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#11【Tax Return】S corp設立による節税

11月に入り、Tax Seasonも近づいてきました。
本日はS Corpについての説明を行います。特に、これまで個人事業主(Sole Proprietor)としてビジネスを運営し、最近利益が増えてきた方々に向けてお話しします。ビジネスの成長に伴い、事業形態の見直しは重要なステップとなります。適切な事業形態を選ぶことで、税金の節約法的な保護を得ることができます。

今日は、**Sコーポレーション(S Corp)**への移行や、LLC(有限責任会社)がS Corp課税を選択する方法、そしてさらに利益が大きい場合のCコーポレーション(C Corp)の利点について、具体的な例を交えて解説します。


なぜ事業形態を見直すべきか?

個人事業主としてビジネスを始めた場合、税務上の扱いはシンプルですが、利益が増えるとともに税金の負担も増加します。また、個人資産と事業資産の区別がないため、リスクも高まります。

適切な事業形態を選ぶことで、

  • 税金の節約

  • 法的な責任の限定

  • ビジネスの信用度向上

といったメリットを享受できます。


LLCとS Corp:どちらが良いのか?

S Corp

会社の利益や損失が株主個人に直接渡される法人形態です。つまり、会社自体は法人税を支払わず、株主が個人の所得税として申告します。この仕組みにより、二重課税を避けることができます。通常のCコーポレーションでは、会社が利益に対して法人税を支払い、その後に配当として株主に渡す際にも個人所得税がかかります。しかし、S Corpではそれが一度で済むという特徴があります。

LLC(有限責任会社)

LLCは、法的には法人でありながら、税務上はパススルー課税が適用されます。つまり、利益や損失は個人の所得として扱われます。しかし、LLCのオーナーは自己雇用税(15.3%)を全額負担する必要があります。

S Corp課税を選択したLLC

実は、LLCはIRSに申請することで、S Corpとして課税される選択が可能です。これにより、以下のメリットが得られます。

  • 給与と配当の分割:オーナーは自分に合理的な給与を支払い、残りを配当として受け取ることができます。

  • 自己雇用税の削減:給与部分にのみ給与税が課され、配当部分には課されません。

S Corp課税を選択したLLCとS Corpの違い

基本的に会社を運営する上で大きな違いはないといっても過言ではありませんが、そもそもの会社形態が異なるため、毎年の税務申告に必要なフォームなどが形式的には大きく異なります。
州や会計事務所によって管理費用が変わる場合が多いので、このあたりはCPAに確認するようにしましょう。


具体例

オンライン販売ビジネスを個人事業主として運営してきました。最近、ビジネスが拡大し、年間純利益が15万ドルに達しました。

個人事業主としての税金

  • 自己雇用税:150,000ドル × 15.3% = 22,950ドル

約23,000ドルの自己雇用税を支払う必要があります。

LLCとしてS Corp課税を選択

LLCを設立し、S Corp課税を選択しました。

  • 合理的な給与の設定:給与を80,000ドルとし、残りの70,000ドルを配当とします。

  • 給与税:80,000ドル × 15.3% = 12,240ドル

  • 配当部分:70,000ドルには給与税がかかりません。

節約できた金額

  • 個人事業主の自己雇用税:22,950ドル

  • LLC(S Corp課税)の給与税:12,240ドル

  • 節約額:22,950ドル - 12,240ドル = 10,710ドル

事業形態を見直すことで、約10,700ドルの税金を節約できました。


さらに利益が大きい場合:C Corpの検討

年間の純利益がさらに大きくなると、**Cコーポレーション(C Corp)**の設立を検討する価値があります。

C Corpの特徴

  • 法人税率が低い:2021年現在、連邦法人税率は21%です。

  • 二重課税の可能性:利益に対して法人税が課され、配当として受け取る際に個人の所得税も発生します。

  • 利益の再投資:利益を会社内に留保し、再投資する場合に有利。

なぜC Corpが有利なのか?

  • 高額な利益:個人の最高税率よりも法人税率の方が低くなる場合があります。

  • 配当を抑える:利益を配当に回さず、会社の成長に投資することで、二重課税の影響を最小限に抑えられます。


事業形態選択のポイント

  • ビジネスの規模と利益:利益が増えるにつれて、適切な事業形態も変わります。

  • 管理コストと手続き:法人化すると、会計や税務の手続きが複雑になり、管理コストも増加します。

  • 法的な責任:法人化により、個人資産を保護することができます。


専門家への相談をおすすめします

事業形態の変更は重要な決断であり、税金や法的な影響も大きいです。管理コストの増加複雑な手続きも考慮する必要があります。


まとめ

ビジネスの成長に伴い、事業形態の見直しは避けて通れないステップです。個人事業主からLLCへの移行、さらにはS Corp課税の選択やC Corpの設立など、さまざまな選択肢があります。

  • 利益が増えたら、税金の節約を考える

  • LLCはS Corp課税を選択できる

  • 利益がさらに大きい場合はC Corpも検討

  • 管理コストや手続きの増加にも注意

  • 専門家に相談して最適な選択を

ビジネスオーナーの皆さん、自分のビジネスに最適な事業形態を選び、さらなる成功を目指しましょう!

免責事項:これらは税務アドバイスではありません。より正確な情報や個別にあった話を知りたい場合、必ず会計事務所や弁護士事務所等に確認を行ってください。

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