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プロ野球の運営会社はどんな会社?♯2 阪急阪神ホールディングス株式会社

 現在、プロ野球の阪神タイガースを運営しているのは阪急阪神ホールディングスで、2006年から阪急グループと阪神グループは経営統合をしています。今回は阪急阪神ホールディングスの中の阪神グループ出身の事業に注目していきます。

◯始まりは鉄道事業、甲子園球場が導いたタイガース誕生

 阪神グループの始まりは鉄道事業です。1899年に摂津電気鉄道株式会社を設立、すぐに阪神電気鉄道株式会社に改称しました。

 鉄道事業の次に取り組んだのが甲子園球場の建設で、何と1924年に建設されました。2024年に100周年を迎える甲子園球場の建設が阪神グループの運命を大きく変え、タイガースの誕生に大きく繋がっていきます。

 プロ野球(NPB)12球団の中で最も歴史があるのは読売ジャイアンツで、1934年に前身となる大日本東京野球倶楽部が設立されました。ジャイアンツの設立者である正力松太郎氏の働きかけによって、翌年の1935年に阪神タイガースの前身となる大阪タイガースが設立されました。正力氏はジャイアンツが東京のチームということで、西日本最大都市の大阪にもプロ野球球団を作りたいという構想を持っていました。しかし、すぐ隣の兵庫県、しかも大阪市内から距離が近い西宮市内に阪神甲子園球場が既にあったため、甲子園球場を所有する阪神電気鉄道に働きかけたことでタイガースの誕生に繋がりました。つまり、タイガースが誕生したから甲子園球場を建設したのではなく、甲子園球場が既にあったのでタイガースが生まれたのです。

 1933年に小売業に進出し、1940年に現在の阪神梅田本店である阪神マートを大阪駅前地下に開業、1967年にはホテル事業を開始、これらは現在でも続いている事業です。

◯結局、阪急阪神ホールディングスはどの事業で利益を出しているのか

 阪急阪神ホールディングスは2023年3月期、つまり2022年4月からの1年間で約157億円の当期純利益を出しています。セグメント別で見ると、2023年3月期に最も利益が多かったのは不動産で約278億円、2位は都市交通で約224億円、3位は旅行で約152億円、タイガースが含まれるエンタテインメントは4位で約126億円でした。

 阪急阪神ホールディングスと不動産事業はあまりイメージが結びつかないかもしれませんが、例えば、阪急百貨店や阪神百貨店が入っているタワーはどちらも阪急阪神ホールディングスが保有しており、グランフロント大阪、阪急西宮ガーデンズ(この場所にかつてあったのが阪急ブレーブスの本拠地だった阪急西宮スタジアムです)なども阪急阪神ホールディングスの不動産です。これらの不動産には企業や店舗などが入っているため、その利用料が阪急阪神ホールディングスに入ってきます。そのため、不動産が阪急阪神ホールディングスの事業の柱になっており、うめきたエリアなどの開発事業に力を入れるのも、不動産の価値を高める目的があるからです。

 2番目に利益を出しているのは都市交通、鉄道・バス・タクシーがこの中に含まれます。これら以外にも駅ナカで展開している小売業、鉄道や駅の広告収入も都市交通事業に含まれます。

 3位が旅行、個人旅行だけでなく、社員旅行や修学旅行などの団体旅行、他にもコールセンターの請負事業も展開しており、旅行業に含まれます。

 タイガースが含まれるエンタテインメントは4位ですが、タイガースが試合をすることによって生まれる鉄道収入、甲子園での試合前に阪神梅田本店で買い物をする人が多いことなど、タイガースによって生まれる波及効果を考えると、タイガースは阪急阪神ホールディングスの中で貢献度が高い事業だと思います。


◯出典
・阪急阪神ホールディングス株式会社 2023年10月25日
https://www.hankyu-hanshin.co.jp/

・阪急阪神ホールディングス株式会社 グループのあゆみ 2023年10月25日
https://www.hankyu-hanshin.co.jp/corporate/history/

・阪急阪神ホールディングス株式会社 有価証券報告書 2023年10月25日
https://www.hankyu-hanshin.co.jp/ir/library/secreports/

・阪急阪神ホールディングス株式会社 グループの事業領域 2023年10月25日
https://www.hankyu-hanshin.co.jp/corporate/about_us/

・阪神タイガース 優勝特設サイト 2023年10月25日
https://v2023.hanshintigers.jp/

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