和歌山のこと

『花山温泉』を訪れて

 2019年12月に関西の中でも有数の温泉として知られている花山温泉に新聞会のメンバーで取材に伺った。場所は和歌山駅から車で10分ほどという比較的町の中にあり、気軽に行くことができる。

 浴場に入って一番目を引いたのがお湯の色。茶色に染まった濁り湯で、湯船の底が見えない。また、湯船の縁にはお湯の成分が析出してできたという、丸みを帯びた不思議な形の結晶がみられる。その結晶は床にまで広がっていて壮観だった。匂いは硫黄というよりも何やら鉄臭い感じがした。正直これが温泉なのかと驚き、入るのに二の足を踏んでしまった。

 冬ということもあってまずは源泉ではなく加温処理された浴槽の方から入った。底が見えないので足で探りながら恐る恐る入っていく。温泉の成分でできた結晶を足で感じながらゆっくりと湯に浸かる。お湯の成分が直接肌から入ってくるようだ。よく見ると水面に温泉の成分らしきものがうっすらと膜を張っている。

 しばらくしてからだが温まったので源泉の方に入ってみる。水温は26度前後で温泉というよりもプールという感じだろうか。正直に言うと、冬に入るには少々冷たい。しばらく浸かっているとシュワシュワとした炭酸の影響もあって不思議と体がほんのり温かくなった。肌にも目に見える形で炭酸の気泡がまつわりつき、豊富な炭酸成分を感じることができた。

 結局のところ楽しくなってしまって一時間ほど加温された浴槽と源泉そのままの浴槽に交互に入った。ちなみにこの花山温泉側も交互に入る方法を推奨している。

 帰りにロビーと浴場を結ぶ廊下の途中にある飲泉場で源泉を飲んだ。雨の日の鉄棒を舐めたような、なんとも言えないえぐみと鉄くささが口内に広がった。しばし悶絶した。

源泉は、コップ一杯の水に一滴ほど垂らして飲めば十分とのこと。なかにはそのまま飲用する猛者もいるそうだが、個人的には薄めることをお勧めする。また、容器を持参すれば源泉を持ち帰ることもできる。数日置くと成分が沈殿するので、その上澄みを飲むと良い。たまたま出会った利用客によると便秘に良いとのことだ。

 和歌山大学からバスを乗り継いで一時間。小旅行気分も味わえる上に、一度行ったら忘れられない温泉になることは間違いない。この新型コロナウイルス流行がおさまったら、ぜひ訪れて欲しい。

※現在新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で営業時間の変更等が発生している

HP:https://www.hanayamaonsen.com/

(記者:K.A.)

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