オーシャンハンター

「オーシャンハンター」は90年代にゲームセンターで稼働していたセガのガンシューティングゲームだ。
今もアキバのレトロゲームを扱っているところに置いてあると思うが、一般のゲームセンターからは絶滅している。
小学生になるかならないかといったチビの頃、僕はこのゲームが大好きだった。

少年たるもの、動物や昆虫が好きになるし、恐竜や怪物が好きになる。
「オーシャンハンター」が気に入ったのも、筐体の横にデカデカとプリントされたサメにスススと引き寄せられ、大きな画面に映ったクラーケンが船を割き、そして主人公らに牙を剥くリヴァイアサンの姿に、瞳を輝かせていたことだろう。

このゲームはガンシューティングでありながら、主流であるピストル型のコントローラではなく、レバー型のコントローラで画面の敵を撃つ。
そして尤も特徴的なのが、「水中戦のため弾速が遅く、偏差撃ちが必要」というゲーム特性だ。
勿論モンスターを始め海の生き物たちも魅力的なのだが、他のゲームには代われない要素がとても好きだった。
どれくらい好きだったかというと、デパートのゲームコーナーにて一人でプレイしていたお兄さんの隣に子供用の踏み台を持ってきて、お兄さんの連コしていたお金で勝手に2Pプレイを始めたことがある。
突然乱入してきたクソガキにもお兄さんは優しくて、一緒にプレイしていた。
買い物を終えた両親がすっ飛んできて、お兄さんに平謝りしていたのを思い出す。
何度もペコペコする親には目もくれず、「またやろうねー!」とお兄さんに手を振ってブッ叩かれた。

ゲームは7面まであり、オーシャンと言いながら1面だけ湖がある。
それぞれ強力なボスがいるのだが、個人的にはカルキノスの名を冠したカニが強くて最もお金を使っていたと思う。
カルキノスのステージはクラゲが敵として登場するのだが、倒すとポコポコと可愛い音がするし、悠々と泳ぐクラゲの中ボス・メデューサはロジックの甘さのせいで殆ど攻撃しないこともあり、よく見惚れていた。
他に印象深いのは3面のボス・カリュブディス。
チョウチンアンコウ的な奴なのだが、故にステージが暗く、そしてムービーで人が喰われていたりとなかなかショッキングで、今でも少し受け付けない怖さを感じる。
唯一無二のゲーム性に加え、その壮大なグラフィックとコンセプトは、絶対にVRゲームとして映えると思っていて、セガ社にはリメイクを心から期待して待っている。

「海」というものに恐怖を感じるようになったのは、「オーシャンハンター」をプレイしたことが一番デカいと思う。
底が見えないだけじゃなくて、どんな大きさの生き物が潜んでいるかも分からないし、自分より自在に動き回る生き物がいることも日常には無い恐怖だ。
海が嫌いにはならないし、そこに住む生き物も嫌いではないが、正しく恐れている。
そこに関しては、ラスボス・ラハブの思惑通りになっているかもしれない。

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