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#99 唯一無二【書評】スティーブ・ジョブズ 上

◾️はじめに

伝説の起業家。カリスマ。ジョブズです。

◾️要約

自分が特別だと自覚しながら育ったジョブズ。
ウォズと出会い、価値のあるものを売ることに喜びを覚える。
個人の表現のツールになりつつあったコンピュータ。
それをアップルIIという形にし、大ヒット。
人間関係のもつれからアップルを追放されるが、その後、ジョブズはピクサーを生む。

◾️感想

ジョブズが突き詰める感とカウンターカルチャーのロックテイスト、というか反骨心を持ちながら成功に向かっていく疾走感が読んでて楽しい。

魔法使い、って表現がワクワクする。
ソフトとハードで完結した形で何かを生み出す、提供していく。
その信念たるやすごい。
一方ライバル、ゲイツは互換性こそ全て、という信念を持つ。
二人の信念は違っており、当然衝突する。その関係性が描写されている点も面白い。
そしてピクサー。期せずしてテクノロジーとアートの交差点に立つ(そしてそこが大切だとわかっていた)がそここそが彼の居場所であり、そこにいて物事を考えられるからカリスマでいられる。
信者が出るのも納得。

伝記を書く、そして読むことってその人の人生をのぞいてるようでワクワクします。

◾️要約(詳細)

◆第1章 子ども時代 捨てられて、選ばれる
自分が養子であることを告げられ育ったジョブズ。
自分が特別であることを自覚しながら育つ。
両親は愛情を注ぎ、彼の成長を妨げないよう支えていく。

◆第2章 おかしなふたり ふたりのスティーブ
真面目な天才ウォズとの出会い。
初めて自分よりエレクトロニクスに詳しい人と会う。
二人で様々な悪戯をしながら成長する。
ブルーボックスで価値あるものを売る体験もする。

◆第3章 ドロップアウト ターンオン、チューンイン
親に無理させてリード大学へ。
そこに最初のカリスマ、フリードランドがいた。
彼に影響を受けつつ、見極めながら、大学は中退。
現実歪曲フィールドを学ぶ。

◆第4章 アタリとインド 禅とゲームデザインというアート
アタリ社に潜り込んだのち、インドへ。
ここで現地の直感で生きる人を見て、西洋と合理的思考の接点、おかしな点もきづく。
帰国後、禅を学ぶ。
その中でノーと言わせない態度でいかにも成功できるという態度で突き進むのがいいということも知る。

◆第5章 アップルI ターンオン、ブートアップ、ジャックイン
1970年代より前はヒッピーと技術系の人は仲が良くなかったが1970以降、官僚的ツールから個人の表現や解放のシンボルになった。
ターンオン、チューンイン、ドロップアウトからターンオン、ブートアップ、ジャックインに。
階級を重んじる社会でなくなりつつあり、ホールアースカタログが生まれる。

ホームブリューコンピュータクラブで趣味を同じにする人の会合の中でのちにアップルIとなるもののスケッチが作られる。
そしてジョブズはこれを事業化する。

◆第6章 アップルII ニューエイジの夜明け
事業計画を担うマイクマークラとジョブズの抑え役であるマイクスコット。
二人の先輩に導かれアップルは育つ。
ジョブズが完璧を求めることでアップルIIが生まれる。

◆第7章 クリスアンとリサ 捨てられた過去を持つ男
クリスアン・ブレナンと付き合ったり別れたりを繰り返す。
そんな時代。
認めていないのに、一方でリサとジョブズが命名する。
自分が父親でない可能性があると妄想するジョブズにIPO前だった取締役も困惑。

◆第8章 ゼロックスとリサ グラフィカルユーザーインタフェース
アップルIIは大ヒットしたが、ウォズの作品と見られていたため、ジョブズは自分の作品を欲しがった。
統制が効かず、アップルIIの後継は3つも存在することになった。
そんな中、ゼロックスのパロアルト研究所へ行くことに。
ジョブズはこれは宝の山だ、活用しないなんて、と興奮。
有名な”優れた芸術家は真似る、偉大な芸術家は盗む”となる。
しかし、着想することとアイデアを実現させる行為の間には乖離があり、
どちらも等しく重要である。

◆第9章 株式公開 富と名声を手にする
1980.12株式公開。
ビジネスを大きく変えた男として1982.2にはタイム誌の表紙を飾る。
60年代の理想主義を背中に感じながら。

◆第10章 マック誕生 革命を起こしたいと君は言う
ラスキンが安価で作りたいとマッキントッシュというプロジェクトを実施していたが、ジョブズが目をつけ乗っ取りに成功する。
ラスキンは追われる。
チームにウォズも加えようとするがウォズが事故をしてしまい、その話は流れた。

