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ご免侍 二章 月と蝙蝠(二十六話/三十話)
あらすじ
銀色の蝙蝠が江戸の町にあらわれる。岡っ引き達が襲われていた。芸者のお月が一馬に傷を負わせる。
「水竜!」
女の怒号が響くと手裏剣が、坊主頭の男に向かって投げられる。手裏剣を八角棒で払うと水竜と呼ばれた男は、後ろにじりじりと下がり始めた。
「月華か、抜け忍のお前には関係ない」
「兄様はどこだ」
「馬鹿か、兄は我らに賛同している。徳川幕府は終わりだ」
坊主頭の男は、さらに後ろに下がりながら逃げ道を探している。水竜と呼ばれた男は懐から何かを取り出すと一馬に向かって投げた。
「旦那、下がって!」
岡っ引きのドブ板平助が叫ぶ、一馬は火薬と考えて飛び退いた。一馬に当たる筈の紙包みは地面に落ちると崩れて粉が舞い上がる。
「目潰しか」
目潰しといっても馬鹿には出来ない、唐辛子やギヤマンを砕いてまぜる場合もある。もちろん目に入れば、角膜を傷つけて目をつぶせる。
地面に落ちた目潰しは、広がりもせずに粉も舞わない。気をとられている間に水竜は、どこかに消えていた。
一馬のすぐ横を、忍び装束の月華が走り抜ける。水竜を追うようにどこかに消えてしまう。
「旦那、今の女は何者です」
「さぁな……」
(お月が、犯人じゃなかったのか……)
どこかで本物の蝙蝠が、キィキィと鳴いていた。
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