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【WSレポート】「小さく街をあるく、街をつくる〈港区、東京タワーこんにちわー編〉」Day1

こんにちは。WWFes2023メンバーの岩中です。

WWFes2023では、2月の本番に先駆けていくつかワークショップを実施します。先日開催した、Aokid企画ワークショップ「小さく街をあるく、街をつくる〈港区、東京タワーこんにちわー編〉」に同行してきたので、レポートします!

このプログラムは、ダンサー/アーティストのAokidと一緒に、港区を中心とした街歩きや会話、ワークショップを通して、場所の時間や生活に触れ、また参加者同士の興味や専門を持ち寄って共有しながら、“小さな街の経験”のようなものを作っていくものです。2023年2月にSHIBAURA HOUSEで開催するWWFes2023の本番で成果発表も行う予定です。

初回の11月24日(木)は、19:00〜21:00までの2時間、青山スパイラルから東京タワーを歩くコース。本当は竹芝客船ターミナルまで足を伸ばすはずでしたが、思ったよりも時間がかかり、東京タワーがゴールに。

まずは去年のWWFes2021の会場になったスパイラルで待ち合わせしてから、近くに移動して、Aokidからプログラムの趣旨説明を行った後、参加者それぞれが自己紹介しました。

青山のスパイラル付近でワークショップの説明と参加者の自己紹介

今回集まった参加者は、計7名。ダンサーとして活動している人や音楽活動をしている人、大学生で演劇に関わっている人、美大生など。港区との関わり方も、仕事で通ったことがある人から、普段あまり来ない人まで、さまざまでした。

そしてこのメンバーに、ゲスト講師である石見舟さんも加わります。石見さんはドイツ演劇学を専門とする研究者で、港区生まれ・港区育ち。港区にとても詳しく、今回も歩く先々で港区の歴史や地理などについて教えてくれました。

表参道から根津美術館の前まで来たところ

平日の夜、はじめましての人たちと街を歩くのは、ちょっとした非日常な経験でした。歩道は広くないので、歩くときは2人くらいで並んで歩くことになります。ほぼ初対面同士の参加者は、冒頭の自己紹介をたよりに、出身地や今住んでいる場所、普段どんなことをしているのかなど、話しながら歩きます。街の風景の移り変わりとともに、少しずつその人の輪郭が見えてくるような感触がありました。

港区の街を歩いているのに、そこに自分が生まれた街や住んでいる街の景色を重ね合わせてしまう、ということが参加者の人たちの中で起こったようです。この曲がり角の感じは地元に似ているとか、落ち葉を見ると昔のあの時を思い出すとか。同じ風景を歩きながら、色々な時間と空間を行ったり来たりするのを共有するような。

途中立ち寄った青山霊園は、明かりがほとんどなくて、都心では珍しく暗い状態の中にいられる場所でした。反対に、薄暗い霊園を少し遠くから見守るようにとり囲む高層ビルが眩しいくらいで、その光に墓地が外側から照らされていました。

「ここに眠っている人は完全な暗闇は味わえないね。眠れないんじゃないかな」「でも少し灯りがついてた方が眠れる、という人にとってはいいかも」なんて会話も。最初は暗くて足元がよく見えなかったけど、歩みを進めるうちに目が慣れていきました。

青山霊園の中から見える六本木ヒルズ

また、歩いていて感じたのは、結構土地に高低差があること。坂が多い土地としても有名な港区。街歩きをしていると、のぼったりおりたりが多くて、土地の起伏を身をもって感じます。青山霊園から六本木ヒルズは近くに見えたけれど、「高低差があるので、近づいても近づいてもなかなかたどり着けないんです」と石見さん。実際見えているものとの距離感が、高低差でずれていくのだそう。

赤坂付近にあるラーメン屋。煙突がすごかった

六本木方面に向かう途中、国立新美術館の近くにある六本木トンネルを歩きました。ここにはずらりと壁画が並んでいます。見慣れた人にとっては、敢えて足を止めることはないかもしれないこの場所。街歩きチームがじっくり壁画を鑑賞する光景と、家路を急ぐ人のコントラストが面白かったです。「鑑賞するという行為があって、これが作品になるという感じもする。この動きもダンスになるかもしれない」とAokid。

壁画はすごく大きいのに、通りはあまり広くなくて、壁画の全体像を見ようと後ろに下がると車道に飛び出てしまう。見たいのに全貌が見えないというもどかしさと共に、目に見えるものと身体との距離感のギャップを、ここでも感じることに。

六本木トンネルの壁画を鑑賞する街歩きチーム
壁画に触れてみる

六本木交差点を通り過ぎて、東京タワー方面に向かう途中、ロアビルの前を通りました。1973年に竣工したこのビルは、バブル時代にはディスコも入っていて、六本木の顔的な存在だったそう。耐震性の問題からビルの解体が決まっているようです。

バブル期の六本木を象徴するロアビルの前で

六本木は夜の人通りも多く、街も明るく、賑やかな雰囲気。生活をする場所というイメージはあまりなかったですが、石見さんにとっては、小さい頃よく自転車で来る遊び場だったそう。話を聞きながら、子どもの遊び場としての六本木を想像します。

東京タワーが正面に見えてきたところで、一気にゴールを目指します

歩きながら、東京タワーはライトアップされていない時の方がきれい、と言った人がいました。その方がタワーの構造がよく見えるからだそうで、確かにライトアップされていると、遠くからよく見えているようで、タワー自体は見えていないのだと気づきます。

東京タワーに到着!

2時間の予定をだいぶ超えてしまいつつ、ようやく東京タワーに到着。最後に参加者全員で振り返りを行いました。それぞれから出てきた感想を箇条書きで紹介します。

・普段、移動する時は点と点で動いている。今回は、地図上で見ているものを、肉体でつなげていく実感があった。港区を身体化していくような感じ。

・意識を人に向けている時と街に向けている時と、感覚が異なる。

・地形的な上下感をもっと楽しめそう。

・街の中の照明が印象的だった。車のライトで光る竹林。暗いのに周りが明るい青山霊園。

・港区の街と、自分が住んでいる街を重ねてしまった。

・見ている視点が歩きながら変わっていった。最初は足元を見て歩いていた。途中、ビルや人が多くて東京タワーが見えなくなった。

・記憶の地図を歩いているようだった。話をして何かに集中している時はそれ以外見えなかったり。港区の街なのに、記憶の中の街を歩いているような、記憶が錯綜する感じ。夢でもそういう景色は見ることがある。

最後に東京タワーの麓で振り返り

次回DAY2は、12月13日に実施です。内容は、ゲスト講師の石見さんによるレクチャーの予定。またレポートをアップするので、ぜひチェックしてみてください!

集合写真。たくさん歩きました〜!お疲れさまでした

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