福岡県大牟田市|Facebook・Amazonを活用した被災地復興支援
このnoteでは地方でのICT活用事例をご紹介しているのですが、ICT活用というのは、大掛かりなシステムや最先端の技術を使うということだけではありません。
個人的には、ITというのは手段でありツールだと思っています。つまり、何か実現したいこと(目的)があって、それを達成するためにITを使うだけ、だと思っています。
なので、例えばExcelを使えば解決する課題もあったりします。実際に、地方企業様からRPA(自動化ソフトウェアロボット)を導入したいというご相談をお受けした際に、「全てをRPAで対応するのではなく、数字の計算処理であればExcelの数式を活用した方が早いですし効率的にできるので、この計算処理はExcelを使って対応しましょう」と提案して、効率化を実現したことがあります。
このように、"ICT活用"というのは目的を達成できればツール・手段はExcelであろうとAIであろうと何でもいいんですよね。
目的に応じた手段として、ツールをしっかりと選定できることが重要なのではないかなと思っています。
福岡県大牟田市では、ツールとしてFacebookとAmazonを選び、豪雨による被災地の支援を行いました。SNSを活用して全国から支援物資を募り、適切に被災者へ配布したという事例です。
Facebook公開グループで物資の支援を呼びかける
昨年2020年7月、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で集中豪雨が発生しました。(令和2年7月豪雨)
特に熊本県では甚大な被害があったようですが、福岡県で最も大きな被害に見舞われたのが大牟田市(おおむたし)でした。
復興支援をするためには、迅速な対応ができること、誰でもすぐに見られること、被災地にいる方に負担がかからないこと、といったことが必要です。
そこでFacebookの公開グループ「【令和2年7月】大牟田市豪雨災害復興グループ」を立ち上げ、物資の支援を呼びかけました。
実際の公開グループはこちらです↓
例えば、支援物資を募るために大規模なシステムを作るとなると、早くても数週間くらいはかかってしまいますし、その新しいシステムを運用するとなると、操作を覚えたりしないといけないので、現場の被災地にいる方々の負担が大きくなります。
被災してから数週間後に支援物資を募るWebサイトが出来上がっても遅すぎるのですね。
そこで、すぐに立ち上げることができて、誰でも見ることができ、誰でもすぐに操作できるものとしてFacebookグループが選択されました。
グループを立ち上げた翌日には450人以上が参加し、今では1,800人を超える人数が参加するグループになりました。
なお、Facebookグループでは支援物資を募るだけでなく、支援物資の配布や現地の状況を報告する目的でも活用されていきました。
Amazonのほしい物リストを使って支援物資をリスト化
もう1つ活用したのはAmazonです。
使ったことのある方であればすぐイメージできると思うのですが、Amazonには「ほしい物リスト」という機能があります。
簡単に説明すると、プレゼントを送ることができる機能です。自分が欲しい商品をリストへ登録し、それを外部へ公開することで、リストの中にある商品を注文して届けることができる、というものです。
大牟田市では、復興に必要な高圧洗浄機、掃除用具、ゴミ袋、マスクや消毒液などの衛生用品、飲料水などをリストに登録しました。
そのリストを見て支援したい人が物資を購入すれば、すぐに現地へ届くという仕組みです。現地で本当に必要とするものを購入して送ることができるので、無駄なく、かつ有効な手段です。
必要な物資を届けることができる、という点は重要ですよね。
有名な話しですが、東日本大震災が起こった時、千羽鶴が全国各地から被災地に送られましたが、生活ができるかできないかという状況にいる被災地の方々にとっては必要な物資ではなかったという話があります。
気持ちは有り難いと思いますが、やはりまずは安全に生活することが第一なので必要なかった、しかも送った側の気持ちを考えると処分しづらかった、という話です。
こういった支援する側と支援を受ける側のミスマッチを防ぐ、という意味でもAmazonのほしい物リストは、有効なツールです。
実際の大牟田市が作成したほしい物リストはこちらです↓
(現在は支援物資の差し入れは終了)
今回の事例で使ったシステムは「Facebook」と「Amazon」だけです。これだけ聞くと、普段から使っているシステムですし、あまり凄くなさそうに感じてしまいますが、目的に合致したツールを選ぶという観点では100点だと思います。
AIを使う!IoTを導入せよ!といったように手段が目的化しないことが大事だと改めて認識しました。
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