よそ様と🐽人

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　立川生桃

心が変なもんばっか喰ったから、心因性の🐽🐽病に罹った。偏食をなくさねば。Diet　しよう。よそ様みたいに。政路家病院に行った。女医か。

「アスリートの活躍を見ましょう。スポーツ観戦は心のお野菜です。」
「お薬は？」
「『保守系』の目覚め薬を頓服に一錠出しておきましょう。」

野菜は嫌いだ。喰いたくねぇ。よそ様の「栄光」を見てなにが楽しいんだろ？　まぁ。仕方ね。無理して喰っか。心が🐽になる。女医が笑顔を作る。

「一週間経って心の調子はいかがです？　頓服を飲むことはあった？」
「まだワクワクはしませんが頑張って観てます。頓服は飲みましたが全然効きませんでした。」

「じゃあ目覚め薬を『改革系』に変えてみましょう。」
サッカーより卓球のほうがましか。いったい彼ら彼女らが優勝して喜んで、それを僕が見て僕になんの足しがあるんだろう。よそ様の「幸福」でしょ。

「だいじょうぶですよ。『学習』の間食は減った？」
「語学は。物理がやめにくいです。それと経済学。」

「じゃあ。スポーツのほかに『文春系』のワイドショーを毎日一時間観るよ
うにしてみてください。君にはフルーツのほうがいいかも。」

政治家よりも芸能人の不倫とかスキャンダルのほうがまだましかも。でも。他人のズルや内緒話を見てなにが楽しいんだろ。

「人の不幸を蜜の味に感じない？　そうね、ゲームを3時間休まずしてみ
て。できれば『戦闘系』。」
「わかりました。」
「目覚め薬も『共産系』に変えます。」

心が🐽になる。そっ、としといてくれ。助けてくれるので🐽になる。助け
られるので🐽になる。食べ物は超高級な🐽の餌でいいのだ。ただし同情は砂糖もミルクも大量に。

「どうだろ。入院してみよっか？」

僕らほんとは全部事実を知っている。僕らは全部だましている。親も兄弟も
同級生も教師も医師も看護師もコーチもカウンセラーも弁護士も法事にやってくる坊さんさえも。

「選挙権は実質なくなると思うけど。」

官僚が🐽🐽病の僕らを🐽部屋に囲い、政治家が丸丸太った🐽人の僕らを
食す。

「政路家病院医師の○○です。はい。１票殺シテ来マシタ。」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（了）