0805アリさんと澤さん

【堀江愛利&澤円 特別対談】正直、起業はおススメしない。だが起業家のマインドセットは持つべき【第二章】By Hito Institute

2019/8/5開催『シリコンバレー発:未来を創るイノベーティブリーダーシップ育成塾とは? 〜 Global Innovative Leadership Program in Silicon Valley 〜』より
Hito Institute (by Women's Startup Lab) について 

第一章 「自分が生み出す側になる」のが重要な時代になっている

【堀江】 起業家っていうと、これまた大変ですよね(笑)
生活もあるし、お金もない。起業家を育成する立場ながら、皆さん私が「起業家こそが重要な生き方!」と思っているように思われるんですけど、実は起業家自体すごく大変なので、「やめた方がいいですよ」というのがベースです。(笑)
【澤】 (爆笑)割に合わない(笑)
【堀江】 ダメ?言っちゃ(笑)でも「やめろ」って言われてもやるから起業家なんだと思うんですね。資金がないとなかなかできないし、そういう意味では、企業内でアントレプレナー精神を持ち、自分のしたいことを企業とともにやる。企業もビジョンがあるわけですよ。普段はなんとなく「これをしろ」「あれをしろ」と…書類を作ったり、もう何かビジョンなんてないように感じるかと思うんですけど、実は会社自体も大変素晴らしいビジョンを皆さん持っていらっしゃいます。そこに自分のビジョンを合わせることというのがまた重要になってきます。
先ほど誰かに質問していただいたんですけど、「アメリカ人と日本人ってどう違いますか?」っていう話があったんですけど、日本っていうのは「我がままを言ってはいけない」「人に迷惑をかけてはいけない」っていう思いから、「自分を大切にする」「自分を問いかける」あるいは「自分がしたい」「できるんじゃないか」っていうところを、とにかく昔から摘むような教育というか環境になってしまいました。
ただこれからの時代、すごいスピードで物事が動き、会社も20年もつかもたないかという時代がやってくるわけですよね。
そうすると、その時点で皆さんが「職がなくなった」「どうしよう」っていうときに、何をベースにお仕事を探されるか?
あるいはやっぱり「自分の売り」というものを見つけることによって、「どんなに大変でもやっぱり楽しくなる」っていうベースのところをやっぱり持って生きていかないと、仕事もそうだし、人生これからどんどん長くなっちゃうばかりなんですけど、そういう意味ではやっぱりベースを作るというのが重要になってきます。
起業家を育てるという中でやはりすごく大きな違いというのが、「自分はこれができる、こうしたい」「できるかできないかわからないけどしたい」っていうところが、大きな違い。それを育てるという。
【澤】 うん
【堀江】 澤さんも大企業でお仕事をされながら、自分はこれができる、こうしたいっていうね。「プレゼンの神」というアウトプットのタイトルを皆さん思われてると思うんですけど、実はそのプレゼンの裏にですね、澤さんのビジョンもあるわけです。その澤さんのビジョンをぜひみなさんに。
【澤】 そうですね。これはシリコンバレーの合宿の中でもすごく掘り起こしていって、僕はそれに対して確信を持つことになったんだけど、ずっと言ってたのが「最大多数の最大幸福」っていつも言ってるんです。
どういうことかっていうと「人をハッピーにする」っていうことは僕にとってはもうライフワークであり、アイデンティティであると。それを最大多数にしたい。
要するになるべく多くの人に対してそれを届けたいとなると、一つのアプローチとしてプレゼンテーションっていうのは効率がいいわけですよね。1対多でやるっていうふうにやる。
そうすることによって、目の前でその人たちをハッピーにすることもできるし、その人たちに、プレゼンテーションというのは何かをプレゼントってよく言ってるんですけど、「贈り物を渡す」こと。再利用可能な贈り物を渡す。その人たちは部屋を出てそれを持って帰ることによって、他で何か誰かに提供してまたハッピーになる…って、このエコシステムを作る起点になりたいというのが僕の根っこの部分なんですね。
ですので、人の前で話をするということが目的になって好きなわけではなくて、あくまでもその結果として、その人たちが何らかの形でハッピーになったりとか、何か達成したりとか、成功体験を得たりとか、あるいはマイナスになっているところが浮かび上がってきたりとか、何か生き方や、ちょっとターニングポイントを得たりとか…、そういったきっかけになれるようにというのが僕の時間の使い方なんですよね。
気がついたのはずいぶん最近の話なんですけど、でもそれからは行動に全然ぶれがなくなった、というのはありますね。
【堀江】 そういう意味では Doing のところですね。実際にプレゼンを教える、あるいは会社で働くっていうのは毎日することですよね。Doing。
【澤】 Doingですね。
【堀江】 でも、その裏でその行動をする指示を出してるのはビジョンなわけですよね。澤さんのビジョン、つまり自分はこうありたいっていう Being。
Human Beingです、私達は。でも学校に行き会社に勤め…だんだん Human Doing と化してしまうんです。
【澤】 うんうんうん
【堀江】 こんなにいろんなことをして、お給料をもらい、ポジションも上がってるのに、なんで自分は満たされないんだろう?っていうシンドロームがあるのは、やはりその自分の何たるか、人間だ、これをしたい、っていう自分の Being を見失う中で、いくらしてもいくらしても満たされないっていうところ、そこになります。
起業家というのは、あんなにお金もなくて失敗ばかりして、何年もつらい思いをしていても、なぜあんなに生き生きしてるか?というと、やはりその Being のところから毎日の行動を決断し実行している。
