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パスワーク 18 月

夢日記 0722「18月」第一夜

父と母のゆめ

さいしょ父の姿はどこか遠い南洋の島の熱帯雨林の葉影に暮らすドアーフのようでした。こびと族のように小さくて、また痩せてゐて、腰蓑ひとつで家のなかを駆けまわっております。
あたまが大きく前後にながく、かぎ鼻がつきだし耳がとんがり、大きな目にはたしかな狂気がやどってゐました。

父はいま市民病院のベッドで死の床に着いてゐるはずですが、いまここにゐるドアーフの父はいったいわけのわからない異国の言葉を唾きをとばしながら叫んで、家ぢゅうを猛烈な勢いで走り回ってゐます。
たたたたたたた、と板張りの床をたたく足音が家のあちこちから聞こえます。
父は戸口を見つけてはそれを開けようとしますが、どの戸口もかんぬきがかかってゐて外に出ることができません。
家のなかには親戚や家族のものが集まっていますが、みなただただ顔を見合わせるだけで、なすすべがありません。

ようやくわたしは父を捕まえました。揉み合いになりふたり廊下をごろごろ転がります。そのときには父の顔はレイチャールズのような黒人の顔にかわってゐました。わたしの身体も父と同じくらいのこどものサイズになっておりました。父は揉み合いながらさんざん悪態をついています。わるいことをわたしに言います。わたしは父に頭突きを喰らわせました。

まわりで見ていた親戚の連中はそんなわたしの行為を非難するような目で見ています。勝手な連中だ、なにもわかってないとわたしは腹をたててゐます。わたしは何度も何度も頭突きをかまし父をおとなしくさせます。

となりの座敷では数年前に亡くなった母が布団の上に仁王立ちになってわたしに何事かを話しています。となりには母の妹が付いています。その母はまだ若く美しいころの母でしたが、からだがふたまわりも大きくて、立ち姿はまるで金剛力士のようでした。そして焦点の定まらない目をしてぶつぶつ何事かをしゃべってゐます。父とはまた違った狂気がその目のなかにありました。

おとなしくなった父の耳元にわたしは語りかけます。
「お母さんはもう呆けてながくないよ」
その時の父はすでにわたしのよく知る父の顔をしておりました。
「わかっちょる」と、そう父はこたえました。
父はあたまから白い粉をかぶって目がよく見えないようでした。わたしは父のあたまにかかった粉をはたき落としてやりました。右目の眼窩のなかに粉が固まっています、どうやら右の目がつぶれているようでした。片目の父はよわって、かなしそうにみえました。

そういえば母が亡くなる前に病院のベッドでよく言っていたそうです。
「出口がわからんから怖い」
出口は目のまえに見えているのに、そう言うのです。
ドアーフに化身して家に戻ってきた父もやはり出口を探していたのかもしれないな、と目覚めてからわたしは思いました。


夢日記 0724「18月」第二夜

エリックがクロアチアから帰ってきたようです。
とてもひさしぶりです。彼とはもう何十年も会っていません。
他のともだちもまじえてラウンジでお酒を酌み交わしています。

わたしは別の会合があって、たびたび中座することになります。

もうひとつの会合ではある若者の相談に乗っています。
彼は新しい事業を起こすためにわたしの助言を必要としています。
わたしはやめたほうがいい、まわりを信用するなと忠告します。

エリックがいるラウンジに戻りましたが、それそろ店を出るようです。
わたしの息子が会計をしています。
ひとり5500円の割り勘だそうです。
はて、わたしに息子がいたっけ? 疑問に思いながらもお金を払います。

わたしはエリックともう少し話がしたくて
「もう一軒、ワインを飲みに行こう」とエリックを誘います。


ゴキブリが排水口からカサカサと音を立てていっせいに拡散します。


3段の文章が目の前にあります。そのなかにハイライトされた一文があります。


夢日記 0725「18月」第三夜

月のゼミ合宿

源先生のゼミ、夏の合宿。ある宿泊施設に20人弱が参加して行われています。
全国から参加者が集まっています。そしてさまざまな年代の男女がいます。
一番若いのは沖縄からきた大学生、男女3人。体育会系のゼミを申し込んだらいっぱいで、こちらに割り振られてきたそうです。源先生のゼミの講義は歴史ですが、彼らは気にしてないようです。
「どう?講義には慣れた?」と学生に聞くと、よくわからないと言います。
そうか、もったいないな。源先生の講義は貴重なのに、とわたしは少し残念な気持ちです。

