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今、テレワーク緊急導入の障害は、リテラシーではなく「モノがないから」かもしれない

東京都が「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」の受付を開始して1か月が経ちました。最大250万円が10/10、つまり100%支給という破格の条件なので、巷では申請書を書くのを手伝うといって費用を請求する会社とか、うちの会社の製品を安く買えるチャンスですよと吹聴する企業なども出ているようですが、書類自体はそんなに難しいものではないので、ぜひ検討している方は、自力で頑張って書きましょう。いや、不要不急の外出をするなというときに印鑑証明書とか納税証明書とか3か月以内発行の原紙で要求してくるのは、ちょっとどうかとは思うんですけどね。

とはいえ、自分で書いてみてわかったのですが、これ、一番難しいのは「30万円以上の発注を伴うものについては相見積もりを取得し、原則押印つきの見積書を手配すること」というくだりです。

これがまぁ、至難なんです。今。

なぜかというと、「テレワークに必要なものが、ことごとく中国からの物流が途絶えていて、在庫が枯渇しているから」。私、大手家電量販店から見積断られました。見積書書く側としては、書いたら必ず納品しないといけないという商習慣があるわけですので、後々トラブルになることを避けるためにも、断らざるを得ないそうで。「こんなにモノがないのに金だけばらまく政策のほうがおかしいんです」と、逆に法人営業窓口の人から愚痴られました。

特にないのが
・Webカメラ
・ヘッドセット
・会議用スピーカーマイク(ヤマハ製品は特に大人気…)
・パソコン(特に10万円未満のもの、型番も頻繁にかわるのでこのまま廃番になる恐れもある)
など、リモワ必需品の数々…

用途自由で配布される「給付金」と異なり、補助金は原則として「事業の完結後に清算金として支払われる」ものなので、そういった意味でも緊急施策として実効性があるのか、という論点もありますが、まさか事業費用の見積もりを出すだけでも、ここまで大変な状況だとは思いませんでした。

リモートワークの導入状況についての緊急調査がいくつか出ているものの、調査対象のサンプルの偏りで全然違う数字が出ているのであまり参考になるものがありませんが、もしかして、導入の障壁は「ハンコ」とか「ITリテラシー」とか「根性論」とか「業種による制約」とかそういうものだけでなく、すでに「物資面」になりつつある可能性がある、という、見落としがちな観点。ふだんそういった準備のない企業や役所などは、より一層深刻だと思われます。

とはいえ、スマホなどみんなが持っているものでなんとか乗り越えようとするとどうしても能率は落ちるので、「普段から業務基幹システムをクラウド化して、規程類も整備して、セキュアに自宅からも業務が遂行可能な環境を整備する」という、地道な活動が、長期化する状況と、2021年に延期された五輪に向けて、必要なのだと思います。

※ 弊社WiseVineは平常時からリモートワークを積極的に導入しており、事業継続には当面支障なく運用しています。(とはいえ、機器面では不足が目立っているので、この機会に補助金活用を検討した結果、以上のような顛末だった次第です)

(告知)
日本経済新聞に弊社サービスが取り上げられました。WiseVine Signalは、公共分野への営業活動を継続するにあたって、在宅でも予算書調査、リード作成が効率的に可能となるものです。ぜひ、この状況下で少ない人員の中、業務の継続に奮闘する行政の皆さんに適切な民間からの提案を届けるためにも、ご活用をご検討ください。

(有料記事です)


自分の仕事(地方自治、防災、AI)について知ってほしい思いで書いているので全部無料にしているのですが、まれに投げ銭してくださる方がいて、支払い下限に達しないのが悲しいので、よかったらコーヒー代おごってください。