そういう意味では、会社で仕事をしながらも、自分の Core Being ですね。ベースになる Being を見つけるというプロセスを一つ持ち、それをどういった形でイノベーションに繋げていくか?実際の仕事のアウトプットのところのイノベーションに繋げることもあるし、あるいは自分のキャリアをイノベーティブにやっていきたいとか。
皆さん、cell phone 携帯持ってらっしゃいますよね?アップグレードをいつぐらいしました?新しい携帯って何年ごとに買い換えてます?
【澤】 僕は全然参考になんないと思いますー。iPhone新作が出ると全部買う人間なんで(笑)
【堀江】 そうですよね(笑)
【澤】 そうそうそう。かつ必ず他のものも買うので。僕ガジェッターなんで。僕は多分、例外中の例外だと思うんです。だいたい2年ぐらいじゃないですか皆さん?2年以内に変えるって決めてる人どのぐらいいます?2年は使わないっていう人?(会場を見渡して)少ないですよね。
【堀江】 私達の周り、テレビもそうですけど、何だかんだとアップグレードしてますけど、私たちの社会あるいは思考回路って、アップグレードされてないと思いません?
【澤】 うん。
【堀江】 情報は入ってきてるんですよ、情報は。情報には困ってないですよね。
でも思考回路っていうのをまずアップデートしないといけない。
そういう意味では、携帯とかアップグレードする割に私達のオペレーションシステムはアップグレードされてない。
起業家の思考回路と、普通学校で学んだ…リニアシンキングっていうんですけど、「AをやってBをやってだからCになる」っていうステップバイステップ、あるいは「知識をベースに物事を考える・決断する」という思考回路と、未来の自分のビジョンですね、「未来はこういうことがあるんだろう」ということをベースに、opportunityあるいはチャンスをベースに、今現在の自分の行動を決める。過去をベースに現在の行動を決めるパターンとまた別に、起業家というのは未来に賭けて今を生きるんですよね。
それをすると不安でしょうがないじゃないですか。でも不安じゃなくて、わくわくしながら計画を立てて、実際に結果を出していくっていうのが起業家のマインドセットなので、その思考回路を今現在の思考回路とは別に、リワイヤって言うんですけど、それをプログラムで少しずつ4日間していきます。
【澤】 かなり皮を剥いでいくプロセスをずっとやりますもんね。
【堀江】 そうですね。
【澤】 やってることってものすごい奇をてらうようなことをやるわけでも何でもないんですね。何か特別な機械が出てくるわけでも、信じられないアプリケーションが出てくるわけでもなく、どっちかっていうと、紙とペンでひたすらやるようなイメージですよね。やっぱその言語化のプロセス、思考のプロセスを自分の中でずっと回していくっていうのもそうだし、それを共有する。10人前後ぐらいの人数でやるわけなんですけど、お互いにそれを共有し合っていく、共有して共鳴する。というふうにしていくことで、だんだんだんだん変化が生まれていくっていう…そのプロセスの中でいろんな発見があるんですよね。
【堀江】 そうですね。皆さん、もう今情報には困らない。インターネットもある、と。本もあるので、いろいろ読んだりする中で学びがあるんですけども、実はそのグループでそういった深い話をするとですね、自分が考えている中に澤さんが言ったことが急に刺さったりするんですよね。「あ、これなんだ」って。もうこれがまたね、人数が100人になっちゃうと、だんだん人の話が聞けなくなって、その響きが薄くなってしまう。
そういう意味では、1人ではできない。また本を読んで学ぶスピードとも違い、少人数である程度選ばれた人の中で深い会話をするっていうことが、すごく重要になってきます。
【澤】 すぐあのときよかったなあと思ったのは、だんだん見栄張らなくなってくるんですよね。要するに、社会的地位だったり肩書きだったりよりも大事なことがあるなって気づき始めてから、もう本当に言葉の出方が変わってくるプロセスが感じられる…っていうところがすごく面白かった。それは多分、新橋の飲み屋では起きない変化なんですよ。
【堀江】 笑!
【澤】 あそこはやっぱり名刺ありきの社会が非常に多く繰り広げられているんで、それを取り上げちゃったら思考ができないっていう世界に生きてる。それが全部駄目だとは言いませんけど、その中ではできない経験だったり体験っていうのがそこにあるなって感じがしますね。
あとはやっぱり起業家の話がちょっと出てましたけど、僕が会ってるのは、例えば FiNC ってここの会社もそうですけど、起業してかなりのところまでいってる連中ってやっぱり頭おかしいですよ(笑)
完全に狂ってますよね。いやようやるわーと思うもん(笑)だけどだから人がくっついてくるんだろうなって。
あまりにも地雷源を全力疾走するような連中ばっかりだから。「いやそこは危ないよ」って言ってる連中がなんとなく集まっていって、結果的にはうまく仕組みができていて。でもそいつはとにかく「前に進むことしか考えてない」みたいな。そういったのがやっぱ本当にアントレプレナーシップの究極かなと思いますね。

(第三章につづく)

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◆ GILP / Global Innovative Leadership Program (presented by Hito Institute) とは

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第一章 「自分が生み出す側になる」のが重要な時代になっている

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