長野県塩尻市|AI活用や自動運転のバス・タクシーで『MaaS』を推進
長野県塩尻市と言えば、以前からIoTセンサーを使って鳥獣被害対策を行っていたり、積極的にICTを活用を行っている地域です。
塩尻市で、また新たなICT活用の取り組みを開始されていたので、ご紹介します!
事前予約して利用するオンデマンドバスを活用し、AIを使った自動運転のバス・タクシーの実証実験をはじめました、という内容です。
なお「MaaS」というのはICTを活用して交通手段を変革することを指します。MaaSの定義や静岡市での取り組みについては以前ご紹介しました。
高齢者の移動手段がない問題
長野県塩尻市は長野県の真ん中あたりにあり、山間部も多い地域です。こういった地域で問題となるのが「移動手段」です。
山間部に済む方たちは基本的には自家用車で移動しています。自家用車以外だと、定期的にバスが運行していますが、1時間に1〜2本ということが多く、便利とまでは言えない状況です。
自家用車が必要な地域に高齢化という課題が合わさると、運転のできない高齢者(運転免許を返還した方など)が移動する手段がなくなってしまう、という深刻な課題が表れます。
外出する際は同居する家族が車で送り迎えできればよいのですが、高齢者だけで生活している家庭ではそれができません。
そこで、通常運転しているバスだけでなく、自治体が運営するコミュニティバスのような移動手段が出たりしています。
運賃収入だけで事業を成り立たせるのではなく、まちづくりや外出支援と連携した、自治体が取り組む政策的なバスサービスがコミュニティバスです。
コミュニティバスの利用者が減少している
塩尻市でも1998年からコミュニティバスの運行を開始していました。
しかし、2008年をピークに年々利用者が減少しているようで、、2019年にはピーク時から20%も減少しています。
利用者が減ってしまった要因は大きく2つあります。
1つ目の理由は、幹線道路など通行量の多い道路沿いに構える店舗が増えた一方でコミュニティバスは幹線道路を通らないので使わなくなってしまったということです。
2つ目の理由は、利便性が低いということです。時間帯によっては1時間に1本しか運行していなかったり、20年前と同じバス停に停留するため、歩いたほうが早いケースが増えているのです。(例えば、昔は商業施設の目の前がバス停だったが、今はその商業施設がなくなっているがバス停だけ残っている、など)
こういった背景から「AI活用型オンデマンドバス」「AIを使った自動運転のバス・タクシー」の活用を始めました。
AI活用型オンデマンドバスとは
オンデマンドバストは、利用者が事前に予約することでその都度、それに合わせて運行するバスのことです。ここ最近、各地域でオンデマンドバスの利用は増えていますね。
塩尻市では、AIを活用したオンデマンドバスの運行を開始しています。アプリや電話で予約をすると、約10分弱でバスが到着し、目的地まで連れて行ってくれます。
※出典:第16回 長野県塩尻市:コミュニティバスからオンデマンドバスに転換、自動運転も視野に
どこがAIなのかと言うと、運行状況(道路の混雑状況)や、一緒に乗り合わせている乗客の降車場所に応じて、AIが最適なルートを設定してくれるのです。
AIを使った自動運転のバス・タクシー
自動運転バスについては、2020年10月から茨城県境町でも取り組みが行なわれていますが、まだまだ実験段階で本格的な導入はこれからです。
塩尻市でも、自動運転のバスやタクシーはまだ実証実験の段階です。民間企業と連携しながら実証実験を進めています。
現時点では、全ての場所を自動運転で対応するのは難しいため、拠点間を移動する際に自動運転バスを利用し、拠点内の移動はオンデマンドバスを活用するという方針で進められています。
拠点内の移動となると、細い路地を通ったり、入り組んだ道を通ったり、ということが出てくるので、自動運転するにはまだ厳しいということですね。
※出典:第16回 長野県塩尻市:コミュニティバスからオンデマンドバスに転換、自動運転も視野に
オンデマンドバスと自動運転を組み合わせて、今できることを最大限に行っているということで、今後自動運転がさらに広がっていって欲しいなと思います。
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