宿泊は大部屋でみんな一緒です。それ以外は自由行動で講義が終わったら各自外出して食事をしたりしているようです。
わたしは若い女性とペアを組みます。彼女の面倒を見なければいけません。
寝る場所をととのえたり、日常的なルールやテクニックを教えたり。彼女は初めてゼミ合宿に参加するようです。そしてすくなからず傷ついているようです。

街に出るとたくさんの人に出逢います。それもなつかしい人たちばかりです。
ああ、ここは月だったんだなと気づきます。とてもなつかしく、賑やかな風景です。

友人の二宮くんが参加者の全員をインタビューして本を作っているようです。わたしもインタビューにこたえました。どこかに発表するのか?と彼に聞くと、これは商業用じゃないんだよと彼は言っていました。

参加者のうち半分はこれから電車に乗ってハワイに行くそうです。わたしを含めた残りの半分はしばらく月に滞在します。


夢日記 0726「18月」第四夜

僧の首が切り落とされてあしもとにコロコロと転がってくる。
その顔はうっすらと笑みをたたえており、とても満足げでありました。

という、さきほどの午睡の時の夢でした。


夢日記 0727「18月」第五夜

天部と「花のプログラム」を行うことを約束した。

めのまえに誰かが鍋と蓋とその付属物を差し出した。
組み合わせてみると圧力釜のようである。
これでわたしになにをしろと?

電話のコールが鳴る。夜中だし、そのままほっといた。
目覚めて確認したら、いつものように着信記録はなかった。
ひさびさの真夜中のコール。

じっさい長い夢だったような気がします。
「花のプログラム」とはなんだったかな?
とても良いことのように感じたけど。


夢日記 0728「18月」第六夜

ここは学校のようなところ。
わたしは学生でもあり教師でもある。

ある教室ではホリエモンが講義をしていました。
ホリエモンは教壇にあぐらをかいて座って学生に向かって話しています。
学生は静かに彼の話を聞いておりました。
わたしはそれを横目で見ながら廊下をとおりすぎます。
ある教室では村上春樹が教えていました。
わたしはあとでその講義を聴きに行こうかなと思っています。

休み時間、わたしは4、5人の学生たちと車座になって話しています。

『たとえば人の一生というのは一本のチューブ(紐)のようなものです。
その両端の一方が生まれた点で、もう一方の端っこが死んだ点。
じっさいにはその両端はそのさきに続いていて、その前もその後もあるのだけれど、現実空間の生きている人間の存在の仕方はそういうふうに考えます。チューブの長さはわたしたちがイメージするところの見かけの時間です。

空間の中に無数のチューブが浮かんでいると考えてください。
それらのチューブのそれぞれは決して交わることがありませんが、常に移動しながら集まったり離れたりしています。
個々のチューブはその位置関係によって影響し合います。その長さの間のどこかで、近づいたり離れたり絡み合ったりしながら相互作用をしますが、永遠に交わることはありません。それぞれがスタンドアローンの孤立した主観です。

たくさんの孤立したチューブが寄り集まって、わたしたちが社会と呼ぶものが現象します。これは時間の束のようなものです。無限にひろがる空間をおなじく無限の平面で切断した時にあらわれる無数のチューブの切断面の分布がある時点での世界の姿であり、わたしたちが社会と呼んでいる現象です。ですから切断する平面の位置によって切り口は異なる相を持つことになります。

わたしたちのまえに一冊の書物があります。
この本の中には一つのものがたりが書かれています。このものがたりは私たちの目の前に物質としてたしかに存在していますし、それをわたしたちは認識することができますが、これをわたしたちが理解するためには最初のページを開いて、最初の一語から最後の一語まで読みとおさなければなりません。読むと言う行為がすなわちわたしたちが時間と呼んでいるものです。あとさきのある時間です。

