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私の父は昨年の5月に亡くなった。
父の病気が発覚したのは一昨年の秋くらいで、分かった時にはもう“年を越せないかもしれない”と言われていた末期癌だった。

当時はまだ結婚していなかったので、旦那を紹介するという形で実家に帰り父の様子を見に行った。

元気そうな父に安心したけど「娘を頼んだよ」と父が旦那に言ったのを聞いて、帰りの電車でめちゃくちゃ泣いた。

結婚も出産も、もちろん旦那が先にしようと言ってくれていたものの、そうしようと決断したのは父の為というのが大きかった。

父が生きている間に結婚式を、父が生きている間に孫の顔を…そう思ったからこそ、付き合いの短い旦那との先も想像出来たんだと思う。

結局ドレス姿の試着の写真を見せただけで、結婚式も孫の顔も見せることは出来なかったけど。

それでも結婚指輪を見せに行った時に嬉しそうな顔をしてくれていた事は、一生忘れないと思う。

私は父が好きだった。嫌いになった事等一度もない。父は温厚で優しくて、無口だけど酔うと面白くて、休みの日には釣りに行ったり物を作ったりご飯を作ってくれたりして、人の悪口や愚痴を言うこともなかった。

それは病気になっても変わらなかった。私たちに弱音を吐くことはなかったし「孫の顔を見るまで頑張るよ」と言ってくれていたから。会社の人達にも同じ様な事を言っていたのを聞いている。会いにいく度に細くなっていく父を見るのは辛かったけど、笑っている父の前では絶対に泣かないようにした。

年を越せないと聞いてから半年も長く生きてくれたけど、もっともっと長く生きてほしかった。

父の容態が急変したと電話を受け急いで向かったけど最期を看取る事は出来なかった。でも安らかに眠ったと聞いて安心した。亡くなった次の日に、早いめに渡そうと思っていた父の日のプレゼントが届いた時は悲しかった。

何度も書き直しをしてここまできたけど、それでも思いを詰めすぎて文章はおかしいし、父の凄さや温かさは伝えきれないなと思ってる。

父は強い。強かった。父を尊敬している。だからこそ居ない事がとても辛くて寂しくて会いたいなと思うんだろうな。

父に息子を抱っこしてほしかったです。