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和歌山から「みかん」の魅力を発信する

大学祭に代わるイベント「GO TO ワダイ」

久しぶりにキャンパスに笑顔戻る 

 新型コロナウイルスの感染拡大で中止になった大学祭に代わるイベント、「GO TO ワダイ」が11月下旬に学内で催された。対象となったのは2020年度入学の1年生。入学以来半年以上経っても、大学で同級生と語り合ったり、様々な人との出会いを得たり、というキャンパスライフを送れていなかった。

 数人のグループに分かれ、大学構内のシンボルゾーンでのライブや学生センター周辺での和歌山大学公式マスコットキャラクター「わだにゃん」との交流などを楽しんだ。各クラブ、サークルなどによる出し物や展示、1年生同士の交流を促す多彩な企画が開催され、キャンパス内に久しぶりに多くの笑顔があふれた。

東大生にも響いた紀州の名産、「みかん」

「和歌山みかん学」からの発信

 今回、GO TO ワダイ特別企画「和歌山みかん学」を新聞会(以下:当会)で主催した。紀州特産のみかんの魅力やその文化を、ぜひ一回生にも知ってもらいたいという想いから始まった企画。当会と援農サークルagrico. 、東大みかん愛好会の三団体が共催した。

 和歌山県の温州みかんは、出荷量が16年連続全国一位。名実ともに郷土を代表する果物で、古くから県民をはじめ多くの人に愛されおり、江戸時代には紀伊国屋文左衛門によって江戸にもたらされて、舌の肥えた江戸っ子をうならせた。

 agrico. は以前から県内の農家で農作業を手伝ったり、自分たちで野菜も育てたりしている。東大みかん愛好会は東京大学と国際基督教大学のみかん好きを中心に発足したサークルで、みかんの消費量を増やすことを目標に日々活動している。

 イベントは東大みかん愛好会による講義から始まった。国内のみかん消費量は、①こたつを囲んだ団らんや家族で一緒に過ごす時間の減少など生活様式の変化、②箱買いなど消費スタイルの衰退、③安価な輸入果物の流入やお菓子の多様化、などで全盛期の四分の一にまで減少している。そのため、全国のみかん産地ではオリジナルの品種や加工品の開発などに注力している。

 なかでも和歌山みかんの産地は、①海や川からの反射光、②急斜面を活かしたみかん畑の石垣からの反射光、③全国8位の日照時間の長さによる直射日光という「三つの太陽」に恵まれている。それに加えて、気候・気温、土壌といった環境が整っている。そんな和歌山で育まれた風味は評判が高い。

 特に「有田みかん」は、地域団体商標として認められたものにしかその名前を使えないシステムがあることに加えて、「有田剥き」と呼ばれる剥き方の存在など独自性が光る。「有田剥き」は果実を皮ごと四等分してから剥く方法だ。

 ちなみに、県内産の柑橘類には収穫量全国1位のハッサクや9割以上が和歌山県で栽培されている三宝柑、北山村でしか取れないジャバラ(漢字:邪払)などたくさんある。

 「ただ知らないだけで、深く掘れば面白い」和歌山のみかんを知る。そんな目的でスタートしたこの企画を通して、どんなものにも当てはまる大事なキーワードを思い出すことができた。

 イベントでは、和歌山大学観光学部出身の井上信太郎さん(28)が丹精込めて育て、収穫した「紅みかん」を配布、聴講者に楽しんでもらった。

 「紅みかん」は、湯浅町田村地区で作られた温州ミカンのブランド「田村みかん」の品種の一つ。濃い紅色の皮の下にはみずみずしく甘酸っぱい房がぎゅっと詰まっていて、ほお張った参加者たちには笑顔が溢れていた。

 包丁も使わずに手軽に食べられるみかんは、明るい橙色の見た目とその味で老若男女みんなに幸せなひと時を与えてくれる。今回のようなイベントを通して、和歌山みかんの認知を少しでも広め、その魅力を多くの人に伝えることができたら、と改めて感じた。

(画像はagrico. メンバーによる手書きイラスト)


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