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あの人が、本気でビジネスに目覚めたら?【アンパンマン/ジャムおじさん編】

■製パンメーカーのパン工場(代表・ジャムおじさん)、FC展開で売上伸長


 中堅製パン会社の株式会社パン工場(代表・ジャムおじさん)が、フランチャイズ展開で急激に売上を伸ばしている。

 同社の誕生は1973年、創業者のジャムおじさん氏が自家製パンを原料に作成した人型ロボット「あんぱんまん」を使用し、世界中の貧しい人々に無償でパンを与えるボランティア活動を始めたのがきっかけだ。

 その後、法人化を果たしたのを機にパン専門の工場を建設。さらに移動式パン工場の自社開発、人型ロボットの増産などを経て、順調に規模拡大を図り、今期は200億円の売上を見込んでいる。

 親子をターゲットにしたメディア戦略で一気に知名度を高め、今や国民的な人気を誇る同社は、2020年にフランチャイズ展開へと大きく舵を切った。

 FC契約を結んだパン製造・販売業者に材料を提供。同社は看板メニュー「アンパンマン」の売上の一部をロイヤリティとして得る。「このパンを食べると元気が出る」と話題を呼び、同社とFC契約を結ぶ業者は右肩上がりで増え続けているという。

■真の強みは人型ロボットの開発力。工作機械業界の脅威に?

 同社の最大の強みは、実はパン作りそのものではなく、生産設備の開発力にある。移動式パン工場を自社で製造するだけでなく、パンを原料とした人型ロボットの開発にも力を注ぎ、すでに数体の実用化に成功しているのだ。

 同社は、代表のジャムおじさん氏のほか、女性幹部1名、愛犬1名という非常に限られた人的リソースにも関わらず、急な注文やトラブルにも迅速に対応。人型ロボットを活用し、世界各地にパンを空輸することも可能だ。

 さらに驚きなのが、この人型ロボットの燃料が「できたてのパンのみ」ということ。パワーが落ちてきたタイミングでパンでできた頭部を交換すれば再び駆動する。ボディ部分の交換が要らず、圧倒的な低コストで稼働できるのが特徴だ。

 その技術力は、工作機械メーカーの技術者たちも「パン作りではなく、ロボット技術で世界一を目指せるレベル」と白旗を上げるほど。「もしもロボット産業に進出されたら…」と不安を口にする業界関係者も多いという。

■市場には違法なコピー商品が横行。強攻策に打って出られるか?

 国内の人口減少が進むなか、今後のパン業界の課題となるのが「海外展開」である。しかし、業界大手の山崎製パンやフジパングループでも、海外売上比率は10%未満と、その対応は遅れていると言わざるを得ない。

 こうした中、創業当時から独自の空輸ノウハウを蓄積し、海外でもすでに一定の人気を得ているジャム工場は、今後のパン業界の台風の目となるかもしれない。

 懸念があるとすれば、違法なコピー品の横行だろう。同社と正式なFC契約を結ばない中小のベーカリーが「アンパンマン」に酷似した商品を製造・販売するケースが後を絶たない。 知名度向上に一役買っていた面もあり黙認されてきたが、今後の状況次第では強硬な手段を講じる必要が出てくるかもしれない。

 しかし、社内の幹部からは、厳しい対応を取ることができるのか不安視する声も上がる。「とにかく性格は穏やか。悪事を働いた者にもパンを与える優しさがある」(関係者)というジャムおじさん氏。これまでの「柔和な笑顔」を「鬼の形相」へと交換することができるか。ジャムおじさん氏の経営者としての真価が問われている。

(文・空想ビジネスオンライン 編集長/もっぴ)

※この記事はフィクションです。

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