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サラリーマンの副業は「税金徴収装置」になりましたとさ。

おはようございます、ひらっちです。いよいよ9月に突入しましたが、皆さんはいかがお過ごしですか? 僕は年末から来年にかけて色々とプロジェクトを動かす都合上、ちょっとバタバタした状況が続いています。そろそろ年末の足音が聞こえてくる時期。改めて気を引き締めて頑張りたいところですね!

<いつものように簡単な自己紹介です>

僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。

このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。

現在、『マイナビ農業』で不定期連載中! 農業にご興味のある方はぜひこちらもご覧ください! 

■大増税時代!副業にまでメスを入れるとは……!

あらためまして、ひらっちです。今日は「副業」「税金」あたりをテーマに書いてみたいと思います。

副業をされている方であれば、すでにお耳に届いている話題だと思いますが、今、下記のトピックがかなりの盛り上がりを見せているようですね。

上記は、8月29日の日経新聞の記事ですが、その他にもさまざまなメディアでこの話題が取り上げられています。「ああ…、副業終わったわ…」「なんだ!政府は副業を後押ししてたんじゃないのか!」なんてコメントが飛び交い、大混乱の様相を呈しているというのが今の状況です。

発端は、国税庁が8月に「所得税の基本通達の改正案」を公表したことに始まります。この改正案に「原則、年間300万円以下の副業などによる収入の所得区分を「雑所得」とする」という内容が記載されていたことから、注目を集めているわけですね。

なぜここまで盛り上がっているのか。それは、副業をした場合に「雑所得」で申告するのか、はたまた「事業所得」で申告するのかによって、受けられるメリットに大きな違いが出るからです。

どちらも税率は同じですが、黒字と赤字を相殺する損益通算の方法などが違い、多くの場合で、副業収入を「事業所得」で申告する方が有利になります。

ただ、これまでは「どこまでが雑所得で、どこからが事業所得になる」といった明確な基準が設けられてきませんでした。

そうですよね? だって、たとえ本業として取り組んでいても、創業間もない頃などのように「売上がほとんどないのに、経費がかさんで大赤字!」なんて状況は、実際にあるわけですから。

それを、売上金額などで一律に「それは事業とは言えないレベルでしょ!だから雑所得!」と言い切るのはあまりに乱暴です。それでは「スタートアップを応援しよう!」といった現在の政府の方針にも逆行しますしね。

といったわけで、これまで明確な基準がなかったわけですが、今回、「300万円」という具体的な基準が示されたことで、これまで恩恵を受けてきた人を中心に「そんなのあんまりだ!」という反対の声が猛烈な勢いで上がっている、というわけです。

どれぐらい不利になるのでしょうか? これについては、日経新聞の記事が事業所得のメリットを具体的に説明してくれているので、下記に引用しておきますね。

例えば、サラリーマンが動画配信の副業で100万円の収入を得る一方、パソコンや通信費などの経費が120万円かかり、20万円の赤字になったとする。事業所得であれば本業の給与所得から副業の赤字20万円を引いて(損益通算)税負担を軽減できる。

副業が黒字の場合も、事業所得なら、副業収入の課税対象分から最大で65万円を差し引ける青色申告特別控除などがある。

ところが副業収入が雑所得となると、こうした損益通算や特別控除ができなくなる。国税当局の関係者は「節税策を防ぐ意図がないとは言わない」とする。

日経新聞(8月29日)「副業節税」にフタ、反発も

■これまで恩恵を受けてきた無税サラリーマン、アウト~!

個人的には、この話題で盛り上がっている中心層は「(あえて?)事業所得で赤字を出し、給与所得との損益通算で得をしている人」だろうと思っています。

どういうことか? 副業をしている人たちは、サラリーマンとして給与をもらい、そこから所得税・住民税を差し引かれています。これは基本、逃れることができないわけですけど、この呪縛から解き放たれる方法もないわけではありません。その一つが「副業で赤字を出し、事業所得の損益通算を利用して、給与から天引きされる税金を還付してもらう」という方法です。

実はこの話題は、以前にもこのnoteで取り上げました。具体的なスキームは、過去記事でも紹介している『無税入門』という本をお読みいただければ、よーくお分かりになると思います。

もちろん、これをそのまま実践することは全くお勧めしませんが、「税のカラクリを知る」という点では、一読の価値はあると思います。

今回の「年間300万円以下は雑所得」の通達は、明言こそしていないものの、この「副業節税」をターゲットにしていることは明らかです。

ただ、せっかくコロナ禍で副業に目覚め、「これからもっと売上を伸ばしていこう!」と頑張る中で、創業からの数年間、この節税の恩恵を受けながら頑張ろうと考えていた人には、ちょっと可哀想かな~という気もします。

まあ、売上が小さければ、そもそも節税の恩恵も少ないので「本気で副業に取り組み、ゆくゆくは本業に!」と頑張っている人たちは「そのままGO!」で全く問題ありません。その一方で、「給与と相殺して節税できてラッキー!」派の副業組は、早めに撤退した方が身のためでしょうね。

ちなみに、僕の属性を考えると、最も気になるのは「農家」です。農業所得が300万円未満の人は、果たしてどんな扱いになるのでしょうかね? 皆さんご承知の通り、今や農家の多くが兼業農家で、かつ農業所得は少ないですから。上記のような「節税」でメリットを感じている人も多いはず。

この「パンドラの箱」を開けることになると、田舎の農家が票田の自民党にとっては、ちょっと先行きが暗い気がしますけど?? さて、どうなるか。

逆に「いやいや、農家の方々は頑張っています。300万円未満でも事業所得(農業所得)です!」と言い切ってくれると、「半農半X界隈」が「節税目的」で一気に盛り上がりを見せる気がしますけどね。

…あかんあかん、あんまり踏み込むと、やばいことになりそうなので、この辺りにしておきます…(笑)

■まとめ

今回の改正は、前述の通り、メインは「副業節税」がターゲットだと思います。それをメインターゲットにした方が、世論の後押しを受けやすいですからね。でも、結局のところ、増税であることは間違いなく、世論をうまく味方につけながら、今まさに副業に取り組んでいる人の多くから、広く徴税していきたいという思いが透けてみえる改正案だと言えます。

確かに「無税入門」のやり方は、無茶だと思います。かといって、副業を応援しつつ、一方で、副業をターゲットに徴税するというのは、なんだか「副業を後押ししたのは、新たな税金の徴収装置を作るため」と思われても仕方がない感じがしちゃいますよね。本当にそうなのかもしれないけど(笑) 

あれだけコロナで無駄な大盤振る舞いすれば「どこかで徴税しないといけない!」と思うのが道理、ということでしょうか。

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