いわゆる「こたつ記事」とフリーライターの難しい問題

おはようございます、ひらっちです。昨日は朝から愛知県の西尾市というところに出掛けておりました。コロナ禍の取り組みに関する取材でしたが、個人的に大好きなエリアなので、久々の訪問でテンションが上がりました。帰りにはお気に入りのうどん屋さんへ。おいしいお昼ご飯に大満足でした。

<いつものように簡単な自己紹介です>

僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。

このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。

■アベマTVの「こたつ記事」を取り上げた番組が、ライターの実情を浮き彫りにしていて・・・

あらためまして、ひらっちです。今日は「フリーライターの仕事事情」について書いてみたいと思います。

空き時間に何気なくアベマTVの動画を見ていたら、こんな番組を見つけました。

最近よくネットで話題にされる「こたつ記事」に、田村淳さんが切り込むという内容になっているんですが、個人的には、ゲストコメンテーターとして出演している佐々木俊尚さん、中川淳一郎さんのお話が、今のメディアが抱える問題をめちゃくちゃ浮き彫りにしていて、とても面白い番組でした。

ライターの方は、おそらく全員見ておいた方がいい内容なんじゃないかな? ただ、これをまともに最後まで見た人は、100人中95人ぐらいが「フリーライターなんて目指さない方がいいよね・・・」と感じるんじゃないかなと思います(笑)

「フリーライター」といっても、その仕事内容は本当に幅広いので、全てをひとくくりに論じることはできませんが、ジャーナリズムに興味があってライターになりたいと考えている人にとっては、かなりショッキングなお話だと思います。現実を突きつけられているだけで、みんな分かっていたり、薄々感じていることだったりするんですけどね。

■で、ひらっちさんのギャラ事情って、どんな感じなの?

番組では佐々木さんがかなり踏み込んで形でギャラについて語っていますが、このnoteの読者には駆け出しのフリーライターさんも結構いらっしゃるようなので、僕のこれまでの体験から「個人的なギャラ事情」についても少しだけ披露してみますね。おそらく皆さんが一番気になるテーマでしょうから(笑)

僕がフリーライターとして開業届を出したのが2003年1月。実際には2002年の後半あたりからフリーとしての活動を始めていますので、もうかれこれ20年近く、地方在住のフリーライターとして仕事をしていることになります。

で、今のギャラの相場は?というと、ざっくり言って、ライターを始めた当初の「半分以下」になっているんじゃないかなと思います。

昔だと紙の雑誌であれば最低でも1ページ2~3万ぐらい。ペーペーの僕でもそれぐらいは稼ぐことができました。それが今だと、同じような紙媒体で、1万か、もしくはそれを切るぐらいのケースが結構あるんじゃないかな?と思います。ま、あんまり安い単価のものは、躊躇なく断りますけどね(笑) 

ちなみに、僕は当時と比べて単価の高い案件へと徐々にシフトしてきているので、この相場はあくまで「当時と同じような仕事の場合」です。僕個人としては、もう少し高いギャラで仕事をするケースが多いです。

特にこの20年あまりの紙媒体の凋落は激しくて、僕が駆け出しの頃に書いていたような、旅行雑誌やタウン情報誌の類いだと、もしかしたら3分の1以下になっているかもしれません。しかも、使える経費も相当シビアになっているという感じです。あと、そもそものお話、紙媒体の数自体が圧倒的に少なくなっています。

2000年代前半の頃は、それこそ遠方であれば宿泊が当たり前で、夕食なんかもある程度経費で出してくれていました。モデルさんを連れて撮影旅行なんてことも結構ありましたから、「かなり良かった時代」と言えるかもしれませんね。

■悪いことばかりではありません。一番の違いは「ネットメディアの出現」

こうやって書くと、ライターの周辺には悲観的な物事ばかり起きているような気がしますが、もちろん悪いことばかりではありません。当時との大きな違いは「ネットメディアが勃興してきたこと」ですね。

僕がライターを始めた頃は、そもそもネットメディアなんてほぼ存在すらしなかったし、そこにギャラが発生するという概念もなかった気がします。それが今や「ライター≒ウェブライター」という状況になってきているわけですから、世の中の移り変わりとは、かくも激しいものかと改めて思います。

ウェブメディアのギャラの安さを指摘する向きは少なくないし、僕も「これは安い!」と驚くことが結構多いですが、実は「時間単価」という点では、ネットメディアの方に軍配が上がるケースも少なくないと感じています。

紙メディアで育ってきたライターにとって、かなり厄介で手間のかかる作業が「文字数との戦い」です。紙の雑誌の場合、誌面に物理的な制約があり、必然的に文字量をシビアに調整する作業が発生していたんですよね。

例えば、「400文字」と指定されれば、「395~400文字までにおさめる」といったように。こういったシビアさは、ネットメディアにはないことが多いです。ある程度柔軟に文章を書くことができるので、表現の自由度も広がり、余計な文字調整に時間を割かれることがないので、1時間当たりの利益を考えると「意外に紙よりいいかも」と感じることすらあります。

■まとめ

いかがでしょうか? この20年間の「個人的な仕事とギャラを取り巻く状況」を改めて簡単にまとめてみると・・・

・紙媒体が全盛で、それなりに羽振りがよかった

・紙媒体が凋落する一方、ネットメディアが勃興

・ネットメディアが乱立。仕事が増えるけど単価は安い

・・・といったところでしょうかね。ネットメディアの乱立によって「書く場所」が圧倒的に増えている今は、新人の駆け出しライターさんにとっては、最初の実績を作るチャンスがとても多い一方、どれだけ仕事をしても儲からないジレンマに陥りやすい状況になっているかな、と分析しています。

中・長期のトレンドでいうと、番組で佐々木さんが指摘していた通り、メディアの収益構造が大きく変わらないと、ライターがそれなりに稼げる仕組みを再構築するのは難しいと思います。

でも、PVを稼ぐためには、テレビ番組などから効率よく興味をそそるワードを切り抜いた「こたつ記事」を作るのが経営効率的にいいわけだし、佐々木さんが主張する「良い記事の読者は購買力が高い人が多いので、そこに広告が付く仕組みになればいい」といった見解には否定的です。マネーリテラシーが低くて無駄遣いをしてくれやすい層に広告を出したいというニーズは根強く続くと思っているので、この傾向は改善されるのは難しいと個人的には見ています。

以上のことを踏まえると、これからのライターは、駆け出しの状態からいかに自己研鑽を積み、自分の単価を上げていくのかを今まで以上に考える必要があると思います。

それと同時に、単に執筆依頼を待つのではなく、自分でメディアを立ち上げて収益化を図ったり、noteなどで記事を販売したりといったことも試行錯誤する必要があるし、安易な値下げ競争に陥らないためにも、別にビジネスを興してライター業に依存しなくていい収入基盤を作るなど、複業で取り組む姿勢が求められてくるんじゃないかなと。

ま、ライターに限った話ではないですけどね。やっぱり仕事を楽しみながら、常に頭を使って行動を続ける人が一番強いと思います。


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