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私のことを嫌いな人の話

フリーランスになってから仲良くなった人と一緒に、神田にある「味坊」でランチを食べた。
ずっと行ってみたくてGoogleマップにピン留めしてたけど「一人じゃちょっとな〜別に一人でもいいけど、でもやっぱり誰かと一緒がいいな〜」と思ってた、羊料理のお店。
お誘いしたら、食文化に興味津々な人だから二つ返事で「行きましょう!」と話はまとまり、レッツゴー。念願の羊肉の串焼きはクミンがバーン!と効いていて、とてもおいしかった。5本の串を、二人で2.5本ずつ分けっこして食べた。

諸々の羊料理を食べ終わり、お店を出て駅まで向かう道すがら、その人が「炭田さんのことを嫌いな人なんて、いないでしょう」と何でもないふうにニコニコの声と顔で言ってくれた。びっくりした。

私は明るい性格で、どちらかといえば陽キャという分類になると思う。人間を陰から陽まで10分類したら、いちばん明るいグループ。それに、バカに見えて意外と気が利くし、困ってる人には親切にするし、正義感も強いし、選挙は絶対に行くし、意地悪はしないし、いい奴。
でも裏を読むとか、根回しをするとか、そういうのは得意じゃない。全然できない。右ストレートしか放てない。

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会社員をしていた時、たまに上司や同僚の中に「私のこと、すっごく嫌いなんだろうなぁ……」という人がいた。あの時は、なんでこんなに素直で明るくて前向きな私が嫌いなのぉ~? と思って、苦しかったりもした。(今ならわかる。そういうところが嫌われてるんだよ☆)

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でも、会社を辞めてフリーランスとして働きはじめて、気付いたことがある。

あれは、独立してはじめてモデル撮影の仕事をした時。その現場ではじめてお会いする年長の方が、事前の打ち合わせで聞いていたこととだいぶ違う内容でカメラマンさんに指示を出していた。
咄嗟に「私は◎◎というイメージで撮ると伺っていたのですが、△△に変わったんでしょうか? 齟齬があるといけないので、みんなで認識を合わせてもいいですか?」と、言った。

相手はクライアントで、自分より明らかに年上の男性。現場の中でいちばん発言権があるっぽい。会社員の時なら絶対に「まぁそんなこともある」と穏便に済ませていたシーン。でも、気付いたら発言していた。

そして、その方もごく普通に「あぁ! そうだったんですね!」と答えてくれて、チームのみんなで撮影イメージを共有することができた。休憩中にその人が話してくれたところ、社内の人たちは全員モデルさんを撮るのがはじめてだから、先陣を切ってどうにかしようと、慣れない指示を出してくれていたらしい。

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この時の晴れやかな気持ち!

ややこしいこと抜きに、自分が考えたことをそのまま伝えられる。相手もそれを受けて入れてくれる。もし受け入れてもらえなくても、また話せばいい。これって、相手が私のことを好きで受け入れてくれてるから出来ることだ。
だってフリーランスに仕事を発注しようと思った時、その相手のことを嫌いならそもそも依頼しない。会社で一緒に働くメンバーは(あんまり)選べないし、今この場でした発言が尾を引くこともあるけど、外部のスタッフは好きな人、やりやすい人を選べる。もし気に入らなかったら、さっくり切ってもらえる。

「炭田さんのことを嫌いな人なんて、いないでしょう」と言われて、今私は自分のことを好きな人に囲まれて仕事をしていることに気付いた。だから、フリーランスっていいなって思った。

フリーランスは、自分のことを好きな人と仕事ができる。私のことを嫌いな人は私に仕事を発注しないし、きっと関わりたいとも思わないだろう。双方ラブ&ピース!

会社員の時は自分をダメな奴だと思ってたけど、ところ変わればそうでもないみたい。うれしかったので、日記です。

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