「時間束」も読むと言う行為も世界を逆写像したものに過ぎません。いわゆる相互メタファーです。』

とみんなで楽しく話しているところに講義が終わった村上先生が教室からでてきた。
「今日は時間が足りなくて君のレポートまで読めなかったよ。あとで必ず読んでおくから」と村上先生は顔から流れ落ちる汗を拭きながらわたしにいいます。
「じゃあ先生に送っておきますね。村上先生は何かsnsを使っていますか?」とわたしは尋ねる。
そしてわたしは手に抱えた複数のタオルをどうしようかと決めかねている。
(あとから思えば、あのタオルはあのとき村上先生に手渡すべきタオルだったかもしれない、と振り返りました)

真夜中の電話のコール。トゥルルー、トゥルルー、トゥルルー。3回で切れる。目が覚める。着信記録はない。二日連続だ。
このように夜中のコールは決まって何日か続きます。どうしてだろう?


夢日記 0729「18月」第七夜

たぶん10人から13人くらいだったのではないかと思う。
それぞれに人格があって番号が割り振られている。
1と2ははっきり確認できたが、その次が3だったのか4だったのか、はっきりしない。
通し番号ではないようだ。そしてそれぞれの人格はカードともいえない紙切れのような存在だった。

その紙切れを立体的に並び替えて、積み上げて、それらの人格を救出する作業をわたしは行っている。
救出してまたどこかの場所に、あるいはいつかの時代に送りこんでいるようだった。


夢日記 0801「18月」第八夜

剣の夢

ひとくみの短剣がある。
刃渡り30センチメートルくらいの短剣が互いに向きを変えて2本。
柄の部分には装飾がある。そのセットが集まって大きな剣をつくる。

剣は配置を変えておおきく曲がった一本の杖になる。わたしは杖をついている。

剣が集まって塔をつくる。エッフェル塔のような鉄骨の塔。雲に届きそうなほど高い。しばらくして塔は剣に分解して崩れ落ちる。

剣が集まってピラミッドをつくる。エジプトのクフ王のピラミッド。

やがて剣はすべて粉々になって大豆のつぶつぶになる。


タマがいる空間 

わたしの足元にタマがいる。
ずいぶん前に死んだウチの犬で、いまは庭の桜の樹の下にねむっているはず。
夢の中でもそのことは知っているが、タマがいま足元にいることも自然に感じている。
わたしはタマの背中をなぜてやる。体温がつたわってくる。

ここはタマが今でもいきている空間なのだろう。もてもあたたかい。
半分眠りの中で身体がここちよく痺れている。もう少し眠っていたい。


神社の苔むした石

わたしはどこかの神社の境内にいた。
あたり一面白い砂がひかれた広場。石畳がある。鳥居が見える。
わたしは誰かと一緒にいる。たぶんもう2人くらい。

広場の白い砂に埋まって苔むした丸い石がある。
直径20センチメートルくらいの灰色の石。半分は地中に埋まっている。
濃い緑色の苔がところどころにくっついている。

その石を踏むとわたしたちは遠く離れた空間に転移できる。
わたしはこれからその石と共に空間転移しようとしている。
おそらく連れの二人は交渉人であったろう。なにごとかを話し合っている。


ハンカチ

わたしは白いハンカチをたたんでいる。
だれかに渡すためだ。
たぶんうれしそうに、次々とたたんでいる。ふちにレースの飾りがついたハンカチもある。
たたみおわったら、ハイっと言って誰かに渡している。

たぶんこのハンカチも転移するための道具だろう。


夢日記 0802「18月」第九夜

エニグマとソリテア

それぞれ独立した夢のエピソードだけれど、直接的に「文体」に関する夢でした。
言葉で表すのはむずかしいけれど、
エニグマのほうは二つに分かれているものの一方を回収してゆき、もう一方に統合すること。
南方熊楠がおいかけた「粘菌」のようなもの。分割した粘菌を大きな塊になるまで再統合すること。
ソリテアのほうは女性性を回収すること。変換すること。
エニグマはなぞなぞ。ソリテアは孤独。

夢の中でこの二つをウィキペディアで検索したら、ちゃんと文体の様式として説明されていたのだけれど、目覚めてから実際に調べてみたら、そのようなことは全然書かれていなかった。

