삼촌(サムチョン)。
雨は夜更けすぎに、雪へと変わるだろう。
という天気予報を信じ僕達は夜明け前から湖に車を走らせました。
僕は次回作に「朱鞠内湖」を舞台とした物語を書きたいと思っていました。
北海道には美しくて有名な湖が他にも沢山あります。
洞爺湖、屈斜路湖、摩周湖、支笏湖、阿寒湖、知床五湖・・・
挙げれば枚挙にいとまがありませんが
それでも僕が一番惹かれたのが朱鞠内湖でした。
気づけばこっちに到着したその日から通算6回もこの湖に通っていました。行くたびに「収穫が無かった!」と肩を落として帰ってきたのですが、収穫が無くても段々と愛着というものは湧くものです。
今日が僕が執筆のために滞在した定宿の最終日でした。
なのでなんとしても夜明けの、しかも雪の朱鞠内湖を拝んでから旅立ちたいと思ったのです。
最後まで朱鞠内湖は僕に厳しかったです。
だけど、僕の目にはとても美しく映りました。
また帰ってくるよ、という思いも込めて
朱鞠内湖と写真を撮ってきました。
僕達は明日から南下します。
道北で過ごした約3週間は、掛け替えのない時間となりました。
そして最終日の夜は、ファン教授と奥さんに手作りの韓国料理と美味しい自家製のお酒をご馳走になりました。
ご飯を食べながら、色んなお話を聞かせて下さいました。
冗談を言い合って笑ったり、映画の話で盛り上がったり。
アトリエで油絵を見せてもらったり、ギターを弾いてもらったり、そして家族との動画や写真を見せて頂きました。
その一つ一つの時間が愛おしくて仕方がありませんでした。
沢山の教えを頂きました。学びを頂きました。色んな方々をご紹介下さいました。ドライブに連れて行ってくれたり、綺麗な景色を見せてくれたり、一緒に音楽を聞いたり、一緒にりんごを齧ったり、ソフトクリームを食べたり、写真を撮ったり。
ファン教授と過ごした時間は僕にとっては宝物だったんです。
詳しくはわかりませんが、韓国には相手との関係性やその人の考え方、状況によって変わる呼び方というものがあるんですね。
「田中さん、これからはファンさんと呼ばなくていいよ。
『サムチョン』と呼んでください」
最後の夜に、こう言われたことは
控えめに言っても
最高。と言わざるを得ませんね。
ありがとうございました!!
삼촌(サムチョン)!
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