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SS 秘密の情報 猫探偵06

あらすじ
奇妙な機械が歩き回る都市では動物と人間が会話しながら生活していた。人間の娘のニーナを助けると猫探偵のロイは家で飼う事にする。

「ロイ、まだあんた人間を飼っているの?」
クロミだ。黒い毛皮はビロードのように美しい。彼女は有名なハッカーとして活躍している。たまに俺の味方にも敵にもなる。利害が一致するか不一致かだけで俺は気にしない。

「まだ来たばかりだ、生活に慣れるまでは面倒を見る」
それが飼い主としての責任だ。俺はニーナを殺さないで助ける選択をした。彼女が生活できるように気を配るのは当然だ。なぜ俺はそんな言い訳がましい事を考えているのか不思議に感じている自分もいるのを理解している。

「昔から同じね、わざわざ荷物を背負いたがる」
クロミは憂鬱な顔を見せた。こんな時は頼み事だ。俺は引き受けると言うと、嬉しそうに彼女は笑うが歯を見せるとかなり怖い。

「電脳空間から排除されたデータが欲しいの」
どうやら規格が古すぎるのかデーターがコンバートされていない。データを今の電脳空間に置かなければ、無いと同じだ。誰かが必要としている。サルベージするのは力仕事になる。

「ねぇ、何をしているの?」
ニーナが不思議そうに俺の格好を見る。たしかに不格好だ、鉄のフレームに覆われた俺はまるでロボットだ。本当なら無人操作で調べる筈が、無線も有線も不都合な場所にある。ネズミに頼んで運んで貰う。現場はゴミ置き場。

通路の漏斗状の階段を下に降りると地獄へ歩く罪人に感じる。年代ごとにデータを保管しているが実際は誰も管理していない。

「地方議事録」「人口流出記録」「気温調査」
無数のデータが保管されている。誰もアクセスしない記録。昔の媒体で保管されている。俺は目当ての物理記録装置を探し出した。

xxx

「これでいいのか?」
クロミが自分のコンバーター装置を取り出すと物理記録装置からデータを引き出す。彼女は納得すると、物理記録装置に銃を向けて全ての弾を叩き込み破壊をした。金属片がいきなり飛び散る。俺はあわてて後ろへ飛び下がる。

「いきなり撃つな!」
俺は怒りでフーフー怒るとクロミはケラケラ笑いながら、破壊が目的よと説明をした。どうやら依頼主に不都合なデータが残っていたので消したいらしい。

「おい、お前はさっきそこのデータを……」
「お黙り」
クロミはデータを確認する目的で、データを抜き取った。保険だ。依頼主が次はクロミを口封じするかもしれない。それを防ぐために脅しのデータを残した。結局は依頼主がデータを拡散する可能性を増やした。俺も狙われる?。用心するか……

続く


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