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呪われた女5

                    立川 M生桃

たけのこ婆は、とうとう仕方なく恐る恐るお堂の中に入った。

すると最初に入った時と同じ状態であった。

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百足もいない。茶黒い仏像がちょこんとあった。

そのすぐ横に勾玉があった。

たけのこ婆は、勾玉を握りしめてお堂を出た。

すると若い女が、あなたはそれを持ってどこに行きなさる?

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毘沙門さまにお供え物をして、真言を唱える事があなたの今の役目です。いえ、修行です。

そう言って若い女がお堂入って行った。

たけのこ婆は、家に帰り、明日からその修行をした方が良いのか? 悩みました。

しかし、朝になると勾玉から金色に光る小さな物が出てきました。

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たけのこ婆は、それが金だとすぐにわかりました。

よし。  若い女に言われたようにしてみようと思いました。しかし、何をお供えしたら良いのか?

毘沙門天の真言も知らない。たけのこ婆は途方にくれるのでした。

そこへ、天狗が訪ねてきました。おい。たけのこ婆さん。あんた。わしと昨日約束していたのを忘れたのか?  わしの家に般若湯を持ってきてご馳走してくれると言ったじゃないか!

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なんだよ。 忘れちゃいない。 あんたの家に行けなかったんだよ。

たけのこ婆は、昨日の出来事を全て話した。

すると天狗が、毘沙門天のお供えは百味だ。真言はここから遠く遠く雲で覆われた岩山の頂上のお堂に確か、巻物があった。

わしはそこで、真言を唱えた事があった。しかしもう100年前の事だ。忘れたな。

道案内をしてやってもいいぞ。しかし、お前の持っている宝をわしによこせ。

え。 宝って何だい?

お前の持っている宝だよ。

私の宝?  はて? 何だろうね。

突然言われて、たけのこ婆は考えこんでしまった。

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