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キリスト教について

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「キリスト教理解」の理解について
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#柳田國男

神の五指としてのキリスト教

 キリスト教とは何か。多くの日本人にとって、難しい問いだと思う。質問も答えも、立場によって少しずつ異なる問いかけだ。おそらく一般的には、キリスト教の印象は、まず「結婚式」、次に「エクソシスト」などのオカルト関係になるだろう。または荘厳な礼拝堂や絵画だ。つまりサブカルチャーの背景文化として思いつくものがキリスト教だ。それ以外は「欧州の宗教」だとか「イスラム教と仲悪いの?」とかにとなるだろう。  キリスト教とは何か。多面的な問いだから、答えも複眼的になる。  歴史的には「五大

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天譴論とキリスト

 10年ほど前、「ぼっち大学生チャット」に入り浸っていた。2ちゃんねる経由のフラッシュ・サイトである。初めての海外で大学院、慣れないことばかりで、日本語チャットで会話することに大きな慰めを得ていた。  2011年3月11日。のちにチャット仲間から伝え聞くに、どうやら震災でサーバーダウンしたことで、同サイトは消滅したらしい。管理者が津波にさらわれたのかも知れない。以来、電脳の依代だったサイトが回復することはなかった。  先月11月23日、月曜の朝。ない時間を絞り出して、柳田

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トンビと鼠とキリスト

  著名な児童文学作家で、谷真介がある。相当な数の作品を発表しているが、彼の仕事のひとつに「キリシタン童話昔ばなし」がある。おそらく、その仕事の集大成、または基礎となった著作が、新版『キリシタン伝説百話』(新泉社、2012年)である。  控え目にいっても珠玉にして出色、最高峰のキリシタン文学短編集だと思う。本書が収録するのは、日本土着の民話とキリシタン伝承の融合した諸伝説である。一話毎に感想を綴りたいほどに美しい。誤解を恐れずにいえば、これこそ、日本語で書かれた福音書と言っ

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