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映画感想「カサブランカ」

最近は特に未視聴の名作映画をYouTubeで見ることにした。今日2024年02月12日は映画「カサブランカ」(1943)をみた。「カサブランカ」はベスト映画ランキングの常連であるということは何度も見かけてはいたが、今日までついに通して見ることはなかった。話の舞台は、第2次世界大戦中のヴィシー政権下のフランスの海外領土、アフリカ北西の仏領モロッコのカサブランカ市である。当時は多くの人がここから米国に出国するためのビザを手に入れようとするも、なかなか手に入らずに滞在していたのが背景である。


カサブランカ市の位置。

この作品はほぼリアルタイム、つまり米国参戦の翌年に制作が開始されたというのも驚きである。だから、愛国心を促進するようなプロパガンダ要素があることは割引かなければならないかもしれないが、一方、限界状況の中でのラブロマンスとしてもしっかり描かれている。

すぐにわかることは、ハンリフー・ボガードを始めとする役者陣が豪華であり、演技も役柄もキャラ造形も際立っているということである。ヴィシー政権下でカサブランカを統治しているフランス人将校もちゃっかりした男でいい味を出している。また、主人公が居酒屋の経営者をしていることもあって、一種ナチス将校をならず者とした西部劇のような雰囲気も混ぜられているのだろう。

また、今日でも伝えられている、そしてあまりにも人口に膾炙(かいしゃ)し過ぎてかえって誰も言わなくなってしまった印象である「君の瞳に乾杯!」は何度も出てくるし、また、序盤の「(昨日のことなんて)そんな昔のことは忘れた。(明日のことなんて)そんな先のことはわからない」という言い回しもミームとして少なくとも数十年前までは生き残っていた。それのオリジナルがこのカサブランカにあったわけだ。

ラブロマンスとしては不倫や典型的な三角関係が描かれるが、過去のパリにおける主人公と女性の関係はお互いの素性を知らないままの刹那的な関係でありながらも二人には特別で忘れられないものであった。時が経ち、女性は別れて置き手紙で二度と合わないと宣言して別れたにも関わらず、二人はカサブランカという街で再開をは果たしてしまう。彼女は昔愛した男と今のパートナーを選ぶことが難しい状態に置かれる。一方、主人公は相手の男性同士でお互いに一人の女声に硬く愛していることを確認し、カサブランカ脱出をサポートしてあげる。その後の展開も、主人公の居酒屋は操業不能になったが、希望を持たせるもので、決してバッドエンドではないのもよい。

映画の構成としては極めて古典的で構成が素晴らしく、私が見た少ない映画の中では映画「カリオストロの城」より上位に格付けたい。

(1,099字、2024.02.12)

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