コミュ力低い私の人生を変えたネットのつながり
人付き合いが苦手で、リアルな世界では人間関係がうまくいかなかった私。
そんな私の支えになったのは、いつもインターネットの中の人たちでした。オンラインでの出会い、そして掲示板やチャット、メッセンジャーなどでのやり取りが、私の人生を大きく変えてくれたのです。
子どもの頃から学生時代、そしてフリーランスとして働く現在まで、インターネットが私にどんな影響を与えてきたのか。リアルな人間関係に悩んでいた私が、ネットの世界で築いた「つながり」の大切さを振り返ります。
私とネットの出会いは掲示板
私がインターネットの世界にのめり込んだのは2002年、小学6年生のとき。当時通っていた小学校が情報教育に力を入れていて、クラスのみんなで学校のホームページを作っていたことがきっかけです。
そのうち自分でもホームページを作ってみたいと思い、父に「パソコンを買ってほしい」とお願いして購入してもらいました。買ってもらったパソコンは家族共用のはずでしたが、気付いたら使っているのは私だけ。なし崩し的に私専用のパソコンになったのです。
毎日学校でパソコンを触っていたので、基本的な使い方はわかります。最初は自作のホームページを作ってアップロードするだけでしたが、次第にインターネットで色々と検索するようになりました。
初めに検索したのは、当時ハマっていた少女漫画「こどものおもちゃ」について。検索してたどり着いたのは、こどものおもちゃファンが集う非公式のWebサイトでした。掲示板が設置されていて、ファン同士が楽しそうに交流しています。私は数日やり取りを観察した後、意を決して書き込みしました。
こんな感じの書き込みだったと思います。掲示板に表示されていた名前はみんなあだ名のようだったので、私も当時のあだ名「えりん」を入力しています。
初めての書き込みはとても緊張しました。「変じゃないかな?私にも返信してくれるかな?」と不安になりながら、送信ボタンを押します。子ども向けの雑誌に掲載されている少女漫画だからか小学生や中学生の書き込みが多く、小学6年生の私に「同い年だねー!私も紗南ちゃん大好き!」などの返信が届いて安心しました。
掲示板で仲良くなった子から小・中学生向けの交流サイト「スクールコミュニティ」を教えてもらい、そこから掲示板やチャット、メッセンジャーといったインターネットの世界にどっぷり浸かるようになったのです。
リアルでは孤独でも、ネットには仲間がいた学生時代
私がインターネットの世界にのめり込んだ大きな理由は、学校に馴染めなかったから。
小学6年生~中学生の私はクラスの中では浮いた存在で、おそらく嫌われていたと思います。
他人にあまり興味を持てず、協調性も欠けていた私は、同じクラスの人と何を話せば良いのかわからない。それでも、みんなと仲良くなりたい気持ちはありました。しかし、興味の幅が狭い私は共通の話題がわからないので雑談に入れず、やがて孤立するようになったのです。
孤独な生徒だった私は、帰宅するとすぐに「スクールコミュニティ」にアクセスしていました。そこには私と同じような小・中学生が全国から集まっていて、掲示板やチャット、ミニゲームで楽しく交流しています。リアルな世界では雑談が苦手な私でも、文章でのやり取りなら自然にコミュニケーションを取ることができました。勉強や部活、好きな人の話など、小・中学生ならではの話題で盛り上がり、そのうち何人かとは文通でやり取りするくらい親しくなりました。
インターネットの世界には気軽に話せる同年代の友達がいる。この事実は学校に馴染めなかった私の心の支えになりました。
高校生のときは部活と勉強が忙しくてリアルが充実していたので、一時的にインターネットの世界から離れていました。しかし、大学生になって再び学内での人間関係に躓いてしまいます。そして、インターネットの世界に逃げ込むようになったのです。
再びインターネットの世界に入り込むようになった直接のきっかけは、ネットカフェのアルバイトを始めたことでした。店長が「アルバイトのみんなで『エルソード』をやらないか」と誘っていて、私を含めて何人かで遊ぶようになったのです。
エルソードは、当時ハンゲームが運営していた横スクロール型アクションRPG。4人のパーティを組んで敵を倒したり、プレイヤー同士が戦ったりすることができるオンラインゲームです。操作が簡単だったので、ゲーム初心者の私でもプレイすることができました。
私が選んだキャラクターは、魔法使い「アイシャ」。アイシャの声は釘宮理恵さんが担当しています。かわいい絵柄にかわいい声、私はすっかりアイシャの虜になりました。
最初はアルバイトのみんなで遊んでいるだけでしたが、エルソードにハマった私はオンライン上にいる他のプレイヤーとも遊ぶようになり、ゲームの世界に入り浸るようになったのです。
当時は音声通話チャット「Skype」が流行っていて、みんなで通話しながら敵を倒していました。エルソードで遊んでいた人の多くは私と同じ大学生。ゲーム内の話題だけでなく、単位の話、サークルの話、アルバイトの話などでも盛り上がりました。
小・中学生の頃とは違い、大学生はリアルでの行動範囲が広く、自由度も高い。私は、エルソードだけでなく昔からインターネットを通じて仲良くしていた人たちとも頻繁にオフラインで会うようになりました。
初めてオフラインで会うときは、相手と本当にうまく話せるのか不安で仕方なかったことを覚えています。しかし、ネット上で親しく会話できていた人とは、意外なほどすぐに打ち解けることができました。
ネット上でお互いの趣味や考えをたくさん共有していたからか、初対面でも共通の話題に困りません。ネットでのやり取りはリアルの世界でも確かな信頼の基盤となっていたのでした。
