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岐阜県郡上市|テレビ会議システムで極小規模校同士の交流や県外の生徒との交流を行う

岐阜県郡上市(ぐじょうし)は、岐阜県中部に位置します。飛騨高地の南にある山岳丘陵地帯で、人口は約4万人ほどです。

ICTを活用して人材教育へ取り組んだ事例です。


定住する人口の減少という課題へ取り組む

岐阜県郡上市は、日本三大民踊の“郡上おどり”や、江戸時代の城下町の面影が残る“郡上八幡”の街並みが有名で、観光客が非常に多い町です。年間約600万人もの観光客が訪れています。

観光客が多いのは非常に良いことでしたが、定住する人口は年々減少していました。郡上市は、2004年に7町村が合併しましたが、それでも人口は年々減少しており、このままでは2045年には約3割の人口が減るという試算も出て、深刻な課題となっていました。

そこで、サテライトオフィス(勤務先以外の場所に設置するオフィススペースのことです)の誘致、テレワーカーの移住や長期派遣の促進などの取り組みを行いました。
岐阜県郡上市ではテレワークの推進など、様々な取り組みを行っています。


今回はその中でも「人材教育の仕組み」についてご紹介します。
子供をもつ家庭が定住するための決め手の一つに「教育」があるためです。岐阜県郡上市でもハンディキャップがなく、しっかりとした教育を受けられるのであれば、自然豊かな町で定住しようとする家庭が増える可能性があります。


遠隔教育によりコミュニケーションを活発に

岐阜県郡上市では、市内22校の小学校のうち3校が、全校児童数が10名に満たない極小規模校でした。

児童数が少ないと、同世代とのコミュニケーション量が減ってしまうため、それを解消するために複数の学校間で遠隔授業をできるようにして、遠隔でのアクティブラーニング(学習者である生徒が受動的となってしまう授業を行うのではなく、能動的に学ぶことができるような授業を行う学習方法)や地域内での交流活動を行えるようにしました。

遠隔授業の仕組みは「V-CUBE」を使って構築されました。
テレビ会議システム「V-CUBE Box」とクラウド型Web会議システム「V-CUBE ミーティング」を導入することで、離れている学校同士でも安定した画質と音声でのテレビ会議が簡単にできるようになりました。

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※V-CUBEの事例紹介より。

生徒数が少ない小学校へ通っていた生徒は「同級生がほしい」という思いがあったため、実際にテレビ会議を繋いだところ、大喜びで意見交換をし始めたようです。遠隔教育により、学習という面で多様な考え方に触れる機会ができる点は大きなメリットですが、「日常的なコミュニケーションを取れる機会が増えた」ということも大きな価値になりました。

また、遠隔授業だけではなく、教職員の会議や研修でもWeb会議が利用されるようになりました。自校にいながら研修や会議に参加できるため、教職員の移動負荷を大幅に削減することにも成功しました。


東京都との学校とも遠隔で交流

郡上市と東京都港区は、友好交流都市として子どもたちの交流事業を行っていました。その一環として、郡上市と港区をV-CUBE ミーティングで接続して交流する取り組みも行っています。

リモート接続して交流を図ることで、人間関係も構築できるため、夏休みには実際に東京都の生徒たちが郡上市へ訪問するという体験イベントも行われていました。
今年はコロナウィルスの影響で訪問はなくなりましたが、オンラインでの意見交換が行われていました。


ポイント

V-CUBEを選定したプロセスが今回のポイントです。
今回は大きく以下3つの基準で選定されたようです。

◯ ITに詳しくない教職員でも、簡単な操作で学校間の接続ができるか?
◯ 安定した接続が可能かどうか?
◯ 極小規模校以外の全小中学校も低コストで遠隔会議を利用できるか?

Web会議/テレビ会議ツールというと、最近ではzoomやGoogleMeetなど多数のツールがあります。Web会議/テレビ会議ツールに限らない話しですが「このツールを選べば確実に問題ない」というものはありません。なぜなら、ツールを使う会社・学校・組織で求める要件が変われば、選定すべきツールも変わるからです。

例えば今回の事例で、zoomを採用したとすると、ここまでの成果は出なかったかもしれません。zoomは最初にインストール作業が必要ですし、音声と映像はネットワーク環境に依存してしまうためです。今回は専用線を使うテレビ会議システムである「V-CUBE」を使ったため、安定した音声と映像を実現できています。

こういったように、システム・ツールは数多く世の中にありますが、どれを選ぶべきかは要件によって変わります。そのため「選定基準」をしっかりと持つことが重要です。

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