見出し画像

和歌山県和歌山市|人参の新ブランドを確立、4年間で生産量を30%増加

和歌山県和歌山市は、和歌山県の北部にある県庁所在地です。県全体の面積の約4%ほどですが、県人口の約40%が暮らしています。

2017年度のグッドデザイン賞ベスト100にも選出された、人参「こいくれない」の事例紹介です。


通常の人参は収穫・出荷できる期間は1ヶ月

通常の人参は1地域での出荷可能期間が1ヶ月程度でした。収穫数・流通量が限られてしまうため、全国各地へ届けることが難しく、農家の売上高の上限が決まってしまいます。

この課題に対して、ノーリツ鋼機の社内ベンチャーとして2009年11月に起業された「NKアグリ株式会社」が取り組みました。


6ヶ月間出荷できるブランドを確立

「こいくれない」という人参のブランドを作りました。これは、は NKアグリ社の管理により栽培されたニンジンの商標です。紅⾊が特⻑で⽢みが強く、⼀般のニンジンにはほぼ⼊っていないリコピンを豊富に含むという特徴があります。

リコピンとは、植物などに含まれる赤色やオレンジ色の色素成分・カロテノイドのひとつ。 β-カロテンなどの仲間といえば分かりやすいですね。 リコピンはそのカロテノイドの中でも抗酸化作用が高く、同じく抗酸化作用を持つビタミンEの100倍以上! 健康や美容の面からも、さまざまな効能が期待されているのです。
※KAGOMEのHPより。

IoTセンサーを設置し徹底してデータ化し、それを活かしたコミュニケーションに力を注ぎ、複数の産地でも導入可能な収穫時期予測システムを構築しました。

データの蓄積にはサイボウズ社の「kintone」を使いました。IoTセンサーとkintoneを連携し、室温・水温・野菜の育成状況などをデータとして管理できるようになりました。また、野菜の育成状況だけでなく現場の営業メンバーが売上情報などを入力することで、生産状況だけでなく売上状況も見える化されました。

画像1

※画像はkintoneの事例紹介からお借りしました。ありがとうございます。

IoTセンサーは全国各地に設置したため、一つの地域では1〜2ヶ月程度の出荷期間でしたが、地域を繋いで生産することで各地域合計すると6ヶ月間出荷することができるようになりました。


4年間で生産量を30%増加

「kintone」を導入したことにより、4年間で生産量を30%増加させることに成功しました。また、販売ロスを0.04%という極めて低い数字に抑えることにも成功しています。

また、全国の農家にも展開され、10都道府県の約60人の農業生産者の所得安定化も実現しました。


ポイント

IoTセンサー自体を全国に設置してデータを集めるという仕組みは、IoTやクラウドという仕組みならではだと思い、非常に参考になると感じました。

それだけでなく、今回のポイントは「KPI」を設定したことです。

KPIとはKey Performance Indicatorsの略です。日本語に翻訳すると「重要業績評価指標」です。分かりやすく説明すると、組織の達成目標(売上高など)に対して、目標達成度合いを評価する評価指標です。目標達成に向けたプロセスにおける達成度を把握し評価するための「中間目標」として非常に有効なのがKPIです。
※出典:https://www.hito-link.jp/media/column/okr/kpi_kgi

ICT活用においては、導入後実際に何がどう変わったのか、という効果を測定することが重要です。機能が豊富で先進的なシステムを導入したけれど効果は出なかった、ということが分かったら取り組みを見直す必要があるからです。

そのため、具体的な数値目標であるKPIを設定し効果測定することが重要です。今回使ったkintoneだと、カスタマイズを前提としているため、自分たちが必要とする独自のKPIを管理しやすかった、という仕組みの話もあります。

独自の指標が必要なのかどうか、という判断軸でシステムを選定することも重要な要素の一つだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?