オフラインで会っても特別なことをするわけではなく、ランチをしたり、カラオケに行ったり、飲み会をしたりといった、ごく普通の大学生の遊び方ばかり。同じ大学に仲良い人が全然いなかった私は、他の大学の仲間と遊んでいる感覚でした。
一度リアルで会ってからはさらに親密になることが多く、その後はオンライン・オフラインどちらでも関わるように。ネット上の友達がリアルの友達になる。学校の人間関係は上手くいかなかったけれど、インターネットの世界にいる仲間の存在が安心感をもたらして、日々の活力となりました。
学校以外にインターネットという逃げ場があったことで、私は救われました。ネット上で仲良くなった人の一部は、今でもつながっています。一番長い人は20年近くの付き合いです。
ネットでのつながりが、私のリアル世界の支えになりました。
これまでのネット経験がフリーランスにも役立った
大学卒業後はしばらく会社員として働いていました。ただ、学校という集団に馴染めなかった私は社内の人間関係にも悩まされ、苦しい毎日を過ごしていました。
一人で自由に働きたい。そんな思いから、Webライターの副業を始めました。そのうち、会社を辞めてもなんとかやっていけそうだと判断したので退職→フリーランスに。リアルで誰とも話さなくてもオンライン上で仕事が完結する環境を手に入れました。
Webライターの主な仕事は、Web記事の制作です。Webサイトを作る工程の一つなので、小学生の頃にホームページを運営していた経験が役立ちました。HTMLの基本は覚えていたので、教えてもらわなくても理解できます。
スキルアップのために自分でもWordPressでブログを立ち上げてみて、広告収入による月数万円程度のお小遣い稼ぎもできるようになりました。
また、チャットやメッセンジャーで培ったタイピングの速さも役立ちました。小学生の頃から文章での会話をリアルタイムで行っていったので、考えたことをすぐにキーボードで打ち込むことができます。タイピングの速さやネット上で文章を書きまくっていた経験は、執筆はもちろん、クライアントとの文章によるコミュニケーションにも役立ちました。
大好きなインターネットの世界で働けるようになった。
煩わしい人間関係に悩まされることがなくなった。
家で、一人で、自由に働けるようになった。
もしインターネットがなければ、私はこの自由な働き方を手に入れることはできなかったでしょう。
フリーランスの道を選べたのは、インターネットがあったから。そして、これまでのネット経験があったから。
インターネットでの経験は、私の人生そのものを支える大切な土台となっていたのです。
子育て中の私を支えてくれたネットの人たち
1人目の子どもを出産したのは2020年。コロナ禍真っただ中でした。
自粛生活が始まり、近くの大型ショッピングモールは数か月にわたり閉鎖され、母親教室などのイベントはすべて中止。妊娠・出産に関する情報はネット頼りでした。
そこで、妊娠中に利用したのが「LINEオープンチャット」。助産師さんが開設していたオプチャに入りました。オプチャ管理人である助産師さんが母親教室で学ぶことを動画にしてシェアしてくれたり、私を含め妊娠中の方の質問に答えてくれたり。妊娠中の方同士での情報シェアもありました。
コロナ禍なので外で買い物しにい&人と会いにくい状況だったので、私にとっては大変ありがたい存在でした。
助産師さんのオプチャは生後1か月で退会するルールのため、退会後は女性専用の子育て掲示板で情報収集を始めました。
この掲示板は地域別の情報を見ることができるので、保育園の口コミや近くの室内遊び場、年齢ごとに適した遊具のある公園などを知ることができます。リアルでママ友がいない私は本当に助かりました。
2023年に2人目の子どもを出産。生後2か月で難病であることがわかりました。
指定難病とされているだけあって、状況は複雑です。私は少しでも多くの情報を得たくて、SNSや掲示板で同じ病気の子どもを持つ親や、同じような病気でも普通に生活している大人とつながりました。
重い病気のことは、リアルの知り合いには話しにくい。正直なところ、同じ境遇でないとわかってもらえないことだらけです。インターネットでつながった人と話すことで少しずつ気持ちが軽くなり、未来への不安も和らいでいきました。
もしインターネットでママたちとやり取りができなかったら、私は今でも子育てに悩み、孤独を感じていたかもしれません。ネットのつながりが私にとってかけがえのない支えとなり、子育てを乗り越える力を与えてくれたのです。
インターネットが私に教えてくれたこと
振り返ってみれば、インターネットでのつながりは私の人生に欠かせないものでした。インターネットがなければ、今の私はないかもしれません。ネット上の仲間とのつながりとネットでの経験が、私の人生やキャリア、そして子育てを支えてくれました。
私は、インターネットを通じて知り合った人たちに何度も助けられてきました。きっとこれからもさまざまな場面で助けてもらうでしょう。
私にとって、インターネットはもう1つのリアル。
今度は私が他の人を支えられる存在になりたい。働き方に悩む人の選択肢が増えるよう、フリーランスのメリットやデメリットをもっと伝えていきたい。専門的なサポートもできるように、行政書士試験の勉強も始めています。
これからもインターネットの力を活かして、SNSやブログ、noteで情報発信を続けていきたいと思っています。
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