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SS 暗殺者 猫探偵07

あらすじ
奇妙な機械が歩き回る都市では動物と人間が会話しながら生活していた。人間の娘のニーナを助けると猫探偵のロイは家で飼う事にする。

「ポッポーポッポー」
 鳩がうるさい。ドアをごつんごつん叩いている。ドアを開けるとポッポが居た、頭は鳩だが体は人間だ。

「始末人か?用件はなんだ」
 自分から暗殺を引き受けると宣伝しているが成功した話は聞かない。だいたい暗殺者が自分が殺しましたなんて宣伝するわけがない。

「娘を出せ!」
 やつが銃をつきつけるのと同時に俺は壁にある電磁シールドのボタンを叩く。青紫の殺菌灯のような光が輝く。敵の電子部品を全て破壊をする。金属は磁気を強く帯びてデータを攪乱する。よくある防護装置だ。

「熱い」
 ポッポが銃を落とす。強い磁気で電子銃のエレクトロニックカートリッジが過熱した。小型の電子銃が熱をもった。俺はポッポの腹にめがけてパンチ入れる。

「どうしたの?」
 ニーナが歩いてくる、パンツ一枚ではしたない。こいつは家に居る時はかなりだらしがない。人間の娘はこんなもんなのか?気絶したポッポを部屋に入れると椅子に縛り付けた。

「んん、はっ、ここはどこだ?」
「どこだじゃねえだろ」
 ポッポの頭を叩く。話を聞くと、ニーナの暗殺を頼まれたと白状した。依頼主は言えないの一点張りだが両親しか居ない。

「お前の命は、ニーナに決めさせる」
「ええ!家に帰ると子供も居るんです」
 ポッポは椅子をガタガタさせて懇願する。こいつがなんで始末人をしているのかよく判らない。

「お前はその子供を殺しに来たんだが?」
 ポッポはうなだれた。俺はニーナを見ると許してあげてと言われた。俺はポッポを椅子から解放してやる。

「今度、狙ったら頭をヤキトリにしてやる」
 手製のティザーガンを見せる。ポッポはウンウンと頭を縦にふる。ニーナがポッポに近づく。

「私は財産もいらない、だからそっとしておいてと伝えて」
 死を覚悟した娘だったが今は生きるのが楽しい。そんな哀れな娘を両親は許さない。個人の生体データが財産と直結する世界だ、クローンで誤って作られた彼女が生きていると危険だ。同じ人間が二人いれば混乱は必須と考えている。

 俺は思案をした。ポッポを利用する事にする、時間稼ぎはできる筈だ。

「ポッポ、今回は失敗と伝えろ」
 ポッポは理解をした、ニーナを倒せないのは俺が居るからだと判れば狙いは俺に移る。問題はこれから強敵が参入する事だ。本格的な暗殺者が来るのを覚悟する。

続く


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