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静岡県静岡市|MaaSへの取り組み事例紹介(AI相乗りタクシー、シェアサイクル)

静岡県静岡市は、人口約70万人の政令指定都市です。
静岡市には、日本平、駿府城、久能山東照宮(徳川家康の埋葬地)などの名所があります。たまに知らない方がいるのですが、ちびまる子ちゃんの舞台となった清水市は現在存在せず、静岡市と合併したため清水区として存在しています。

以前取り上げた、完全オンライン授業を早々に実現した静岡聖光学院(私の母校)があるのも静岡市です。

今回は、静岡市が今まさに取り組んでいるMaaS(マース)の事例をご紹介します。

MaaSとは?

MaaS(マース)とはMobility as a Serviceの略です。

MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である。
※出典:国土交通政策研究所の記事より

若干分かりにくいと思いますので、具体例をいくつか出します。
・月額サービス料を支払うことで共用の車を利用できる
・一般の方がドライバーとなり移動したい人を乗せる(Uber)
・車の相乗りを行う
・自転車の貸出と返却を自由に行う
など

こういった移動手段のサービス化全般を指します。
富山県朝日町のMaaSへの実証実験は以前取り上げさせて頂きました。

MaaSへ取り組む意義

富山県朝日町や静岡県静岡市など、MaaSへ取り組む地域が少しずつ増えています。MaaSへ取り組む意義については、以下のような点が考えられます。

◯ 必要なときだけ移動手段があればよい、交通機関の混雑状況をリアルタイムに知りたい、といったニーズへ答える

◯ 高齢化が進む一方で、自分で運転することが困難である高齢者の移動手段が少ないという課題への対応

◯ 自動運転・AIなど新しい技術へ取り組むことでイノベーションを生み出す

「しずおかMaaS」の取り組み内容

静岡市の取り組みは、静岡型MaaS基幹事業実証プロジェクトと名付けられ「しずおかMaaS」と呼ばれています。しずおかMaaSへ取り組むために、2019年5月に官民連携コンソーシアムが立ち上がりました。

これまでにいくつかの実証実験が行われたので、その中でもピックアップして2つだけご紹介します。

(1)AI配車による相乗りタクシーの実証実験

AI相乗りタクシーとは、AI(人工知能)が複数の乗車要求をリアルタイムに組み合わせて、効率的な運行を実現させるという仕組みです。乗降場所を自由に決められるタクシーの良さと、他人と乗り合うことで安価に利用できるバスの良さを組み合わせたサービスです。

利用者は、専用の Web アプリを用いて希望する乗降場所を指定し、AI が配車したタクシーに乗車します。運賃はWeb アプリに事前登録したクレジットカードで決済するため、車内での決済は不要です。AI 相乗りタクシーは、通常のタクシー料金より 25%安い運賃で使うことができます。

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※出典:AI 相乗りタクシー実証実験の実施

最初に行われた実証実験では、相乗り発生率が19.7%、今後もサービスを利用したいと回答した人が72%という結果が得られました。

前向きな結果が得られた一方で、改善事項も得られました。
 ・モニターの人数が少なかった
 ・1アカウントで1つのクレジットカードしか登録できない(変更不可)
 ・タクシー運転手と直接連絡が取れない

(2)静岡市シェアサイクル事業 PULCLE(パルクル)
静岡市内の町中に複数のサイクルポートを設置し、自転車の貸出・返却ができる取り組みです。PULCLE(パルクル)の普及により、公共交通機関の補完や利用促進、自動車交通の抑制による環境負荷の軽減、自転車を所有から共有に切り替わることによる放置自転車の減少、町中の回遊性向上による地域活性化を目指しています。

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※出典:静岡市 HP


(3)〈今後の取り組み〉混雑見える化&電車快適クーポン
センサーカメラの技術を使い、電車のリアルタイムな混雑度をWebやアプリ・特定駅のサイネージで確認できるようになります。

それだけでなく、電車が混雑していない時間に乗車するとお得なクーポンを取得できるようになります。ランチで使えるお店や居酒屋・日用品店など、約80種類のクーポンを配信する予定です。


ポイント

本記事では一部の取り組みしかご紹介しませんでしたが、大小合わせて様々な取り組みを行っています。今回のポイントは、実証実験や取り組みの手数の多さです。

例えば、住民の暮らしが大きく変わるような大規模な取り組みはインパクトが大きく注目されやすいというメリットがある一方で、失敗するリスクも大きくなります。計画段階では上手くいくかどうか分からないことがほとんどですので、失敗のリスクを下げるためには、実証実験を繰り返し行って、改善を繰り返してブラッシュアップしていく、というアプローチになります。

ベンチャー企業が新しいサービスを生み出す際に、実際に世の中にサービスを出してみて独自のデータを取って、課題の仮説検証を行うのと同じようなイメージです。

行政と一緒に新しい取り組みを行おうとすると、どうしても計画や事前調整などに時間がかかってしまい、肝心の施策実行が遅くなってしまうことが往々にしてありますが、実証実験など「まずは新しい取り組みをやってみること」「取り組みの手数を増やして検証をたくさん行うこと」という点が重要ではないかと思います。


最後にお知らせです!

「ICTを活用してこういう取り組みを行っているから、PRしたい!」
という自治体や企業の方がいらっしゃいましたら、Web会議で45分取材させて頂き、後日記事にして本noteへ掲載します!

本noteは毎日200人以上の方に見て頂いていますので、知ってもらうキッカケになれば幸いです。

一切費用は頂きませんので(事例を勉強させて頂くということだけで十分有り難いためです)、下記フォームからお気軽にお問い合わせください!


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