見出し画像

北海道江差町|伝統のお祭り×IoTで位置情報の見える化

今日は、伝統的なお祭りにIoTをかけ合わせて山車の位置情報を見える化したという事例をご紹介します!

昨年からはコロナ禍で開催が難しくなってしまい非常に残念なのですが、全国各地では例年様々なお祭りが開催されています。個人的に、屋台のお店で買った焼きそばを食べながらお酒を飲むというのが最高で、お祭りは好きです。雰囲気がいいですよね。

ある程度大きな規模のお祭りになってくると、屋台が多かったり、神輿や山車(だし)がたくさん出てきたりするので、観光客にとっては何がどこにあるのか分からず、右往左往してしまいますよね。

私は高円寺に住んでいるのですが、毎年8月に開催される高円寺阿波おどりへ毎年行っています。約1万人が踊り参加すると言われており、いろいろな団体が参加しているのですが、どの団体が今どこを通っているのか分からず、行きあたりばったりで見ていたりします。

そこでIoTセンサーを活用して位置情報を取得し、神輿や山車の現在地を見える化する取り組みを行ったのが、北海道江差町(えさしちょう)です。「江差・姥神大神宮渡御祭」という370年の歴史があるお祭りでIoTを導入しました。

画像2

※出典:北海道無形民俗文化財「江差・姥神大神宮渡御祭」観光客に向けてIoTで練り歩く山車(ヤマ)を追跡(KDDI)

(余談です)山車と神輿の違い

いきなり余談から入ってしまいますが・・・山車(だし)と神輿(みこし)の違いご存知ですか?

北海道江差町のお祭りでは山車が使われているのですが、そもそも神輿と何が違うのだろうか…と思い、私も知らなかったので、調べてみました。

(1)目的が違う
神輿は神様が神社から出発して旅をする際に使用する「神様の乗り物」です。移動手段ということですね。一方、山車は神様に天から地上に降りていただき「もてなす」というのが目的です。

神輿は移動手段なので御宮の中に神様が居るとされており、人が神輿の上に乗ることは禁止されています。しかし、山車は神様が降臨してもてなすことが目的なので、神様が見つけやすい目印となるため山車の上に人が乗ることが認められています。

(2)移動方法が違う
神輿は人が担いで移動しますが、山車は縄で引っ張って移動します。山車は数トンから数十トンの重さがあるので担ぐのは厳しそうですね…。

ということで余談でした。ここから本題に移ります。

山車にGPSを導入

北海道江差町のお祭りでは約30,000人の観光客が訪れます。広い地域を13台の大きな山車が移動するため、土地勘のない観光客にとっては山車を探すのが一苦労でした。

そこで、山車にGPSを設定し位置情報を取得できるようにし、取得した位置情報をKDDIのクラウドを通じて江差町のサーバーへ送信し、地図情報へ表示することで山車の場所を見える化しました。

なお、GPSの位置情報は5分間隔で取得され、地図へ表示されます。

画像2

※出典:北海道江差町 伝統のお祭りでIoTを活用(KDDI)

仕組みとしてはシンプルですが、観光客にとっては非常に有益な仕組みですよね。

なお、今回使われた技術はKDDIの「KDDI IoTクラウド Standard」というものでした。初期費用1万円、月額費用7千円〜、という安価で利用ができるため導入へのハードルもそれほど高くないと言えます。

遠距離通信ができる注目技術「LPWA」

今回の仕組みでは「LPWA(Low Power Wide Area)」という、低消費電力で長距離の通信ができる技術が適用されていました。

LPWAを使った事例は以前も取り扱いましたが、長距離の通信が可能で消費電力が非常に少ないということで、注目されている技術です。

なぜそれほど注目されるのかと言うと、IoTセンサーを使うときは長距離で利用するケースが多いことと、IoTセンサーの電池交換を頻繁にしなくても良いことです。

例えば今回の山車であればそれほど大変ではありませが、山間部にセンサーを設置するとなると、頻繁に訪れて電池交換するのも大変ですし、山を超えてデータを通信しなければいけません。すると、通常の通信技術では届かないのです。

ということでIoTを活用する際には「LPWA」が使われることが多いです。
注目の技術です!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?