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【超具体的解説】取材編:インタビュイーが黙ってしまうのはなぜ? たいていは○○で即解決

「せっかくの取材案件なのに、インタビュイーから必要な情報を引き出せないぃ」
「なんだか不機嫌で黙りがち。どうすればいいの?」
「変な質問をしちゃったせいで空気が凍った。もう死ぬ!」

取材経験が少ないうちは、ちょくちょくこんなピンチにおちいって焦るもの。
でも、大丈夫。あわてず騒がず原因を探って対処すれば、ほとんどの場合、問題は解消します。
今回はそんな取材時のトラブル対応について、超具体的に解説してみましょう。

◆インタビュイーがしゃべってくれない原因は5つ

ICレコーダーの録音ボタンを押し、ノートを広げていざ質問。ところが、インタビュイーの口が重くて、返ってくるのは「はい」「いいえ」「どうでしょう」なんて答えばかり。

場の空気は段々重くなるし、用意してきた質問は15分は種切れ。1時間の予定をもらっているのに、残りの時間をどう過ごせばいいんだ……こんな経験をすると、ダメージ大きいですよね。

ぼく自身、初心者の頃は何度かそれに近い失敗をやらかしました。帰路、編集者と飲みながら「なんだよ、あいつは」などとインタビュイーのせいにして愚痴ったものです。

ただ、後に気づいたのですが、問題は聞き手であるぼくにもありました。インタビュイーが沈黙する理由を理解していなかったため、適切な対応をとれていなかったのです。

では、インタビュイーはなぜ、沈黙するのでしょう?

①そもそも、話すべき情報を持っていない
②インタビュアーを信頼していない
③話すことに慣れておらず緊張している

それぞれについて、具体的に解説していきます。

①そもそも、話すべき情報を持っていない

インタビュイーの立場はそれぞれ異なります。たとえば、今のぼくがよく出会うのは「書籍を出版したい経営者や医師、士業の方」ですが、彼らは総じておしゃべりです。口が重くて苦労する、ということはまずありません。

言いたいことが山ほどあるので本にしたい、というケースが大半なので、1の質問に対して、10も20もの話が返ってきます。これまでの経験や苦労話、そこから得た教訓など、彼らはとにかく情報を大量に持っているので、話してもらう苦労はほとんどありません。

一方、企業の案件では一般の社員の方にインタビューすることもあります。個人差が大きいのですが、人によっては持っている情報量が非常に少ないケースも見られます。手がけている業務についてはしゃべってくれますが、その仕事にかける思いや将来の展望や戦略といった「思考の集積」については持ち合わせていない人が少なくありません。

傾向として、若いもしくは経験年数が短いインタビュイーは要注意です。

ちなみに、「経営者なのにしゃべらなかった人」にも数人ですが出会ったことがあります。いずれも、事情があっていきなりトップにすえられた二代目でした。インタビュー時には横に控えた番頭格の幹部が答えを補足してくれました。

②インタビュアーを信頼していない

当然のことながら、インタビュイーに信頼してもらえないと、彼らの口は重くなります。取材に限らず、信頼できる相手には自分のことを知ってもらいたいと思い、よくしゃべるものです。

逆に、信頼できない相手と話す時には不安を感じがち。用心深くなり、「これもあれも、話さない方がいいかも」と考えるのが普通です。

「伝えた情報をどう使われてしまうかわからない」
「曲解されて、変な風に書かれるかもしれない」
「つい口を滑らせたことをまずい相手に話すかもしれない」

こんな風に感じたら、なにを聞かれても答えは最小限にとどめよう、と彼らは考えます。

③話すことに慣れていないので緊張している

インタビュイーが無口になる理由でいちばん多いのがこれです。芸能人やスポーツ選手、政治家などでなければ、取材を受ける機会などほとんどありません。

ライターがノートを広げ、ICレコーダーの録音ボタンを押して、「さあ、これから重要なことを聞くので、ちゃんと答えてくださいよ」と言わんばかりの顔をしたら、緊張で固まってしまうのが普通です。

インタビュアーが緊張のあまり強ばった顔をしていたらなおさら。「なんだか恐い顔で問い詰められている」「おかしなことを言ったら怒られるのでは」とインタビュイーは萎縮してしまいます。

そうなるとボロが出ないように、と彼らは極端に無口になります。

◆原因別の対策を理解し身につけておこう

たいていの問題は原因さえわかれば対策を立てられるもの。前項であげた各原因の対策をこの項では解説していきます。

①情報を持ってない? それなら誘導尋問で

インタビュイーが情報を持っていない場合も、できるライターはちゃんとテキストを作成します。やり方は簡単。自分で作るのです。

もちろん、いきなりできることではないので、下調べが大切。取材する分野について、あるいはインタビュイーの業務についてあらかじめ大量の情報を集めておきます。取材時にインタビュイーの口が重い場合には、「私が調べたところでは○○は××だそうですが、そういう認識でよいでしょうか?」と尋ねます。

そうすると、たいていのインタビュイーは「そうですね」と答えるので、彼あるいは彼女が語ったこととして、コンテンツを作れます。たまに、「ちょっと違います」という人もいますが、その場合はしめたもの。

「どう違うんですか?」と質問すれば、インタビュイーは自分から言い出したことなので、スラスラと答えてくれます。

②信頼されてない? それなら○○を語る

短時間で信頼を築くのは簡単ではありません。ただ、信頼は多くの場合、親近感から発生します。「親しく感じる人は信頼したくなる」という心理がはたらくので、インタビュイーとの距離を縮められたら、高確率でそれなりの信頼を獲得できます。

やり方はいろいろありますが、ぼくがよく使っているのは「自分の話をする」というやり方。相手が語ったことに関係する自身や家族の面白ネタを語るのです。

取材というと、インタビュイーのことを一方的に聞く作業、と考えているライターが多いと思いますが、こちらからも情報を出すことで、やり取りはとてもスムーズになります。騙されたと思って、一度お試しあれ。

③緊張してる? それならこのフレーズが有効

「頑張って役に立つことを話さなきゃ、と思わないでください。2時間、楽しくお話しできたら、それで大丈夫ですので」
取材の冒頭、ぼくは必ずインタビュイーにそう告げます。

このフレーズはかなり有効なので、よかったら使ってみてください。自身の力みもとれるので、一石二鳥です。

ちなみに、前述した「自分の話をする」というトライは緊張をほぐすのにも有効なので、失敗ネタなどを開陳するのもお勧めです。

◆まとめ

いかがでしたか? 取材にはライティングとはまったく異なるスキルが必要なので、ライターとしてある程度の経験を積んだ人も、インタビュアーとしては初心者スタートになるケースが大半でしょう。

インタビュイーがムスッとした顔でしゃべってくれないと、ものすごく心細く感じるもの。でも、そういう時には相手も困っているので、お互いが気持ち良く話せるよう、ちょっと工夫してみるだけで、雰囲気がガラッと変わります。

ここで紹介したやり方は、ぼくが普段使っている手法の一端です。質問等ありましたら、遠慮なくお寄せください。

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