昨日の夢を噛み砕いて説明されているようです。

竹山先生の夢

まだ若い頃の恩師が出てきた。40代か50代の前半か。娘を二人連れている。
「松岡くん、いっしょにご飯を食べに行こう」と竹山先生は私を誘う。
わたしは用事もあったし、娘さんが一緒だから遠慮もしていたのだが、結局ついて行った。
娘さんには顔がなくて、顔があるべき場所に数字が書かれていた。「十」とか「七」とか。
たぶん年齢を表すものだろう。

最初に行ったラーメン屋は閉まっていた。
次に行った店は開店前だったが、入れてもらえた。カウンターのみのラーメン屋だが、すでに客が二、三人座っていた。いや準備中の店員さんだったか。

馬の夢

家の中に七、八頭の馬がいる。それほど大きくない。子馬だったのか、あるいはポニーだったのか。
とても懐いている。
そろそろ就寝の時間だったので、馬たちを別の部屋に移してベッドに入った。
夜中目が覚めて水を飲みにリビングに行ったら、なにか暖かい気配を感じる。
馬たちが寂しがってドアをあけてリビングに入ってきたんだなと思った。
リビングは真っ暗だった。

ベッドに再び入った。また目が覚めた。
足元にあたたかい気配がする。
びっくりして飛び起きた。一瞬、隣に人が寝ているのかと思ったが誰もいなかった。


夢日記 0804「18月」第十夜

これまでにもたびたび起こったことですが、今回のは強烈でした。
かなり深く夢の中に入っているときに、「ドンドンっ、ガラーっ」と戸を叩くすごく大きな音、それに続いて戸を開ける音が聞こえて、強制的に夢の空間から呼び戻されました。
かなり隔たった距離を一瞬で引きづられてきたような、シルバーコードをおもいっきりひっぱられたような感覚で、瞬間バチッと目が覚め、しばらく動悸がおさまりませんでした。(念のため家中を点検しましたが、もちろんなんともありません)

それで今回はじめて感じたことですが、戸を叩く音とか電話のコールとかはある種の警告だったんだな、ということです。

呼び戻される前の状態はうっすら覚えています。
例えて言うなら三蔵法師の一行のようなグループがあって、お坊さんと異形のものが数人いて、それぞれ同じひとが二人います。三蔵法師が二人、悟空が二人、沙悟浄が二人、猪八戒が二人のようなものです。わたしはそのなかのひとり(二人)でした。
わたしは何回か変身を繰り替えしていて、最後の変身が終わった時、あるいは最後の変身がはじまる直前に突然引き戻されました。(変身というより顔をペンで書き換えてると言った方が近いかもしれません)

そのとき危険な水域に入ろうとしていたのか、あるいは間違った方向に行こうとしたのか、まちがった変身だったのか、わかりませんがとにかく「ヤメロ」といわれているようでした。

考えてみると、いままでもノックやコールはたびたびあったのですが、そのたびに一瞬で我に返るというのは同じです。ただ今回は夢の途中ではっきりした断絶があったので強く感じたのかもしれません。
そして、夢の中にいるときは、ここを離れてそうとう遠いところにいるんだな、というのを実感しました。何万光年といった感覚です。それだけ戻ってきた感が強かったのです。

その後ふたたび眠りについて、引き戻された場所までもどってきました。
そこではユカリさんが登場し、いまここに書いているようなことをわたしは相談しておりました。

途中でラジオのようなものをふたつ発見しました。弁当箱のような二つの四角い機械です。アンテナがついていたので、それを伸ばして電波をひろいました。チューニングすると人の声が聞こえてきました。そこには父も一緒にいて、一晩中スイッチを入れておけ、と言っていました。

