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大阪 梅田でヨドバシカメラが大成功した理由

 私は大阪で生まれ育ちましたが、家電量販店といえば梅田のヨドバシカメラが真っ先に頭に浮かびます。人によっては難波のビックカメラなどを思い浮かべる人もいるでしょうし、大阪に本社を構える家電量販店もあります。ヨドバシカメラは東京に本社を置いているため、大阪で最初から馴染みがあったわけではなく、現在も大阪のヨドバシカメラは梅田の1店舗しかありません。今回は梅田のヨドバシカメラが大成功した理由について考えていきます。

◯梅田にヨドバシカメラが進出するまで

 梅田のヨドバシカメラはヨドバシカメラ西日本進出最初の店舗として2001年に開業しました。ヨドバシカメラは1997年にオープンした仙台店を皮切りに通常よりも大きな店舗面積と品揃えを誇るマルチメディアの店舗を展開しており、梅田の店舗もこれに当たります。梅田のヨドバシカメラの売上高は年間1000億円を超え、これは家電量販店の中では日本一を誇ります。

 梅田のヨドバシカメラの土地は元々、JR西日本が本社を構えていましたが、旧国鉄の債務を減らす目的で土地の価値が高かったこの場所を明け渡すため、更地になりました。そこに西日本進出のため、出店場所を考えていたヨドバシカメラの目に止まったことで、出店が決まりました。

 梅田はJRや私鉄の各駅があり、公共交通機関でのアクセスが便利な上、駐車場さえ構えれば、車でのアクセスも比較的便利な場所のため、大型の家電量販店を出店するエリアとしては最高の立地でした。大阪で全く馴染みがないヨドバシカメラの大型店舗を梅田に出店することを懸念する意見もあったそうですが、ヨドバシカメラにとっては勝算があったのだと思います。

◯梅田のヨドバシカメラが大成功した理由

①大型の駐車場を構えたこと

 大阪の大型家電量販店として難波のビックカメラもありますが、ビックカメラなんば店はヨドバシカメラマルチメディア梅田店が開業する約半年前にオープンしました。難波のビックカメラの近くには日本橋があり、ここは大阪の電気街として有名なエリアでした。大型の家電量販店が増えたことで日本橋は電気街からサブカルチャーの街へと変わりましたが、大型の家電量販店を出店するエリアとしては梅田よりも適しているエリアでした。立地だけを見ると、難波のビックカメラのほうが多くの買い物客が足を運びそうですが、梅田のヨドバシカメラは全国1位の売上を誇る家電量販店として君臨しています。ビックカメラなんば店にはなくて、ヨドバシカメラマルチメディア梅田店にあるものとして、大型の駐車場を構えているかどうかが挙げられます。

 梅田のヨドバシカメラが開業以降、ヨドバシカメラは梅田の店舗に約1000台収容(現在は1100台収容)の駐車場を構えていることをCMで大きくアピールしていました。2023年12月28日時点の情報になりますが、梅田のヨドバシカメラの駐車場は年末年始などの特定日を除き、平日は当日最大1600円、土日祝は当日最大2500円で駐車をすることができます。大阪駅の目の前の駐車場にこの金額で駐車ができるのは、かなりお得です。当然、買い物金額に応じた割引もあるため、駐車料金が無料になることもあります。

 難波のビックカメラにも駐車場はあるものの、ビックカメラが入っている建物の駐車場は72台しか収容することができず、車で足を運ぶ場合は周辺の駐車場を利用しなければならない可能性が高いです。車で家電量販店を利用する層を掴んだこと、ヨドバシカメラを利用しない人も含めて、梅田へ車で足を運ぶ際の駐車場所として定着させたことは梅田のヨドバシカメラ成功の大きな要因になっていると思います。他の事例として、ヤマダ電機が2006年に難波で開業した店舗も約1000台収容の駐車場を構えており、都会であっても、大型の駐車場を完備することが大型家電量販店が成功する大事な要素となっています。

②マルチメディアの店舗にしたこと

 スーパーやドラッグストアとは違い、家電量販店はそこまで頻繁に足を運ぶわけではありません。しかし、梅田のヨドバシカメラは家電以外にも多くの商品を販売しています。2023年12月28日時点で梅田のヨドバシカメラは1階に医薬品、2階に文具やお酒、3階にバッグや旅行用品が販売されており、レストラン街と専門店街では飲食店やファッション関連などの多くの店舗を構えています。「梅田のヨドバシカメラに行けば、ほしい物は大体売っている」という感覚を持っている人は多いと思いますが、梅田のヨドバシカメラは大型の家電量販店というよりも、電化製品の品揃えがめちゃくちゃ良いショッピングモールという表現のほうが的確だと私は思っています。

③ヨドバシ梅田タワーの開業で真の大型複合施設へ

 梅田のヨドバシカメラは敷地の北側を長らく平面駐車場として使用していましたが、2019年にヨドバシ梅田タワーを開業、専門店街のLINKS UMEDA(リンクス ウメダ)と高階層にはHotel Hankyu RESPIRE OSAKA(ホテル阪急レスパイア大阪)を備えており、大型複合施設へと変貌しました。

 現在、梅田のヨドバシカメラは大阪駅などの周辺施設と動線で繋がっており、鉄道利用者にとっても非常に便利になりましたが、実は開業してしばらくは一等地にあるにも関わらず、大阪駅からのアクセスが分かりにくく、遠回りをしないと辿り着けない構造になっていました。しかし、梅田にヨドバシカメラが開業して以降、大阪駅は再開発され、駅周辺もグランフロント大阪などの複合施設が開業、現在も大阪駅北側のうめきたエリアの開発が進んでいます。

 20年前は大阪駅がここまで大きくきれいな駅に生まれ変わるとは正直思っていませんでした。10代、20代の人は信じられないかもしれませんが、私が子どもの頃の大阪駅は本当に汚かったです。大阪駅の再開発が進んだ要因の1つとして、ヨドバシカメラの存在は大きかったと思います。

右側にあるのが2019年に開業したヨドバシ梅田タワー




◯出典
・株式会社ヨドバシカメラ 会社情報 2023年12月28日
https://www.yodobashi.co.jp/company/index.html

・ヨドバシカメラ マルチメディア梅田 2023年12月28日
https://www.yodobashi.com/ec/store/0081/

・ヨドバシ梅田-Wikipedia 2023年12月28日
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%89%E3%83%90%E3%82%B7%E6%A2%85%E7%94%B0

・ビックカメラなんば店 2023年12月28日
https://www.biccamera.com/bc/i/shop/shoplist/shop013.jsp

・LABI1 LIFE SELECT なんば 2023年12月28日
http://www.yamadalabi.com/labi1/


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