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中日ドラゴンズが大人気の理由


 2023年シーズン、中日ドラゴンズの成績は低迷していますが、6月30日終了時点でのドラゴンズ主催ゲームの平均観客動員数は28790人、36418人収容のバンテリンドームに35000人以上の観客が詰めかける試合もあり、今のドラゴンズは間違いなく人気球団です。2013年以降、Aクラスに入ったのは2020年のみ、長きに渡り低迷が続いているドラゴンズですが、何がファンを惹きつけるのかを今回は考えてみました。

◯親子2代・3代のファンが多い

 日本のプロ野球は1934年に正力松太郎氏が読売ジャイアンツの前身となる大日本東京野球倶楽部を設立したことから始まりました。東京・大阪・名古屋の大都市に球団を作りたいと考えた正力氏の働きかけの結果、阪神甲子園球場を所有する阪神電気鉄道が1935年に阪神タイガースの前身となる大阪タイガースを設立、新愛知新聞社(後の中日新聞社)が1936年に中日ドラゴンズの前身となる名古屋軍を設立しました。

 ドラゴンズはジャイアンツやタイガースに負けない長い歴史があり、そのほとんどを名古屋の球団として過ごしています。スポーツチームを応援するきっかけとして「親がファンだから」というのは定番ですが、愛知県内や東海地方には親子2代・3代に渡るドラゴンズファンが多いのだと思います。これは球団創設後、90年近く同じ地域をフランチャイズにしている球団の強みであり、途中で移転をした球団や新規の球団にはない強みです。

◯定期的にリーグ優勝をしている

 ドラゴンズは1954年に初めてのリーグ優勝と日本一を達成、次のリーグ優勝はそれから20年後の1974年になりますが、ドラゴンズは1970年代・1980年代・1990年代・2000年代・2010年代の全てで必ず1度はリーグ優勝を達成しています。セ・リーグの球団で5世代に渡りリーグ優勝を達成しているのはジャイアンツとドラゴンズのみなので、これは非常に価値のある記録です。リーグ優勝はそのチームを好きになる大きなきっかけになるため、これもドラゴンズファンを増やす要因になっていると思います。

◯愛知県のスポーツ界はブルーオーシャン(競合がいない、少ない状況)

 2022年10月1日時点での名古屋市の人口は2325778人でこれは全国の都市の中で3番目の多く、愛知県も7497521人の人口を有しており、これは全国の都道府県の中で4番目に多い数字です。しかし、名古屋市と愛知県は人口の多さに対して、スポーツチーム(特に野球とサッカー)が非常に少なく、愛知県周辺の地域で考えても、競合するチームは多くありません。

 例えば、ドラゴンズ以外のNPB11球団の中で名古屋から近い球団は東は横浜DeNAベイスターズ、西はオリックスバファローズになってしまいます。関東や関西に住んでいると、地元のチームとして応援する選択肢になるチームがいくつかありますが、愛知県や東海地方に住んでいると、中日ドラゴンズ以外に地元球団がないのです(静岡県は東に行くほど、東海よりも関東の文化が強くなるため、この限りではありません)。

 サッカーに関しても2023年現在、Jリーグのクラブで愛知をホームタウンにしているのは名古屋グランパスのみです。愛知は人口に対するスポーツチームが少ないため、ドラゴンズが拠り所になっている部分があるのだと思います。

◯選手が長くドラゴンズで活躍してくれる

 ドラゴンズはフロントの選手に対する待遇について、トラブルになることが定期的にあるのですが、一方で長くドラゴンズで活躍してくれる選手が多く、それがドラゴンズが愛される要因の1つになっていると思います。山本昌投手や岩瀬仁紀投手などドラゴンズ一筋で現役生活を全うした選手もたくさんいますし、立浪和義監督もWBCでコーチを務めたことはあるものの、それ以外はプロ野球の選手としても指導者としても、ドラゴンズ以外のユニフォームは着ていません。愛知や東海地方以外のドラゴンズファンの方に話を聞くと、「好きな選手がドラゴンズにいるから、ドラゴンズファンになった」という答えが非常に多いです。魅力ある選手が多く在籍していること、長くドラゴンズで活躍する選手が多いことはドラゴンズが愛される大きな要因になっているはずです。

◯ドラゴンズが強くなるためにドラゴンズファンができること

 現在のドラゴンズはチームの成績は低迷していますが、観客動員数は安定しているため、フロントにとっては都合の良い状況になってしまっていると思います。これはスポーツチームのジレンマになってしまうのですが、いちばん利益が出るのはチームの成績が低迷して、選手の人件費は抑えられるが、多くの観客を動員できるチームです。ドラゴンズはこの状況に陥っていると思います。

 ドラゴンズの親会社は中日新聞社ですが、中日新聞社は非上場企業のため、一般投資家が株を購入することが難しく、ドラゴンズファンが中日新聞社の株を買って、株主総会で意見を出すことは困難な状況です。

 ではドラゴンズが強くなるためにドラゴンズファンができることは何なのか。私がドラゴンズファンなら、それでも球場に足を運んでドラゴンズを応援することがドラゴンズが強くなることに繋がると思います。現地で応援することが選手の力になることは間違いありません。もしも、中日新聞社やフロントにどうしても不満がある場合はビジターのドラゴンズ戦に足を運べば良いと思います。セ・リーグは関東から広島の間に球団が集中しているため、その気になれば少ないお金で遠征ができます。現在のドラゴンズは賛否両論ありますが、選手の入れ替えが一時期よりも増えており、現状を打破する意志はあると思います。今のセ・リーグは圧倒的に強いチームがないため、ドラゴンズにも優勝するチャンスはあるはずです。多くのファンに愛されるチームだからこそ、もう1度、強いドラゴンズを取り戻してもらいたいです。


◯出典
・NPB.jp 日本野球機構 2023年 セ・パ公式戦 入場者数 2023年7月1日
https://npb.jp/statistics/2023/attendance.html

・都道府県市区町村 ランキングデータ都道府県市区町村の人口・面積・人口密度ランキング 2023年7月1日
https://uub.jp/rnk/c_j.html


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