この夜はあと2回呼び出しがありました。電話のコールと軽いノックです。いつものなんてことはないものでした。


夢日記 0805「18月」第十一夜

黒いマント

ずっと昔に手に入れた黒いマントがある。
いまはもう年に一度着るかどうかで、ほとんど気にしていなかった黒い大きなマント。
あるとき知人がそれを着ているのを街で見かけた。
知人にたずねると、川に流されてきて引っかかっていたのを拾ったそうだ。
おそらく洪水のときに流されてしまったのだろう。わたしはマントがないことを気づいてさえいなかった。
知人はそのマントが私の持ちものだということを知っている。
彼は自慢げにその黒いマントを着て見せる。どうだ似合うだろうと。
わたしは知人とその妻にマントの正式な着方を教える。
ここにフードが隠されているんだよ、と襟の部分にたたみこまれたフードをとりだす。

デパートのチャージ

わたしはその日デパートにいた。
買い物をするでもなく、カフェでお茶を飲んでデパートを出ようとすると、出入口に検問があり、チャージを徴収している。価格を聞いたら法外に高い。
高すぎるんじゃない?と店員に聞くと、時間をオーバーしているのでこの価格になりますという。
1620円。わたしは理不尽さを感じながらも、小銭をかき集めて機械の中にほうりこむ。
お札だったらもっと安かったのに。店員はいまさらながらに言う。
わたしは小銭が使いたかったのだよ、と店員に応える。

月面のジョンレノンのための美術館

まわりには錆びたドラム缶や屑鉄が散乱している。おそらくここは産業廃棄物の処理施設だろう。わたしはこの施設の管理をしているらしい。
そこでわたしはオノヨーコにあった。黒いワンピースを着て、黒い大ぶりのサングラスをかけている。
わたしはしばらく彼女と立ち話をしていると、ジョンがむこうから近づいてきた。二言三言、ことばを交わす。あれ、ジョンは死んだはずなのに。と一瞬おもったがそのことは尋ねなかった。

わたしはジョンのために月面のクレーターの上にバラック小屋を立てた。壁も屋根もトタンでできていて、全面に銀色の塗装をほどこしている。太陽のひかりを反射してその小屋は鈍く銀色に輝いている。
小屋にいたるクレーターには無数の真鍮の列柱がささっている。列柱は小屋へと導くように大きく流れを描くようにいく筋も走っている。
その小屋のなかには螺旋階段があって、そこから地下に降りることができる。
地下には大空間がひろがっている。そして月面から貫通した真鍮の列柱が縦横にはしっている。
その大空間のなかに一台のピアノが設置されている。祭壇のようだ。
人もいない、空気もない真空の月面にピアノの音が響いている。


夢日記 0806「18月」第十二夜

新宿上空のマンタ

新宿駅で電車を降りて区役所通りをまっすぐ進み、花園神社の手前を左に折れる。
夕方近く、反対側の歩道には駅に向かうセーラー服姿の女子高生たちの姿がみえる。

ゴールデン街に至る。この辺りはジアゲがかなりすすんでいるようで、黒と黄色のまだらのロープで仮囲いされた空き地がめだつ。建物は取り壊され、瓦礫が山積みになっている。ブルーシートも重機もそのままだ。

路地のひとつに入って、まだ灯がついていないプラ看板を確かめてから、表面がなかば剥げかかった木製のドアを開けると、長いカウンターだけの薄暗い店内が見渡せる。
オレンジ色の電球の下に客がふたり隣り合わせてカウンターに座っている。異形だ。豹頭と牛頭。ふたりとも和服をきちんと身につけている。豹頭には見覚えがある。高級そうな大島を着て座っている。まえにもどこかで、たぶん夢の中で会ったことがある。
ふたりの異形の背中を通り過ぎ、カウンターを抜けて突き当たりのトイレにまっすぐすすむ。

トイレのドアを閉めると反対側にもうひとつドアがあり、そのさきに階段室が続く。
なんども踊り場を折り返しながら最上階までたどりつく。
およそ二坪の広さ。踊り場の片側に白いペンキで塗装された金属製のドアがある。冷たい取っ手を回しながら押し開くと真っ白い空間が目前に広がった。

