小っちゃなサンタの日（アッ君 vol②）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　立川生桃

今年は小っちゃい不良サンタの日。それでもいちおうサンタの生まれた日？

サンタの日。芸能人って本当にイイナァ、って思った。ロサンジンノウツワって、ただのマグカップじゃないらしい。マジで！　百万円するの？　百均なら１万個。ウソ。百均何げん回ったらいいんだろ。ロサンジンノウツワ。

サンタの日。「ホロホロドリってなに。ふつう今日は七面鳥でしょ？」。お母さん。「出世したらスペシャルサンタの日。おいしい鳥とそこそこの鳥ってこと？」「うちは？」「ケンタッキーから墜落してスーパートリカラ」。

サンタの日。ワタベを思い出した。この間。見たくなくても目に入る。ワイドショーってＣＭだ。リポーターって怖い。いいや。恐ろしい。…ブルブル鳥肌になる。でも。ミーちゃんは教えてくれた。「もっとイヤなの見る？」

サンタの日。こっそり僕はだれよりもおそくまで起きていた。ミーちゃんの言うとおり、夜３時、テレビをつけた。ワタベＣＭよりこごえた。みんなでほめまくられるフライパン。ジュージューこごえる音を立てるフライパン。

サンタの日。僕は傷ついた。ロサンジンノウツワ。バイバイ。お父さんがオヤジギャグを言う。「コロナが去るのはいつ頃な」。お母さんはわざと笑う。「なるほどね。ハハ」。こごえる。でも、この寒さはちょっと温かい。

サンタの日。考えた。もしワタベが死んだら。大人のイジメの世界に住む人達が毎日僕に教育をしてくれる。「あの人達も仕事なのよ。合法だし。国民の要求に応じてってタイギメイブンもあるし」。お母さんが教えてくれた。

サンタの日。悩んだ。リポーターの言葉で死んだらどうするの。「仕事です。合法よ。国民の要求に応じただけ」。死んだ人に一言。（涙が出ます。でも仕方ないでしょ？）。ネットで答えをひろった。「業務上過失致死」。

サンタの日。僕決めた。正義の味方寄りで行こう。咳払いした。すぐにだれも何も判決を出してはくれない。咳払いした。咳払いの咳の字はかっこうをつけたくて電子辞書で調べた。さっきの「ギョウムジョウカシツチシ」も。

サンタの日の次の日の朝。僕は知った。昨日と同じ感覚の毎日が僕を迷わす。本当か演技か分からないリポーターのニュースがコロナ禍のストレスの症状を教えてくれた。（ぼく。病気？）。夜更かしのツケ。……ね……眠い…

僕はかろうじてnoteに残す。大げさかも知れない。いや。たぶんそうだろう。僕は大げさな子供なんだ。でも。昨日の心の自撮をのせる。サンタが大っきい「サタン」にすり替わった瞬間の煙を本当に僕は見た気がしたんだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（おわり）