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宮城県女川町|災害時でも通信できる「耐災害無線ネットワーク」を運用

今日は、宮城県牡鹿郡にある女川町で災害時にも通信が途切れないようにする無線ネットワークを導入し運用している、という事例をご紹介します!
実証実験を開始したのは2014年でかなり前の話ですが、今でも十分活用でき役立てるICT活用事例です。

2011年3月11日の東日本大震災が起こってから、明日で10年となります。東北地方では甚大な被害を受けたことは皆さんご存知のとおりです。

震災などの災害が起こったときに困ることの一つが、電話やメールなどが使えなくなり、連絡が取れなくなることです。同じ地域に住んでいた家族がお互いに無事なのかどうか、どこの避難所にいるのか、といったことを確認する手段を失ってしまうからです。

しかし、ネットワークに接続できない状況になっても、地域内で独自の無線ネットワーク環境を整備しておくことで、お互いに通信することが可能です。

ということで、通信の集中が起きづらく、ネットワークの切断などが発生しても、通信機能を最大限維持することのできる「耐災害ワイヤレスネットワーク」を女川町で導入した、というお話しです。

一度は行くべき!女川町の目覚ましい復興

コロナが拡大する前、2020年2月に僕は初めて女川町へ行きました。駅はとても綺麗で、周辺施設も充実しており、海産物などの食べ物も美味しいという最高の場所でした。

駅のすぐそばには「女川フューチャーセンターCamass」という施設があり、ここはコワーキングスペースとして利用できるので、テレワークで仕事を行うこともできる環境が整っています。

施設はとても綺麗です!

また、駅から徒歩1〜2分のところには「シーパルピア女川」という施設があり、飲食店からお土産物屋まで様々なお店が入っています。

こちらも施設全体が綺麗で、町並みもとても良い感じです!

シーパルピア女川で食べた海鮮丼が本当に絶品でした!

2011年の東日本大震災が起きた際、女川町も壊滅的な被害を受けており、町の約7割が全壊したと言われています。甚大な被害を受け、精神的にも大きな傷をおった状態でも約10年経った今では、素晴らしい施設がたくさんできていて、観光客も訪れる素敵な町となっていました。

女川町は、仙台から電車を乗り継ぎ、約1時間半ほどで行くことができ、アクセスも良いので、ぜひまたもう一度遊びに行きたい町です。

災害時でも機能する通信環境が必要

震災の被害にあった各地域では、震災後、様々な防災対策が取られています。女川町でも、震災後にライフライン(電気・水道・電話等)が壊滅し、2011年4月末から9月末にかけて順次復旧していた状況でした。

そのため復興計画として、

・津波発生時に速やかに情報伝達できる体制や仕組みを作ること
・災害時にも機能する情報通信環境を確保すること
・避難所等の情報通信利用環境を整備すること

などが挙げられました。

このうち、災害時でも情報通信環境を確保するために、災害に強い「耐災害ワイヤレスメッシュネットワーク」が導入されました。

災害に強い「耐災害ワイヤレスメッシュネットワーク」

災害時でも通信が途切れにくい「耐災害ワイヤレスメッシュネットワーク」の仕組みとしては、まず固定型の無線局を複数設置します。それぞれの無線局でデータを一時保存する機能やお互いの無線局間でデータを共有・通信する機能が備わっているので、例え一部の無線局が災害で使えなくなっても、残りの無線局によって通信機能を維持させることができる、というものです。

女川町では、女川町役場、地域医療センター、勤労青少年センター(つ
ながる図書館)、冷凍冷蔵施設に無線局を設置しました。

※出典:宮城県女川町で運用開始! 被災自治体での災害に強い無線ネットワークの実証実験

また、専用のアプリをインストールしておくことで、インターネットが支えなくても、上記の無線ネットワークを介して音声通話をすることができます。そのため、インターネット環境がなくても、女川町内での安否確認をすることができます。

実際に行なわれた実証実験では、

・音声アプリケーションによる通話も良好に機能した。
・操作面では、市販のスマートフォンを活用したため、女川町担当職員も戸惑うことなく利用された。

といった声が上がっており、有効性も保証されています。

防犯カメラの映像をリアルタイムに確認できる

無線ネットワークを行うための機器だけでなく、地域医療センターには防犯カメラも設置されました。地域医療センターは、女川の海や町の中心部を見下ろせる高台にあるためです。

※カメラ映像の実例(女川湾の様子)

※出典:宮城県女川町で運用開始! 被災自治体での災害に強い無線ネットワークの実証実験

海の様子をリアルタイムに確認し、遠方の海面の様子を見ることで、津波発生時にすぐに住民へ避難指示を出すことができます。

実際に、2014年に起きたチリ沖地震による津波警報発令の際に、夜間でも潮位変動の様子を鮮明に確認できたそうです。また、地震だけではなく、台風や大雨が発生したときに、道路の通行状況を確認できるなどにも役立っています。


地震に限らず、台風や大雨の被害は全国各地で発生するので、被災地はもちろんのこと、災害が想定される全国各地域でこういった耐災害の無線ネットワーク環境の整備が進んでいけばと願っています。

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