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ウィルのスタッフにもいた元・ヤングケアラー。 "ヤングケアラー"ってなに?

ヤングケアラーとは?

 ヤングケアラーとは、以下のように定義されています。

「通学や仕事のかたわら、障害や病気のある親や祖父母、年下の兄弟などの介護や世話をしている18歳未満のこどものこと。家族の病気や障害のために、長期のサポートや介護、見守りを必要とし、それを支える人手が十分にない時には、こどもであってもその役割を引き受けて、家族の世話をする状況が生じる。介護のために学業に遅れが出たり、進学や就職を諦め対するケースもある。」(引用:Wikipediaより,2021年5月28日Access)

また、厚生労働省には一般社団法人日本ケアラー連盟から出ている以下のようなイラスト付きの表も掲載されています。

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埼玉県では2020年3月31日に埼玉県ケアラー支援条例(条例第11号)が定められ、これを皮切りに全国でも高校二年生・中学二年生を対象としたアンケート調査が行われ最近その調査結果が報告されています。そして新聞やテレビなどメディアで取り上げれることが多くなり現役のヤングケアラーに支援体制を築いていこうという動きが高まっています。

しかし、調査結果ではヤングケアラーの約8割以上が自ら¨ヤングケアラー¨と認識していない、自覚していないことも明らかになっています。

わたしは元ヤングケアラーです!

私(作業療法士:居馬)も元ヤングケアラーです。正直なところヤングケアラーという言葉を最近知ったくらいで、自覚がほとんどありませんでした。私の父は”てんかん”という、時々、突然気を失ったり急に怒ったりする疾患があります。物心ついたときには普通のことだったので周囲と比べ”ちがう”という認識をしておらず、「大人になったらみんな病気になって食後に薬は飲むもの」「みんなの親も同じようなもの」という認識でした。
また、母も未受診でしたが今思えばメンタル的な背景があったように思います。私が高校生の時に親友の家で飼われているワンちゃんがてんかん持ちで、「あんたのお父さんもこうやって痙攣するん?」と聞かれそこで父の病気は”まれな病気”なんだと気づきました。

在宅ケアでヤングケアラーと出会うとき

 私が高校を卒業して作業療法士の道に進んだのは決して「父が病気だから」ではなく「自分で選択して」決めた道です。総合病院に就職し患者さんと関わっていく中で、普通に接しているだけで他の人には言えないような本音を話してもらえることに気づきました。これは、私が病気の父にケアラーとして対応し続けていたおかげかもしれません。
そして今、訪問看護をしている中で利用者さんのご家族、特に”こども”の立場に対してとても気にかかることが多く、元ヤングケアラーは現ヤングケアラーと出会っていきます。私自身は「ここにも仲間がいたなあ」と思いながら関係が始まりますが、相手からすれば「自分の気持ちがわかる人なんてこの世にはいない」と思ってる時期の方もいます。でも、それも踏まえながら少しずつ巻き込んで関わっていこうとします。それは自分がヤングケアラー時代にそうやって周囲の人に救ってもらった体験が元になっているからです。

ウィル埼玉さやまとしてヤングケアラーへの支援のこと

人生や生き方の多様性が認められるようになってきた現代で、ヤングケアラーの存在はまだまだ一般的には認知されてないと思います。ヤングケアラーや自分も含めた元ヤングケアラーの人たちは、なんらかの制限をうけて人生の選択を狭められてきたかもしれません。あるいはなんらかのスティグマを抱えているかもしれません。
ウィル埼玉さやまでは病気や障害を抱えているご本人だけでなく、そのご家族や身近に支えている人たちもハッピーになれるように微力ながら支援をしていくことを目指しています。元ヤングケアラーやそのチームとして「ここにもいる」と存在を知ってもらうこと、委ねたり辛い時には話して良いことを伝えていきます。「こどもの立場」において、孤立せず抱え込まないことが大切です。だからこそ家族以外の繋がりが救いになることが大いにあるのです。そのような存在になれることを意図しながら日常的にケアを続けていますし、それを期待されて依頼が来ることも珍しくありません。在宅ケアは「相互に作用しながら」展開されていくケアでもあると思います。私自身の経験や体験が苦しんでいるかもしれない人々へ少しでもケアにつながるなら、それが「全ての人に家に帰る選択肢を」広げることに直結することでもあると思っています。

ウィル訪問看護ステーションでは「全ての人に家に帰る選択肢を」理念に様々な利用者に対し24時間365日の訪問看護を提供しています。

ウィル訪問看護ステーションでは随時見学や相談等を受けつけていますので是非お気軽にご連絡ください。


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