針で刺すような眩しい白色灯の光が空間を均等に満たしている。天井も床も真っ白で、床には光沢のある合成樹脂素材が敷き詰められている。継ぎ目がまったく見えないが、いったいなんの素材だろう。
そして見渡す限り仕切壁ひとつない広大なフロアに白いパイプベッドが整然と並べられている。ベッドの上には枕とシーツがきちんと畳まれて置かれている。
通路をはさんで両側にどこまでもベッドが続く。通路とベッドのラインが同じようにいく筋も平行に並んでいる。柱も壁も見当たらない。ただただ床と天井が水平にどこまでも広がっている。さながら巨大な野戦病院だ。しかしわたしのほかに人はいない、無人の空間だ。

均等な白色光線のなかでそこだけほの暗く沈んでいる。どうやら吹き抜けになっているようだ。
わたしはいくつものベッドの間をすり抜けてそこまでたどりつく。そして手摺に両手をかけ巨大な穴を覗き込む。はるか下界に歌舞伎町の屋根が霞んで見えた。直下にはさっき入ってきたゴールデン街のオレンジ色に錆びたトタン屋根と虫食いのような空き地のブルーが見てとれた。陽が沈んですでに下界は薄暗く、ところどころに看板やネオンが光っている。
吹き抜けから上部を見上げると同じようなフロアが層をなしているのがわかった。ここは最下層のフロアだ。しかし上階はどこまで続いているのかわからない。

まるで腹にどでかい穴を穿たれた巨大なマンタが新宿の上空を泳いでいるようだ。
おそらくこのマンタは下からは見えないのだろう。もしかしたらゆっくり移動しているのかもしれない。

この階にひと気はまったくない。上階に登るための階段をさがすが、登ってきた階段はこの階で終わっている。とりあえず、ここで休もう。わたしは手近なベッドに寝転がって目を瞑る。


夢日記 0808「18月」第十三夜

車に乗ってある民家の玄関から侵入する。知り合いの家だ。この家の中を通り抜けて反対側に出る。この通路はショートカットになっていて、ここから異世界に出ることは以前になんども経験している。
畳の部屋をそのまま車で移動していくのだが、今日はいつもと違って障害物がたくさんある。
いちいち車を降りて障害物を取り除きながら進んでいくのだが、今日は途中で気が変わって部屋の中でUターンして戻ることにした。狭い部屋の中をなんどもハンドルを切り返して、そのまま玄関から外に出ていく。

同時に韓流スターのヒョンビンが大写しになったポスターが登場する。ヒョンビンが笑顔でこちらを向いている。
そしてそのポスターには5時5分(17時5分)と書かれている。
5時5分になると世界が反転する。そしてさらにもう一度反転し、世界が新しくなるそうだ。

前後に長いストーリーがあったようだが、忘れてしまった。
ただ5時5分という数字だけが強烈に残っている。


夢日記 0809「18月」第十四夜

目の前に巨大な円形の鏡があります。
鏡といっても自分の姿が映るわけでもなく、金属のような鈍い重い物質でできています。
巨大な銅鏡のようなものです。

鏡のこちら側に六つのペルソナを持つ自分がいてそれぞれ自分が6人います。
それぞれのペルソナがそれぞれの方法で格闘しながら鏡の反対側に6人を送り込んでいきます。通り抜けると、こちらがわから向こう側にいる自分が透過して見えるようです。だから鏡といえば鏡の機能をちゃんと果たしているようです。
簡単に通り抜けるグループもあれば、苦労しながら抜けるグループもありますが、すべてが完了したところで目が覚めます。
目覚めた時には鏡の反対側に裸で大の字になって磔になっています。
ウィトルウィウスの人体のようなものです。

バチんとはっきり目覚めましたが、特に何も変わった様子はなかったです。


夢日記 0810「18月」第十五夜

わたしは灰色の人と対話をしている。
彼はわたしに交換について滔々と説明する。
わたしは一旦は分かったような気になったが、話を聞いているうちに、どうもおかしいぞと思うようになった。
彼の話すことは偽善で、ごまかしで、正しくないと思った。

交換についての何を話していたのか覚えていないが、正しくないということだけが目覚めたら残っていた。なんだろう。釈然としない。続きをきいてみたい。

PS
さきほど、午睡の中で証明書のようなものを貰いました。修了証かな。


夢日記 0811「18月」第十六夜

目覚めてからずいぶん時間が経つのに、ソファでうとうとし始めたら突然思い出しました。
近頃そういうことが多いようです。目を瞑ると唐突にイメージがフラッシュバックするような。

