アイドル・フィロソフィー

 アイドルの曲が好きだ。グッとくるメロディラインや心奪われるいかついフレーズ、鮮やかな転調など挙げればキリがないが…いや、それらはあくまで大義名分で実際には元気いっぱいのアイドルの方々の華やかさ・煌びやかさに、ただただ魅かれているのだろう。アイドルの楽曲には言語化できない不思議な魅力がある。ただ、いまでこそ楽しんでそういった楽曲に親しんでいるが、能動的に聴けるようになったのは大人になってからだったりする。

 いまは昔、小学2年生のころ当時のヒットチャートを賑わせていた、モーニング娘。の『そうだ! We’re ALIVE』を何の気無しに鼻歌で口ずさんでいると(20年弱の時を経て、最近この曲が話題になっているのもおもしろいなと思う)、クラスの女子に「男子なのにモー娘。歌ってんの?キモー!」と言われた。その時に「あぁ、男がアイドルを好きなのはキモいんだな」と認識し、幸か不幸かモー娘。に強い思い入れがあったわけではなかったので、以来、潜在的にアイドルを遠ざけるようになった。
 高校時代はというとAKB48全盛の時分で、アイドルが爆裂に市民権を得て行っている情勢だった。幼少期の思い出に加え、思春期の男子特有のプライドというか恥じらい、更には部活のチームメイトがこぞって握手会などに行っており、自分はチームメイトが苦手だったので逆張りもあったりと、様々な要因からアイドルからさらに遠ざかっていった。(握手券商法でヒットチャートに食い込みまくってたのもいい気分ではなかったなと。最近もまだ続いてんですかね。ただ、今思うと耳馴染みいい曲多かった…)

 そんな自分の転換点は大学3年生のころであった。軽音楽サークルに所属していたのだが、文化祭で友人がでんぱ組.incのコピーバンドをやることになっていた。「アイドルなんて」と斜めに構えていた私に友人が音源をくれた。聞いてみて、完全にやられた。すごすぎる。いろいろなバンドだったりミュージシャンの楽曲に親しんできたが、最高に好きな方々と最初に出会ったときと同じ熱量がそこにはあった。演奏技術的にも壮絶なプレイが繰り広げられており、楽曲的見地を盾に(まだ思春期が抜けていない…)、それからというもの一心不乱にでんぱ組の楽曲を聴き漁った。特定のバンドにハマるとそれしか聴かなくなる嫌いがあるので、大学3年の後半は、ほぼほぼ履歴がでんぱ組に支配されていた。特に2016年に『WWD BEST』という楽曲がリリースされるのだが、それまでのグループの歴史を凝縮したような楽曲になっていた。ファンの方々からしたら、応援の歴史を振り返って感慨もひとしおだろうが、個人的にはでんぱ組の楽曲とともに過ごした濃密な大学時代が楽曲から想起されて、かなりグッときてしまう。ちなみに先日、野音のバンド編成のライブでようやく生で見ることができた。いやー素晴らしかった…
 アイドルを遠ざけていた自分がライブにまで行けたわけだが、初めて行ったアイドルのライブがフィロソフィーのダンスである。楽曲が大好きなのは言うまでもないが、敬愛するミュージシャンの方々がバンドメンバーで参加していたため行かないという選択肢がなかった。いわゆるアイドルのライブとは違うかもしれないが、凄まじい熱量を肌で感じることができた最高の体験だった。音楽に加え、アイドルの方々の絢爛なパフォーマンスを目の当たりにして、今までの自分のアイドルに対する偏見はこのライブをもって完全に打ち砕かれたのである。フィロのスの皆様およびバンドの皆様には感謝してもしきれない。

 ライブにはそこまで行かないが、アイドルの楽曲を抵抗なく聴けるようになって思うことがある。楽曲は当時からそこにあったのに、良さに気づけるまでだいぶ時間がかかってしまった。当時の感性でいまと同じように「良い!」と思えるかは怪しいが、それでも他人の目や変なプライドで名曲に出会う機会を失っていたのは事実なので、素直に好きなものを好きと言えるのって大事なのだなと痛感する(著名な歌詞みたいになってしまった…)。音楽を軸に論を展開しているが、他の事象にも言えることだと感じるので、感性にしたがってもろもろトライしていきたいものだ。

 最後に本日の、おとはすこと十束おとはさんの卒業コンサートもきっといいライブになるのだろうな…成功をここに祈念します
これから準備して向かいます

https://music.apple.com/jp/album/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AB-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AD%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC/1537920724?i=1537920997

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