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今描くトースト

珍しく雨に降られずに1時間ほど走った。家に帰ってシャワーを浴びてから朝ごはんの準備に入る。お気に入りのパン屋の山型食パンをキッチンの奥にみつけて、袋から1枚取り出してトースターに入れる。シンク下の棚からフライパンを取り出してコンロの上にのせて火をつける。

冷凍庫から取り出した凍ったベーコン二切れをフライパンにいれる。ジュー、という音とともにベーコンが色づいてくる。フライ返しで何度か返して、焼き上がったベーコンを白い皿に移す。トースターのタイマーを3分半にセットしてスタートする。

冷蔵庫から卵を一つ取り出して平らな場所で割ってフライパンに落とす。ジュー、という音がしてフライ返しで広がる白身を防ぎながら、カップに入れた水をフライパンに注ぐ。ジュワー、という音がしてフライパンに蒸気が溢れる。ガラス蓋を被せて蒸気を閉じ込める。

電子音が鳴ったトースターから焼きあがったトーストを取り出して、ベーコンがのった皿に移す。冷蔵庫から取り出したバターを素早く塗って溶かしてトーストの表面に薄く伸ばす。

水滴がついたガラス蓋の向こうにみえる黄身の表面に薄らと白い膜ができている。火を止めて蓋をシンクに置いて、フライ返しで半熟の目玉焼きをトーストの上にのせる。用意してあったフォークを黄身に突き刺すと、トロッと黄身があふれ出してトーストの上で白身のやわらかい部分と混じり合う。あふれた黄身はトーストのバターが塗られた部分にまで広がり染み込む。テーブルに置いてある塩とブラックペッパーを適量振りかける。

椅子に座り白い皿の上に置かれた目玉焼きトーストを右手に持ちかじりつくと、塩とブラックペッパーで味付けされたトロトロの黄身とほどよい食感の白身とバターが染みこんだトーストが口のなかで合わさる。Good job。

食べ終わった後に珈琲を淹れることにしたのは、目玉焼きトーストの出来上がりと珈琲のタイミングを合わせる自信がなかったからで、今から湯を沸かそうと目玉焼きトーストを置いた皿の端にあるベーコン一切れをフォークに刺して口に運び、椅子から立ち上がってケトルに水を入れコンロにのせて火をつける。

ダイニングの椅子に座り直して、目玉焼きトーストを右手に持って二口目を食べているとリビングに居た家内がダイニングにやってくる。それ美味しそうね、と家内が言う。朝ごはん食べたんだろ、とぼくは言う。食べたわよ、と家内が言うので、珈琲は飲む?、と訊くと、淹れてくれるなら飲む、と家内は応える。火にかけたケトルの水は急いで温度を上げる。食べかけの目玉焼きトーストを皿に置いたぼくは、コーヒーサーバーとフィルターのセットを取りにキッチンの奥に向かう。珈琲豆はコンゴがあったかな。


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