◆第11章 現実歪曲フィールド 自分のルールでプレイする
ジョブズは現実歪曲フィールドと呼ばれるものを持っていた。
それはカリスマ的物言い、不屈の意思、目的のためならどのような事実でもねじ曲げる熱意が複雑に絡んだものである。
それはジョブズはよくうそをつくのオブラート表現でもある。
だがそれがあったから世界が変えられたとも言える。
トレードオフが下手で、支配的な完璧主義者。
そこで働くのは辛かったが、時に全体像をとらえモチベーションをうまく高めるジョブズの元で働くことは想像を越える世界を変えるものを作ることでもあり、メンバーは幸せを感じてもいた。

◆第12章 デザイン 真のアーティストはシンプルに
洗練を突き詰めると簡潔になる。ジョブズの思い。
直感的に物事がわかるようにする、ポルシェのようにコンピュータを親しみやすいデザインに
しようと思っていた。
それは誰も見ない部分でも美しくすることを求めた。
何故なら作品であるから。作品の最後は見えないところに関わった人が署名をすることだった。

◆第13章 マックの開発力 旅こそが報い
開発するものはユーザ体験をコントロールしたいと考え拡張性はなくした。
思い通りにしたいとカーソルキーもなくしソフトウェアもマック専用に書き直さなければならない状況にした。
当然発売したリサは高すぎて売れなかった。
だがジョブズは違うことを見ていた。
その合宿で、妥協はするな、するくらいなら延期しろ、旅こそが報い、つまり至高の任務の特殊チームであり、いつか辛かったことを忘れこの日々を最高の日々だったと思うということ、そしてここに集まった五十人がする仕事は宇宙に波紋を広げることになるということを言った。

◆第14章 スカリー登場 ペプシチャレンジ
後釜を探していたマイクマークラがスカリーと会い、ジョブズとスカリーは出会う。
そして「砂糖水売り続けるのか?それとも世界に衝撃を与えるのか?」とスカリーを口説き、スカリーはアップルへ。
だが、ジョブズはそれによって自分の力が弱くなっていると身構えた。

◆第15章 発売 宇宙に衝撃を与える
1984年のコマーシャルは伝説となった。
爆発的パブリシティを得て、マッキントッシュ発売となる。
それが1984.1.24。

◆第16章 ゲイツとジョブズ 軌道が絡み合うとき
1970年代末に始まるパーソナルコンピュータの30年、明確な連星として輝いたのは1955年生まれのエネルギッシュな大学中退者だった。
二人はお互いがお互いを下に見る関係だった。
ジョブズはマイクロソフトは美的感覚がないこと、これが問題だと思っていた。

◆第17章 イカロス のぼりつめれば堕ちるだけ
その頃はフランスの偉い人とも話し合うような身分になったが、不遜な態度は態度は相変わらず。
そんな男は堕ちていく一方に。発売に伴う興奮がおさまった後、販売は旧落下し、腹心は離脱していき、最後は取締役会にて野に降る。

◆第18章 ネクスト プロメテウスの解放
ジョブズと五人の海賊で新しい会社をつくるが、これは受託義務違反で訴えられた。
NeXTにはジョブズのこだわりを実装しすぎ、高すぎた。市場に受け入れられることはなくキャッシュの流出が続いた。

◆第19章 ピクサー テクノロジーミーツアート
ジョブズは芸術的創造性と技術系ギークを組みあわせた。はじめはレンダリングを自動化したいと考えていたのがディズニーに、ピクサーが工程のコンピュータ化の契約を獲得し、リトルマーメイドの最後に使われたことだ。
そしてジョブズがその才能を心から讃えたジョン・ラセターと出会い、優れた芸術と技術を組み合わせればアニメーションを一変させれることに気づく。

◆第20章 レギュラーガイ 凡夫を取り巻く人間模様
自分の生みの母について、育ての母に気を使い彼女が亡くなるまで探さなかった。
妹は作家になっていた。
自分自身、恋をし子供を持つようになった。

◆第21章 トイ・ストーリー バズとウッディの救出作戦
カッツェンバーグとジョブズ、二人の情熱家の交渉は何ヶ月も続く。
一人はピクサーの技術をもとめ、ジョブズはキャラクターをよこせ、と。
名人級の二人の戦いはピクサーが倒産寸前でありカッツェンバーグに分があった。
そしてともに映画をつくることに。
ラセターがつくるそれはトイストーリーとよばれた。
大ヒットし、IPO成功の起爆剤となった。
ジョブズは価値あるブランドを二つも残したことになる。
アップルとディズニー(ピクサー)という2つを。

◾️アクション

ソフトとハードで完結した形を求める、テクノロジーとアートの交差点など
自分の信念みたいなものを考える。

◾️読みやすさ

★★

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