見出し画像

ウイスキーの偽物を掴まない為に


ワシじゃ! ミーミルじゃ。

ウイスキー初心者が特に気にするトピックといえば、山崎や白州がどこで買えるかという話、そして「ウイスキーの偽物」の話みたいじゃ。


ググると出てくる

この「偽物」というのは、ガチな偽物であり、「ジャパニーズウイスキーのフリをした漢字ラベルの変なやつ」という事ではない。そのものズバリ、山崎や白州やマッカラン等、レアなウイスキーの偽モノが出回っている事について、初心者の人はみんな怯えておる。

悪人の手にかかれば、高額ウイスキーの空き瓶を調達し、そこに適当なウイスキーを詰めて、元通り封印して偽物を売る事は技術的に可能じゃ。なんと恐ろしい話じゃろうか。

しかし結論を言うと……そういうものは確かにこの世に実在するが、普通のお店で買っていれば出会うことはないんじゃ。

危ない場所……それはすなわち、フリマアプリやオークションや中古販売じゃ。フリマアプリやオークションでウイスキーを買うのは危険じゃ。はっきりいって、それだけの話じゃ。

なぜ個人から買う? 初心者がなぜ? 正直、信じられん。個人から買ってはならん。


まとめ

・ルール1:酒店で偽物が売られる事は、ない(メーカーの営業を受け、メーカーに発注をかけ、メーカーから入荷するんだから、当たり前じゃ)

・ルール2:フリマアプリやオークションで買うな。マケプレで買うな。質屋もやめておけ

・ルール3:酒店で買え

・ルール4:酒店で買え

これだけじゃ。以上じゃ。

「キャップの凹凸の違いで見分ける」とか「酒の色で見分ける」とか「封印シールの点線の角度で見分ける」とか、ちゃんちゃら素人もいいところじゃ。そんなものは何の確証にもならん。

本物でもロットごとに酒の色味が違ったりラベルのマイナーチェンジやキャップの仕様変更はしょっちゅうじゃ。そんな不安定な要素を材料に、本物か偽物かの判別が出来るワケがないんじゃ。今度は本物を偽物と疑う事態が無駄に発生してグチャグチャになるだけじゃ。


こんな事をヒトに訊くな

初心者に限ってウイスキーの偽物をやたら気にする。妙な話じゃ。

偽物! ショッキングで怖いんじゃ! そのせいか、初めましての挨拶のタイミングで「初心者です! 買ったウイスキーが偽物かもしれなくて心配なので教えてください!」みたいな奴が後から後から現れおる。めちゃくちゃダルいんじゃ。これっぽっちも楽しい話ではないし、そんな事聞かれても答えようがないからじゃ。

いにしえのインターネットには「教えてくん」という蔑称があった。

初心者を称する人間が突然現れ、自分で調べもせず安直な質問ばかりした挙げ句、答えをもらっても何も感謝せずに無言で消える。一方的に聞かれた側は最悪の気分じゃ。ウイスキーにおいて、この「教えてくん」と「これ偽物ですか?心配です」は大体セットなのじゃ。

みんな本来、初心者には優しくしたいのが人情じゃ。それを踏みにじるのが「教えてくん」なのじゃ。不毛な連中が令和の今また復活するのは耐え難い事じゃ。

ネットがリテラシーしている人間は、偽物ニュースを見たとき、「じゃあ何が安全で何が危険なのか」を頭の中で一回考えるじゃろう。タイにジョニ黒の偽物工場があった? それは面白ニュースであって、日本に住んでるアンタには関係ない。なんでジョニ黒の偽物工場を本家のディアジオ社がわざわざ流通させて日本に持ってきて酒屋に発送するんじゃ? こんな全然ありえない話はどうでもいい事じゃ。そういうニュースを見るたび、せっかちな奴は早合点して世の中の全てに当てはめ、「あれも偽物? これも偽物!? ウワーッ!?」とパニックになってしまう。そして見ず知らずのウイスキー愛好家に「偽物ってどうなんですか?」とか訊いてまわる。地獄じゃ。

無論、偽物は実際、アンタのすぐそばにあるとも言える。フリマアプリやオークションのような個人売買の場でウイスキーを買うという安易な選択をすれば、すぐに危険と隣合わせになる。しかし普通の酒店で買う限り、そういう心配は無縁の話なんじゃ。

メーカーや正規のバイヤーから入荷する品に、他所から偽物が紛れ込むような事はない。なにがヤバいかも吟味せずに、ヤバいヤバいととにかく大騒ぎして右往左往しても何もいい事なしじゃ。

もう一度言う。こと、ウイスキーにおいて、個人売買は相当危険な自己責任の購入手段じゃ。他に手段がないときに、リスクを踏まえて、ダメもとで、危険覚悟でやるものじゃ。

なのに初心者は何故か、初手でフリマアプリとか使って、酒類販売業者でもない、誰だかわからない個人から、ウイスキーの高いやつを買おうとするんじゃ。それで後であれこれ心配して訊いて回るんじゃ。何故、わざわざ自分から一番リスキーなところに飛び込んでいこうとするんじゃ? 今すぐ選択肢から外すんじゃ。

そもそも、今日日はウイスキーが品薄で高額である事が誰にでも知られているので、掘り出しモノ価格でフリマアプリに特定のウイスキーが出る事などありえん。欲の皮つっぱらせた価格でしかフリマには出ておらん。最初から期待せん事じゃ。


長々書いてきたが、要は、「個人売買を避ける」それだけでいいんじゃ。それだけで、偽物を過度に恐れる必要はなくなるんじゃ。

「だってじゃあ酒屋に悪い人がいておかしなことをしている可能性は……?」「販売店のバックヤードに人が忍び込んで偽物とすり替えたら……?」……無論、その可能性はゼロではない。しかし、それを言い始めたら、人間はいつだって犯罪に巻き込まれる可能性はあるし、いつだって隕石が頭の上に落ちてくる可能性はあるんじゃ。理不尽なリスクがゼロの人生はありえないんじゃ。そのレベルの心配をするのはナンセンスじゃ。

もっと言うと、山崎や白州を思考停止で追い求めて「山崎山崎山崎!白州白州白州!」と右往左往する事自体が人生の浪費じゃ。モルト、グレーン、シングルモルト、ブレンデッド、シェリー樽、バーボン樽、そういうアレコレが何もわからんうちから山崎や白州に特別にこだわる必要がどこにあるのか。他のウイスキーを飲んだ事がないのに、偽物も本物もないじゃろう?

今日はここまでじゃ。またの。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?