「100」という数字は最初から覚えていました。
100年なのか、100回なのか、100世代なのかわかりませんが、時間や回数に関係することのようです。
目の前にハードディスクがあり、そのなかに「100」が収納されています。
「うさぎ900」にでてきた弁当箱型のハードディスクに似ています。
たぶん始まりから終わりまでが100だったのではないかと思います。
そのハードディスクがささっている本体から抜き取って、もういちど本体に差し込みます。本体の存在はうろ覚えです。
ハードディスクをリセットしたのか、あるいはハードディスク点検していただけなのかわかりませんが、いちど抜いて差し直す、という作業です。ただそれだけ。

100ってなんだろう?


夢日記 0812「18月」第十七夜

雀荘みたいなところにいて、雀卓を囲んで私を含めて4人いる。
そのなかの一人は女性で、それもよく知っている人で、もういちど会いたいと思っていたのだが、思い返せば全然知らない人だった。ものすごく近しい人だと思ったのだけど。夢の中では名前も知っていたのだけど、目が覚めると手がかりが何もない。ラッシー、とかラッシャーとか、そういう名前の有名人だったのだが。あれー、あのひとは誰だったかなーと目が覚めても探している。横顔の印象だけは覚えている。もういちど会えばわかるんだがなー。


夢日記 0813「18月」第十八夜

自分自身が10階建てくらいの階層でできている。
このイメージは夢の中ではわりと見慣れた自分自身なんですが、今回はその最上層に草を生やしている。
わりと茎のしっかりした草、ヨモギのようなものかな。
ちょうど頭の上に草が生えているような感じ。
その二、三階層下に両眼がある。


夢日記 0816「18月」第十九夜

あけがた、枕元の突き出し窓のすぐ向こう側からそウグイスの谷渡りのさえずりが聞こえてきました。
あまりに見事なさえずりだったので、上手だなー、と聞き入ってしまってそのまま目が覚めました。
多分これは夢ではなかったと思います。

ちょうどそのとき夢の中で私はどこか港にいて、そばには男女が一人づついました。
わたしは遠方から帰ってきたばかりで、丸いキャンディーのようなもの一個とそれと同じくらいの大きさの丸石を一個、掌の中に持っていました。
私がキャンディーを海に投げ入れると魚たちがたくさん集まってきて、海面をバチバチ跳ねまわりました。
そして掌の中にあった丸石を「食べる?」と問いかけながら、そこにいた女性の口に入れてやりました。
女はなにも言わず、あらがうでもなく、ぱくっと丸石を口に含みました。
その女の口中のなま暖かい感触が私の右手の人差し指にしばらく残っておりました。


夢日記 0817「18月」第二十夜

昨日のウグイスが今朝も鳴かないかなと期待して床についたのですが、ついに今朝は来ませんでした。
たぶん隣の庭に生えている藤の木の枝にとまっているものと想像しているのですが。
しばらくは夜が明けるのが楽しみです。

ここ一週間くらい連続した夢を見ているようで、最初は私が闇金にお金を借りに行く夢から始まりました。
その金融屋が暴利なのは分かっていたのですが、ダメ元で闇金の戸をたたきました。
闇金業者はたいそうまじめに応対してくれたのですが、どちらかというと私の方がヤクザ者のようで、適当にいい加減なことを並べながら金を貸してくれと頼んでいます。
それで、いったいいくら必要なの?と業者さんが聞くものですから、私はきっぱり200万必要だと応えます。

その次の日もやはり闇金の夢でしたが、その日は私が闇金業者でした。
それも経営者ではなく、従業員です。
私はお客に金を貸しますが、私の手元に入ってくるお金はほんの僅かで、暴利を貪っている闇金の社長を非難します。

そして今日の夢はおそらくその続きなのですが、とあるビルの一室に男が3人います。私ともう一人とベッドに横たわった男がひとり。
ベッドに縛り付けられた男はもう一人の男に拷問を受けています。拷問する男はサイコパスで本当に気が狂っているらしく、手加減をしらず男を切り刻みます。寝ている男はもう意識もありません。
なおも男は拷問を続けようとするので、かたわらで身動きが取れず縛られていた私は隙を見て部屋の電源を完全に落とします。
そしてようやく拷問が止まりました。


