
雑感:高岩山のモデルは…立山ゴンドラスキー場! と思った人は多いでしょうね。テイクオフして裏側、南面にこぼれなければいけないのがこのエリアの特徴です。でも、それだけじゃありません。立山だと西の平野に出したり、一本南の尾根に渡ったりしませんからね。高岩山は立山と小出の合成です。平野部のパイロンと南の尾根は小出の平野部パイロンと八海山パイロンに相当するつもりで書きました。
なお、慶太の対岸に渡る作戦、
ファイナルグライド#6
雑感:いよいよ競技開始です。ここまでは、パラグライダー経験の無い小説家でも取材しつつ書く事が出来そうな内容でしたが、ここから先は自分にしか書けない内容だと自負して書いていました。例によって多少盛ってはいますが、競技やってる時に選手はこんな事考えながら飛んでるんだ〜なんて想像しながら読んでください。
その日を境に内藤にとっても慶太にとっても目眩のするほど忙しい日々が始まった。昼間は二人で交互に講
ファイナルグライド#5
雑感:この回までが、作者の中で、物語を始めるための状況説明、主人公とそれをとりまく人々の性格、関係性、起点となる過去の事件を紹介するパートでした。連載開始時点で、ここまで書いてあったので、手元のデータファイルのナンバリングは、ここまでが一つの001というファイルと出版元に送信したそれぞれ分割した001〜005のファイルとダブって存在します。で・も! 僕が書きたかったのはここから先、パラグライダー競
もっとみるファイナルグライド#3
雑感:主人公の目指すものが、いきなり順調に進行してしまっては、あまりにひねりが無いってもんですよね? 一旦断られる程度ではひねりどころか、ただのど定番です。問題は断った相手の心を動かす、どんな事件を起こすか? もちろん、それは空で起こります。地上シーンの多かったこの作品もこの辺りから段々空を舞台に進行し始めます。
慶太の目的
危なっかしい講習生をどうにか無事に降ろして一息ついた内藤は、路地から
ファイナルグライド#2
雑感:この回は、プロローグが終わり、いよいよ物語が始まる大事なパート。読者を飽きさせる事無く、それでいて登場人物達の性格を描き、かつ、その姿が読者の目に浮かぶよう、情景を丁寧に書き込むよう気を遣いました。どうでしょう? 今回登場する3人の姿、目に浮かびますか? この回で割と存在感を示す宏子ですが、実は本筋にあまり関係無く、この後、ほとんど顔を出す事はありません。モデルにした実在の女性は、今、僕の妻
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