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プロ野球の運営会社はどんな会社?♯1 オリックス株式会社

 以前、イチローさんが「オリックスは何をしている会社かご存知でしょうか?」と話すCMが流れていたことがあるのですが、確かにプロ野球12球団の中で事業内容をいちばんイメージできないのがオリックスかもしれません。一方でオリックスは大きな利益を出している企業というイメージもありますし、2023年3月期、つまり2022年4月からの1年間でオリックスグループは270億円以上の利益を出しています。2023年に3連覇を果たしたバファローズを運営するオリックスはどのような企業なのかを今回は調べました。

◯始まりはリース会社

 1964年4月、現在のオリックス株式会社であるオリエント・リース株式会社が設立されました。リースは端的に説明すると、誰かに何かを長期間貸すことです。レンタルが短期間の貸し出しに対して、期間が年単位になることもあるのがリースの特徴です。

 オリックスの公式サイトにオリックスの事業を確認できるページがあるのですが、1964年に「機械設備リース、測定機器、情報関連機器のリースおよびレンタル」と書かれています。創業当初のポスターには「鯨がとりたかったら・・・捕鯨船をお貸しします」というインパクトあるキャッチフレーズが書かれています。現在でも会社のコピー機(複合機)などはリースの定番になっていますが、その文化が日本で始まったのがこの頃だったのだと思います。

◯リースを柱に金融とモノ(物件)の大企業へ

 1971年に船舶、1973年に車、1978年に航空機、1986年に不動産とモノ(物件)に関するリース事業を拡大していきますが、それと同時にオリエント・リースは金融にも力を入れます。

 誰かが新しく事業を始める際、会社の機械設備をリースするのにも、当然お金が必要になります。モノ(物件)のリース事業を拡大するために1973年からオリエント・リースは金融事業にも力を入れるようになりました。1973年に融資(法人融資・住宅ローン・カードローン)、1983年に投資(事業再生なども含む※京セラドーム大阪はオリックスによる事業再生の成功事例の1つだと思います)、1991年に生命保険、1998年に銀行と金融事業を拡大していきました。

◯なぜプロ野球球団を買収したのか

 1988年10月19日、近鉄バファローズが優勝を懸けたダブルヘッダーを川崎球場で戦った日、オリエント・リースが阪急ブレーブスを買収することが報道されました。この日はこの2つ以外にも、東京地検によるリクルート事件の強制捜査など大きなニュースが重なった中、近鉄の試合を放送していたテレビ朝日(当初は関西のABC朝日放送が単独で放送していましたが、あまりの盛り上がりにテレビ朝日も急遽対応)でニュースステーションの放送が始まったものの、野球中継を終えるわけにもいかず、キャスターを務めていた久米宏さんが「助けてください」と苦笑いでカメラの前で語るほどでした。

 球団買収の背景ですが、阪急電鉄は当時、エンターテイメントの事業の柱としてプロ野球球団と宝塚歌劇団を運営していたのですが、両方を運営するのが苦しくなったため、結果的に球団を手放すことにしたのです。一方、オリエント・リースは翌1989年4月1日から社名をオリックスに変更することが決まっていたため、新しい社名を世の中に浸透させるために球団運営に興味を持ったようです。

◯結局、オリックスはどの事業で利益を出しているのか

 では、オリックスは結局どの事業で利益を出しているのでしょうか。2023年3月期の有価証券報告書を確認すると、最も利益を出しているのは、やはり法人営業・メンテナンスリース事業で約736億円の利益があります。2番目は不動産で約515億円、3番目は米国事業で約490億円です。

 ちなみにオリックスバファローズはオリックスグループの中でどの事業部(セグメント)にも属しておらず、京セラドーム大阪もオリックスグループが運営していますが、球団と同じく、どの事業部にも属していません。実はオリックスバファローズの純利益については公表がされていないようで、かなり調べたのですが、具体的な数字を見つけることはできませんでした。

 しかし、オリックスグループが京セラドームを運営しているため、バファローズが球場の使用料を支払う必要がない点(支払っているとしても、オリックスグループの中でお金が動いているだけ)、2023年シーズンに大きく観客動員数を伸ばした点などを考えると、バファローズは安定した黒字経営ができていると思います。

 「オリックスバファローズはファンが少ない」と揶揄されることが多いですが、今でもそのように思っている人は2023年のバファローズの試合を観ていないと思います。京セラドームはもちろん、ほっともっとフィールド神戸、他の球場でもバファローズファンはかなり増えました。

 2023年の日本シリーズ、「タイガースファンが京セラドームをジャックするのではないか」と言われていますが、そんなことはないと思います。きっとバファローズファンもたくさん来場して、素晴らしい日本シリーズになるはずです。

2023年シーズン、バファローズがパ・リーグ3連覇を果たした試合終了後のライトスタンド



◯出典
・オリックス株式会社(オリックスグループサイト) 2023年10月23日
https://www.orix.co.jp/grp/

・オリックス株式会社(オリックスグループサイト) 財務データ 2023年10月23日
https://www.orix.co.jp/grp/company/ir/financial/financial_highlight/

・オリックス株式会社(オリックスグループサイト)  オリックスの事業 2023年10月23日
https://www.orix.co.jp/grp/company/about/business/

・オリックス株式会社(オリックスグループサイト)  オリックスの歴史 2023年10月23日
https://www.orix.co.jp/grp/company/about/history/

・双日株式会社 オリエント・リース(現・オリックス)の設立 2023年10月23日
https://www.sojitz.com/history/jp/company/post-18.php

・『ニュースステーション』1988年10月19日放送(テレビ朝日)

・オリックス株式会社(オリックスグループサイト)  有価証券報告書 2023年10月23日
https://www.orix.co.jp/grp/company/ir/library/securities_report/backnumber/202303.html


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