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掌編小説

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#詩

Senseless adolescence

Senseless adolescence

 代わり映えのしない毎日が過ぎたとしても。
 犯した罪の心当たりがあり過ぎたとしても。
 最後の砂が落ちる瞬間を見過ごしたとしても。

「無声映画を見ているようなもの」

 なにも嘆くことはないと、あの人は夕暮れを眺めていた。
 校舎裏の用具倉庫の上で、スカートの中に緑のジャージを履いて。
 未使用のピアッサーを小さな手でもてあそびながら。
 脱げかけのローファーを爪先にひっかけていた。

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