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月がきれいですね episode1.髪を短く切った彼女_前編【シナリオ案】#テレ東ドラマシナリオ

「#テレ東ドラマシナリオ」のテーマに選ばれた大麦こむぎさんの「月がきれいですね」からプロットを少し書き、episode1だけでも執筆してみようと思いまとめました。

▼プロットは以下のリンクからどうぞ!


episode1.髪を短く切った彼女

【シナリオ】

〇月明かりがきれいな夜 都心 ビルの夜景と満月が見える

テロップ「2020年1月 東京」

ナレーション(紡葉)「2020年1月1日、この日を境に私たちはある言葉を1年間失った。

たった一つの言葉……。でもとても重要な言葉。

私達はこの一年間「特定単語消失現象」へとタイムトラベルをし、この現象が人々に与えた影響について調査することになった。

さてと、今回の調査対象者はどんな人たちなのだろう?」


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〇とある都内の神社 初詣で混んでいる。人が少ない場所に高校生くらいの男女がいる。

健太「佐倉、用があるって言ってたけど、どうした?皆びっくりしてたぞ」

美月「あのさ…、林って、卒業したら関西の大学に行っちゃうってほんと?」

健太「ああ!母さんから聞いたのか!スポーツ推薦通ってさあ!あっちでもバスケやれることになったんだ!」

美月「…。そっか、おめでと。」

健太「なんかあんま祝ってるって感じしないの、俺の気のせいか?」

美月「いや、すごいなあってほんとに思ってて、(小声で)でもこれから会えなくなるじゃん…。」

健太「?今、何って言った?」

美月「あのね、林…、いや健太に昔から伝えたいことがあって…、」

健太「おお!なんだよ、改まって…。てか久しぶりに名前呼んだな。」

美月「いいでしょ、別に!……あの、私ずっと前から・・・」

その瞬間空がぱっと明るくなって、思わず人々は目を覆った。

健太「うわっ、なんだ?!」

美月「何?!」

数秒後、光は収まった。

健太「今の何だったんだ?佐倉大丈夫か?」

美月「うん…。」

美月は不安そうな顔を切り替えて、覚悟を決める。

美月「あのね、私健太の事が○○…。え?あれ?なんで?」

健太「佐倉?今なんか言ってたみたいだけど、俺全く聞こえなかった。もう一回言ってくんね?」

美月「だから私は○○って、え、嘘??なんで」

健太「おい、佐倉どうした?!なんかさっきから顔真っ青だぞ。今、誰か呼んでやるから!おい、なんでこんな時圏外になってんだよ。おかしいだろ。悪い、誰か呼んでくるからちょっと待ってろ。」

健太はその場から離れる。

美月「(呆然とした状況でぽろぽろ泣きながら)・・・、待って、私、…、どうして、どうして言葉が出てこないの?」

結果的に私の告白は叶わなかった。言葉がまったくでないのだ。「○○」と言葉を発しても音が全く聞こえない。私が健太に告白しようとした日、その日は言語消失が起こった日だと知ったのは随分後の話だ。


