言の葉譚＜013＞英会話習得の奥義、鸚鵡返し

英会話習得の奥義おうぎ、鸚鵡おうむ返し

世にさまざま流布してゐる語学テキストの中には、これ一冊で万難解決とさえ豪語するものもあり、それを信じて求め一心に学んでみたが毛程けほどの効果もないとも聞く。英会話修得の近道として、結構高いカセット（今はDVDかな？）のセットを薦められて買ひ、三月みつきも試して、効果が感じられずに放り出した話も聞く。それぞれに所謂いはゆる費用対効果、努力対効果が悪いエヴィデンスだ。終ついの住処すみかは諦めの境地、英会話は習えるものじゃないと云ふ結論だ。

だが、果たしてさうだろうか。英語の会話を自習することはできぬものだらうか。吾輩はさうは思わない。思わないどころか、それ相当の知恵と飽かぬ努力を怠らなければ、必ずや克服できるものだ、と公言して憚はばからぬ。本稿ではその奥義を披露して、この課題を前に懊悩おうのうしてゐる輩に助力の一臂いっぴを貸さうと思ふ。

奥義と言へば剣道や忍術の秘法の伝授にも聞こえやうが、さしたる秘密めいた術ではない。至極当たり前の技乃至ないし方策だから、聴かれる諸賢もいたずらに畏かしこまられることもない。ないが、ひとつふたつの前提、約束ごとはある。これらの前提だけは厳に充足していただく。それさへお願ひできれば、英語の会話は月単位で習得されることを保証させていただく。