夢日記 0818「18月」第二十一夜

昨日の続きのようです。
私の前にもう一人の私がいて、プロスペクターだか、プロスペクトと呼ばれている。
頭部だけが赤い色をしている。髪の毛も帽子も首から上はなにもかも赤色。

頭部を交換するらしい。あるいは交換されたらしい。それで頭部が赤色になったのか。

目覚めて意味を調べてみたら、プロスペクターは鉱山などの探鉱者、プロスペクトは見通し、予想、将来性という意味だ。まだピンと来ない。

月のことから連想するに、上弦の月っぽいかな。相対するもう一人の自分は影だろうけど。

こういう状態が4、5日続いているようです。
何かの周りを自転しながらクルクル回っているような感覚です。
いや、月は自転していないのか。いやいや太陽基準だとやっぱり自転しているのだ。
いずれにせよ、お盆前後から周期のなかに組み込まれているようです。

タロットは中心がソードのナイトで、そのまわりを7戦車と3女帝と1魔術師と13死神が囲んでいました。なかなか強力な布陣でした。


夢日記 0819「18月」第二十二夜

三つの星座のようなコンステレーションがある。
三角形のようなブロックに分かれており、上にひとつ、その下にふたつ。
はっきりと判別できるのは左下のブロックだけ。他の二つはおぼれげでカタチがはっきりしない。

左下の星座を注視していると。これも二つのブロックに分かれている。
それぞれがハエ、あるいはセミのようなカタチが見て取れる。
羽のような一揃いのパーツがくっついているからだ。

カタチはハエ、セミのようなに見えるのだが私の中にはそれはトンボとして言語化される。
トンボ?なんだろう?そんな星座があるのかと思って目覚めてから調べてみたがみあたらない。ハエ座というのが南半球に見えるらしいが、これは単体なので違うだろう。とにかく一対のトンボ(ハエ)なのだ。そしてわたしはそのトンボをこれから作ろうとしている。

他の二つの星座も目を凝らして見るのだが、詳細はイメージ化できない。あえて当てはめてみるならば上の星座はネコ、座った猫だ。そして右下は「く」の字に屈曲している。時間が経つほどにぼやけていく


夢日記 0820「18月」第二十三夜

あけがた、ドンドンドンドンドンドン、と窓を叩く音がする。
いつものやつだ。いや今日はいつになく激しい叩き方だ。
私はそれまで見ていた夢から急速に引き戻されて、目をあける。

中空に父親がいる。現状よりだいぶ若い。40代か50代の父の上半身が見える。
開けてくれと言っている。こちらをみて笑っているように見える。
だんだんと覚醒してきて、現実に戻る。
起き上がって、カーテンを開けて外を確認する。もちろんだれもいない。まだ夜明け前だ。朝方はずいぶん涼しくなってきた。

それまで見ていた夢はどこかに吹っ飛んでしまった。

91歳の父はいま介護施設に入所していて、老衰が進行している。
認知症というところまで至っていないが、ときどきせん妄状態になる。
とにかく寝ている時間が長い。

そういう現状なので、こういうことが起きるとドキッとする。
ついにきたか、と思ったりする。
結果的になにもない。(なにかあれば施設から緊急連絡があるはずだから)

ドアのノックや、電話のコールにもいろいろパターンがあるのは承知しているが、半分あっち側に行きかけている親族がいるとちょっと気になってしまいますね。これってどうなんでしょう? 生きている人が夢の中に侵入してくることはあるのでしょうか。


夢日記 0821「18月」第二十四夜

私は友人の引っ越しの手伝いにきている。
かなり大きな屋敷で築100年以上は優に超えているたたずまいである。
おおかた掃除も終わって、襖を次々と開け放ち座敷をひととおり確かめてから、管理人に引き渡す。
いま友人の賃借人と管理人が座敷の一つを使って手続きをしている。

それにしても立派な家だなーと感心している。
黒光する大黒柱を見ながら、もうこんな家は建てられないだろうと思う。そもそも職人がいなしな。



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