×    ×     ×


〇2週間後 学校の教室

田中「なあ林さ、佐倉さん大丈夫なのか?あの後、3学期始まっても登校してこないけど?」

健太「さあ、初詣の日なんか体調悪そうだったし…、おばさんに聞いたら医者も分かんないって」

田中「心配だよな、ところでさ、林と佐倉さんって付き合ってんの?」

健太「?!なに急にそんなこと言うんだよ、佐倉とは幼馴染だって言っただろ!」

田中「ふーん、じゃあ本命はこの前告ってきた橘さん?年末に告られてんのにまだ返事してないんだって?」

健太「は?いや、俺断ったけど…。」

田中「あれ、そうなのか?橘さん、お前に返事を待ってほしいって言われたみたいな話してたけど。」

健太「なんだそれ、初耳」

田中「いや、自分の事だろ!お前がきっぱり断んないから、相手に希望持たせてんじゃないの?」

健太「まじか...。」

健太「(俺はこのとき、気付かなかった。この曖昧な対応が多くの誤解を生んでいることに)」


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〇2週間後 佐倉家 美月の部屋

美月「なんか自分が情けない…。」

告白できなかったあの日から2週間学校を休んでしまった美月。

ベッドに潜り込みながら、12月の光景を思い出していた。


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〇12月 学校 裏手

橘「林君、私あなたの事が好きです!付き合ってください!」

健太「ごめん、今バスケに集中したくて、そんな気になれない。気持ちは嬉しいんだけど…。」

橘「そっか、バスケ本当に好きなんだね。頑張ってる林君、かっこいいな。」

健太「本当に?」

橘「尊敬してるよ。そういうとこ!・・・あのさ、林君は佐倉さんと幼馴染なんだよね。佐倉さんの事、どう思ってるの?」

健太「佐倉は幼馴染だけど?もし妹がいたら、佐倉みたいなのかな、同い年だけど…。」

橘「ふーん、そうなんだ。分かった!バスケ頑張って!でもまだ私諦めないからね!」

私は、ふたりの会話をこっそり聞いてしまった。そうか健太は、私の事妹のように思っているんだ…。


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〇12月 ファーストフード店

そして美月はこの恋心と別れをつける決心をしようとするが、親友の香奈に反対される。

香奈「それ、ぜったい告ったほうがいいから!林君、めちゃくちゃ鈍いけど、バスケ馬鹿だけど!ぜったい!絶対!美月のこと好きだから!気づいてないだけだから!」

美月「気づいてないんなら、意味ないじゃん。私の事なんとも思ってないんじゃない?」

香奈「橘さんには悪いけど、私は二人を推してるから!」

美月「なに、その謎推し・・・。それにさ」

美月「私は小学校から一緒にいるけど、今まで一言も言葉にしてこなかったんだよ。今の関係を壊したくなくて。橘さんは、本気で思いをぶつけてた…。とっても勇気のいる事だよ。」

香奈「じゃあ、このままでいいの?聞いた感じだと、まだ二人とも付き合ってないんでしょ?自分の気持ち伝えてみたら?」


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〇初詣当日 神社前

香奈「今日の美月かわいいじゃん!着物似合ってんよ!頑張れ!」

美月「香奈、私変な顔してない…。めっちゃ緊張して手汗がひどい…。」

香奈「JKが手汗なんて言わないの!はい、ハンドクリーム!私が塗ってあげる!」

ハンドクリームを香奈が塗りながら、

香奈「今まで林君に対して、あんまり積極的になれなかった美月がおしゃれして、初詣誘って、めっちゃ頑張ってんだよ!応援してるから、美月、頑張れ!」

美月「あ、ありがとう。・・・うん!!頑張るから、応援してて!」


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〇 現在 佐倉家 美月の部屋

美月「(その後は、あの通り告白できなかった…。香奈もあんなに応援してくれたのに...。)」

美月はスマホを見る。

美月「(香奈、めちゃくちゃ心配してる。LINEでは返事してるけど、やっぱ学校行かないと心配するよね。)」


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〇 現在 佐倉家 リビング

美月母「美月!もう大丈夫なの?あなた学校を休まないのが取り柄だって言ってたのに、こんなに休むから心配したの!お医者さんも分からないっていうし、こんな時期だからストレスだったのかしら?」

美月「私推薦取れてるから、大丈夫だよ。なんか急に言葉が出なくなっちゃって…。」

美月母「え、それ最近話題になってる、”言葉狩り”じゃない。そうよね?」

美月父「特定単語消失現象だよ。長いからみんな言葉狩りって言ってるんだと。SNSで気付いたら、そういう風に呼ばれてたんだと。・・・美月」

美月「?なにお父さん」

美月父「お前、XXな人、ああ、面倒だな。誰か惹かれている男性がいるのか?!」

美月母「ちょっとあなた!デリカシーなさすぎよ。私が後でこっそり聞こうと思ってたのに!」

美月「え?ええ?どういうこと!?」

美月母「言葉狩りは、ある一言だけ言葉が発音できなくなるの。ここまで言えば、もう分かるわよね?」

美月「私・・・・!!そんな人いないから!」

美月はあわてて、部屋に戻る。

美月母「あんなに分かり易くて、隠せてるつもりかしら?誰に似ちゃったのかしらね?」

美月父「さあな...。」


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〇 佐倉家 美月の部屋

美月「(神様は残酷だ…。なんで告白する日に言葉狩りなんて起こるのよ!でもあれかな、神様はある意味私の願いを叶えたのかもしれない…。あの日、健太とずっとこのままでいられますようにってお参りしちゃった…。ある意味、ずっと幼馴染でいられるから、これでいいのかな??)」

美月ベッドにダイブする。

美月「(ダメだ…。やっぱり健太と付き合えている光景が想像できない。これは諦めろってことなのかな?)」


×    ×     ×


(後編に続きます…。今日は力尽きました。)



【補足情報】

ずっと幼馴染健太のことが好きだった美月。でも美月は、健太が本当にバスケが好きなことを分かっていたので、今まで告白しなかった。

幼馴染の期間が長すぎて、身動き取れなかった美月。

やっとこさ勇気を出して告白しようとしたら、言葉狩りが発生し、○○の言葉が出ない。

多分、だいぶ心折れたと思う。私だったら、相当落ち込む。

され健太はこの状況にどう対応するのか?果たして美月の気持ちに気付くのか?というか気づけ健太!!

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