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兵庫県神戸市|自治体が手数料負担、飲食店とテレワークを推進

今日は、神戸市がスペースマーケット(貸し会議室や民泊など、空きスペースを活用して貸し出すことができるサービス)と提携して、飲食店の空いている席をテレワーク用の場所として貸し出す取り組みを始めた、という事例です!神戸市が手数料の一部を負担し、積極的に飲食店の支援を行っています。

2020年、飲食店の倒産は過去最多

改めて言うまでもなく、昨年2020年は実店舗を持つ事業者にとって大打撃を受けた1年でした。2021年2月19日現在も、東京では緊急事態宣言中で飲食店には時短営業が課せられている状況です。

密を避ける、複数人での食事を避けるなどのコロナ対策によって、飲食店の来客数は大幅に減少し、売上を確保できないため倒産してしまうお店も少なくありません。

何となく倒産も多そうだな…というイメージはつくと思いますが、実際に倒産件数のデータを見てみると、過去最多の倒産件数だったことが分かります。

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※出典:帝国データバンク

これはあくまでも帝国データバンクが把握している数字だけですので、小規模店舗を含めると780件では済まないと思います。実際に、いつの間にか近所の飲食店が閉店してしまった、という経験のある方も多いのではないかと思います。

そして、現在もなお緊急事態宣言中で厳しい状況が続いています。「コロナが終わるまで何とか耐え凌ごう」という対策が打ちにくい状況です。

いつコロナが収束するか分かりませんし、第二波・第三波と言われているように、今後いつコロナが拡大するか分からず、長期戦になる可能性が高いからです。

そこで飲食店が生き残る手段として、テイクアウトやECサイトでの販売をする、といった取り組みが行なわれています。(UberEatsの対象店舗も2020年で一気に増えました)

テイクアウト以外の施策として最近飲食店やホテル、カラオケなどが取り組んでいるのが「空きスペース貸し」です。

空きスペース貸しの可能性

最近では、1月に緊急事態宣言が発令された際に、カラオケ館が「緊急キャンペーン」と題して室料を無料にするキャンペーンを実施していました。これはカラオケの利用客を増やすというよりも、テレワークで利用する顧客を狙った施策ではないかと思います。

同様に、ホテル業界でも、テレワークで利用できるように空き室を貸し出しているところが増えています。

この背景としては、自宅では仕事が捗らない問題があります。

在宅で仕事をする前提で住む場所を選択していないので、そもそも自宅で仕事をするには適していないという問題があります。あとは、自宅で一人で仕事をするとどうしても集中できない、という声もよく聞きます。

自宅以外の場所で仕事をするとなると、飲食店やホテル、カラオケなどの空きスペースを活用することが有効です。集中せざるを得ない環境で仕事をするということです。

自宅では集中して仕事ができない→しかしテレワークが推奨されている→密を避けて外で仕事ができる場所を探す→飲食店・ホテル・カラオケなどの空きスペース使う、ということですね。

空きスペースの活用に着目したのが、神戸市です。

空きスペースを貸し出せるサービス「スペースマーケット」と連携し、神戸市内の飲食店を仕事場として活用する取り組み「KOBE Work Space Share」を始めました。

「KOBE Work Space Share」飲食店とテレワーカーを支援

自治体が場所を貸し出すサービスを行っている事業者と連携して飲食店を支援する、という取り組みは全国初です。2021年2月4日から3月31日までの約2ヶ月間が実施期間です。

内容としては、神戸市内の飲食店がスペースマーケットに登録して掲載し、テレワーカーがスペースマーケット上で場所を探して予約するというものです。ただ、この内容自体はスペースマーケットを普通に使うときと同じです。

神戸市では手数料の一部を負担するという取り組みを行っています。

まず、通常であればテレワーカーは場所の利用料+手数料をスペースマーケットへ支払いますが、1席1時間あたり一律100円として手数料がカットされます。

また、飲食店側についても、通常は30%の成約手数料がスペースマーケットに支払われるところ、半額の15%に軽減されています。

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※出典:神戸市×スペースマーケット「KOBE Work Space Share」(スペースマーケット公式HP)

WiFi付きのテレワークスペースが1時間100円で利用できるというのは破格です。例えば東京都内にあるコワーキングスペースだと、1時間の利用料が500円くらいかかるところが多いです。

もちろんコワーキングスペースと比べると仕事をする環境としては多少整っていないところはあるかもしれませんが、それでも1時間100円という金額は魅力的です。

また、こういった取り組みを自治体が取り組むという点が素晴らしいと感じました。飲食店が困っている(それどころか瀕死の状態)のは誰の目にも明らかですが、そこに対して具体的な施策を実行している自治体は少ないように思います。

空きスペースを活用するというのは飲食店に限らず、今後益々増えていくように思います。

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